広島の女性による法律事務所【和法律総合事務所】

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2017/11/01 ☆2017(H29)年11月 事務所便り☆

平成29年11月便り

 「紛争の解決 = 勝ち負け?」   弁 護 士  寺 西 環 江

 

先日、カープがCSで横浜に負けて日本シリーズを逃してしまいました。

カープの試合について言いたいことは山ほどあります・・・が、それはさておき、野球には

はっきりとした勝敗がありますが、私たち弁護士がかかわっている事件にも、勝敗はあるの

でしょうか。

 

いわゆる「裁判」には、判決というのがあるので、なんとなく、勝った負けたがある気がし

ますね。確かに、請求が認められれば「勝ち」、認められなければ「負け」と感じてしまう

かもしれません。

しかし、特に離婚の事件について思うのですが、離婚というのは、調停においても裁判にお

いても、配偶者と別の戸籍になること、子どもの親権者を決めること、そのほか離婚の条件

を決める手続きを指します。調停は話し合いによりそれらを決めますが、離婚訴訟では裁判

官がそれらの離婚条件について判断するわけです。よくよく考えると、何が「勝ち」で何が

「負け」なのか、プロ野球ほどわかりやすくはないと思います。例えば夫も妻も子どもの親

権者になりたいと争っているときに、親権者に指定された方が「勝ち」なのでしょうか。親

権者を決める手続きは、あくまで子どもの養育に関する責任(法的には、身上監護権と財産

管理権といいますが)を負う人がだれかを決めるので、親権者でなくなった方がお役御免に

なるわけでもありません。子どもの父母であることは変わらないですから。

単に相手からお金をとることを目的にする事件でも、少しでも多くとったら勝ちなのか、悩

ましいこともあります。弁護士をつけて裁判所で手続きをとるとお金がかかりますし、だれ

かとの間で紛争があるというだけでも、精神的に負担を抱えた状態になるといわれます。早

く解決して紛争を終わらせることを、「勝ち」と呼びたい場合だってあると思います。

 

紛争の渦中にあるときは、相手を打ち負かすことに一生懸命になって勝敗にこだわってしま

いがちになりますが、ふと足を止めて、この紛争を終わらせ、新しい一歩を踏み出すことも

選択肢の一つとして考えられると、少し見方が広がるかもしれません。何が自分のための一

歩につながるか、勝ち負けとは違う紛争解決の方法を柔軟に見出していきたいですね。

 

カープについても一息入れて、来年に期待しましょう!こちらは再び日本シリーズでの勝利

を目指して!!

 

2017/10/02 ☆2017(H29)年10月 事務所便り☆

平成29年6月 「 アメリカ便り 2」      弁護士 小 林  由  巳  子

 

アメリカに来て半年が経ち、第2弾の執筆指令が来てしまいました。

(私自身は年末頃だろうと想像していたのですが。)

最近は家事の段取りも身に付いて単調な生活になりましたので、習い事を始め、アメリカ国

内旅行に行き、いままで読みたかった本をたくさん読んでいます。

 

アメリカの医療保険制度が日本の皆保険と異なることは広く知られていますが、

先日、私も実際に医療機関からの請求書を見て、違いを実感しました。

 

慣れない生活による疲れでしょうか、はたまた旅行や遊びの疲れでしょうか、

人生で3回目の「ものもらい」になってしまい、眼科を受診しました。

後日、自宅に送られてきた請求書は、目の検査・診察等で合計$525也。

($1=111円で計算すると58,275円です。)

日本と比較すれば明らかに高いですね。仮に3割負担するとしても約17,000円になります。

 

そこで、そもそも医者に診てもらわなくてよいように、日頃の生活を見直すことに

しました。

8月の事務所便りに秋吉弁護士が書いていたとおり睡眠時間が最重要と考えた私は、

まず家族の寝る時間を「夜9時30分、どんなに遅くとも夜10時」に設定しました。

ちなみに朝起きる時間は大人6時、子ども7時です(足りているでしょうか?)。

ところが思った通りに進みません。イライラしながら夜10時20分に台所で皿洗いをしていた

り、しぶしぶ湯船につかるのを諦めてシャワーだけに短縮したりしていた私。

 

それから七転八倒しまして・・・現在、なんとか夜10時就寝を継続しています。

キモは夕食の開始時間を6時台前半にすること、そして夕飯前に必ず1人はお風呂を

済ませること、でした。

今後は、適度な運動(いまも不十分ながらしていますが)、栄養バランスへの配慮にも

徐々に手を伸ばしていこうと考えています。

 

余談ですがアメリカのハンバーガーは本当に美味しい!!

気を付けないとあっという間に太ってしまいそうです。

他にもいろいろと美味しいもの開拓をしていますが、その話はまたの機会に。

 

Take care of yourself!

2017/09/04 ☆2017(H29)年9月 事務所便り☆

平成29年9月便り

結婚は相手しだい?自分しだい?

                                      弁 護 士   大  国  和  江

50年も昔の事です。一緒に法曹を目指して勉強していた女性仲間が集まると「結婚」と

か、「仕事」とかが、初中終(しょっちゅう)話題となっていました。結婚の決め手は何?一

目惚れした。好きだったから。気があったから。お見合の条件がよかったので。

では、仕事を選ぶ基準は、と言えば、結婚しても仕事を続ける?と言ったものでした。

当時は、結婚すれば「女性は家庭に入る」が、社会の大勢でした。女性が結婚しても働き続

ける女性は、仕事に「信念」、「生きがい」を強く持っていた人だったように思います。

 

結婚は、民法上では「契約」です。しかし、結婚以外の「契約」とは違っています。一般に

「契約」は、当事者が、目的、期間、違反したときの損害賠償、などを決めています。口頭

でも書面でもよいのですが、後日争いになったときは「書面」がある方が、証拠があり、通

りやすいです。

しかし「結婚の約束」は戸籍法が決めている「届出」をして、法律上の効力が認められま

す。これを「法律婚」といいます。届出をしていない場合は「事実婚」といい、法律上の保

護はありません。

 

当時、有名芸能人が、1年だけと決めて結婚したことが話題になりました。2人が、1年が

過ぎたから「離婚」しようといって届出を出せば、離婚となりますが、一方の気が代わり

「1年の解消は嫌だ」と争いになれば、その理由だけで「離婚」が認められるとは限りませ

ん。

昔、友達同士で話し合っていたときに、「結婚は出会いがしらの交通事故のようなものよ。

事故に遭わなかったら結婚していなかったわ」と豪語した友人がいました。その友人は、恋

愛結婚でした。子ども2人をもうけて、傍目には幸せな家庭を築いていると思われていまし

たが、10年後には「離婚」してしまいました。

結婚は、両性(男性と女性)が、「一生を共に」暮らしていくことを約束することです。

 

人生には山あり、谷ありです。結婚するときに、「好き」、「愛している」とか、この人な

らば幸せにしてくれると約束したからと言って、それが一生続くとは限りません。

結婚する時は、「結婚する」ことが「目的」で、一致していたのでしょうが、「一生共に暮

らす」ことについてはお互いの気持ちを持ち続けることは、とても困難です。日ごろの小さ

な食い違いの積み重ねが、思いもよらず、知らず知らずに相手を非難し、縛ってしまいがち

です。

離婚の相談でも、夫側では「家庭に自分の居場所がない」、「自分は給料の運び役でしかな

い」、「自分らしい人生、自分の自由が欲しい」と言われます。妻側では、「家族の皆に一

生懸命尽くしているのに、夫は、食わしてやっているのに、俺の言うことがきけないのか、

出て行け」と言われ、悔しい、一緒に暮らせません、と言われます。

 

結婚生活は、自分の人生観で相手を縛らない。自分も相手の人生観で縛られない。それぞれ

が自由に生き、相手と一緒に暮らしたいという一体感を持ち続ける、不断の努力がいるので

しょうね。それが長続きさせるコツでしょうか。 

2017/08/01 ☆2017(H29)年8月 事務所便り☆

 平成29年8月便り

「 睡眠は元気の源!」  弁護士  秋 吉  理 絵 香

 

この頃テレビなどでも良く取り上げられるようになった「睡眠負債」という言

葉、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

なんでも、人には適切な睡眠時間があり、これは7時間~8時間くらいで、毎日

の睡眠時間がそれより短いとその分「負債」として蓄積していくというのです。

「私は6時間睡眠でも大丈夫!よく寝た~」と思っている人であっても、足りな

い1時間の睡眠不足が毎日知らないうちに蓄積していき、ガンや認知症、その他

の病気の原因になるとか……。

 

なんともびっくり、本当なの?と疑ってしまうような話ですが、私は何となく納

得しました。

寝る時間を惜しんで働きづめの人は短命なイメージがありますし、若くしてガン

で亡くなった私の母も短時間睡眠でした(もっとも、母は働きづめというより、

音楽活動や韓国ドラマのために夜更かししていたのですが…)。

 

私自身は、もともと睡眠時間が長く、寝つきの良さものび太くん並みです。それ

でもより良い睡眠を、と追い求め、「光目覚まし時計」「オーダー枕」「よく眠

れるシーツ」…いろいろな商品にも手を出しては家族に呆れられてきました。

夫からは「寝てばかり」と言われ、なんだか肩身の狭い思いもしていましたの

で、最近「睡眠負債」を取り上げる番組がテレビで放送されると、ほれ見たこと

か!寝るのは大切なんだぞ、とばかりに夫に見せつけています。

 

さて、昔ながらの良い主婦のイメージは、早く起き、夜遅くまで家のことをし

て、いつ寝ているのか分からない……というような人だったかもしれません。

けれど睡眠不足が蓄積していき、病気になっては、元も子もありません。病気に

ならないまでも、一日の活力の源である睡眠が満足にとれない状態が続けば、肉

体的、精神的なストレスが蓄積していくことでしょう。

適切な睡眠時間は人によっても異なります。長く眠らなければ疲れが取れない人

と、短くても大丈夫な人が共同生活をする場合、相互の理解がなければ大変です

ね。毎日のことですから互いにストレスが溜まってしまいます。

 

忙しい毎日で、適切な睡眠時間を確保するのは大変なことですが、マンパワーが

不足している場合には時短家電などを試してみるのもおすすめです。食器乾燥

機、洗浄機、洗濯乾燥機…。毎晩の食材を配達してくれるサービスもあります。

主婦なのに怠けているみたいで気が引けるという人、時短家電やサービスを利用

するのは「手抜き」ではないですよ。

その時間を他の家事に充てることができますし、夫や子供といる時間を増やすこ

ともできます。睡眠時間も増え、余裕ができれば、いつもニコニコ、家族にもさ

らにストレスフリーに接することができるでしょう。

 

「睡眠負債」の話をして以来、我が家では、夜11時までに寝ることを目標にす

るようになりました(子供は別)。目標達成はなかなか難しい毎日ですが、より

良い睡眠を確保し、毎日元気いっぱいに過ごせるように、皆さん一緒にがんばり

ましょう!

2017/07/03 ☆2017(H29)年7月 事務所便り☆

 

平成29年7月便り

 「こだわらない」思考法     弁 護 士  寺 西 環 江

 

みなさん、「こうじゃないといけない」「ここだけは譲れない!」っていうこだわりのポイ

ントがありますか?

 

仕事をしていると、よく、「絶対に浮気したことだけは認めさせたいんです」「暴力を振

るったことについて、自分が悪いときちんと謝ってほしい」「1000万円はもらわないと

許せません!!」みたいな話を聞きます。

 

とくに、「(悪いことをしたと)認めてほしい」「謝ってほしい」というのは、思いのほか

結構難しい。事件によっては、相手の方も「自分は絶対に暴力をふるっていない」と言い続

け、硬直してしまうこともよくあります。

 

刑事手続きなどだと、(真実はどうあれ・・・)白黒付かないのは困るのですが、私が取り

扱っているのは家の中の出来事、家事事件が多いので、もやっとしたまま終わらせること

も、往々にしてあります。浮気したかどうか、暴力を振るったかどうか、そういうのをひっ

くるめて、相応の額の慰謝料や、解決金を払ってもらう。

 

なんでそんなことをするかというと、「解決する」ためです。

 

一般に、裁判所に関わる、紛争を抱えているだけで、なんとなくいやーな感じが頭から離れ

ないそうです。「解決する」ことは、それ自体、ご本人にとって非常に大きな利益です。そ

のことで、一歩進めるようになります。事件を解決して、終わらせてみると、驚くほどすっ

きり、さっぱりします。この世のすべてのように思えたそのこだわりポイントが、ある日突

然消えてなくなるのです。

 

この「こだわらない」思考法、育児にも使えますよ。「3歳までにはおむつを外したい」

「21時までには絶対寝かせたい」「レトルト食品は食べさせない」・・・こだわってしま

いがちな例を挙げればきりがないですが・・・

 

うちの子は5歳でもまだ夜のオムツをはいてますし(でも元気です)、時々は夜更かしして

みんなでドキドキするのもありかもしれませんよね。子どもごとにそれぞれのペースがあっ

て、みんなとは違ってもそれぞれ進んでいる。こだわらずに見守れたら、少しだけ、楽しく

なってくる気がしませんか?自分自身にも言い聞かせつつ・・・。

 

気が向いたら、ぜひ実践してみてください!!

 

2017/06/02 ☆2017(H29)年6月 事務所便り☆

  平成29年6月 「 アメリカ便り 」      弁護士 小 林  由  巳  子

 

アメリカに来て2か月がたちました。

左ハンドル・右車線の運転にも慣れ、無事に免許証を取得したところです。

毎日たくさんの書面を作成し、電話をかけ、裁判所に通っていた日々から一転して、

いまは主婦をしています。

 

アメリカでは景観を壊すからという理由で屋外に洗濯物を干す習慣はないようで、

もっぱら乾燥機を使います。ところが乾燥機だけで全部乾かそうとすると時間がかかります

ので、1日に何回も乾燥機のスイッチを動かさないといけません。

私はたいてい洗濯後、50分1回だけ乾燥機にかけてから、部屋干し、その後放置。

天気の悪い日などは夜までに乾いていないことも…。

 

ある日、夫からお叱りを受けました。

夕方になってもバスタオルやシーツなどの洗濯物が乾いていないのは主婦としてマズイ。

乾燥機のフィルターに貯まるほこりをこまめに取り、午後3時に干した物の様子を見て

乾いていなければ再度乾燥機に入れ、午後5時にはすべての洗濯物を畳み終えるよう

改めるべし、というお話でした。

(みなさん、配偶者への要望は具体的に伝えるのが一番効果的ですよ☆)

 

加えて「家事を仕事だと思ってやってほしい」とのお言葉。そのとおりですよね。

英語ばかりの慣れない職場・学校から疲れて帰ってくる家族のことを考えれば、

わかっていたことだけど、なかなか。

広くなった自宅の掃除機かけ、大きなスーパーで何がどこにあるのかわからずウロウロ、

ポストオフィスの行列で待たされ、ガソリンスタンドではガソリンが出ない・・・!

気が付けば「もうこんな時間?」

 

慣れない生活ではもちろん、そうでなくともお互いに自分の様子や要望を伝えあうことが

やはり重要で、適宜、軌道修正しながら良いやり方が見つかっていくと思います。

人の役に立てればうれしいのは、どんな仕事でも同じですからね。

 

つまずきながら新生活を始めた「第一弾」は、このへんで。

Have a good day!

2017/05/02 ☆2017(H29)年5月 事務所便り☆

平成29年5月便り

女性の生き方と自由について ~ 選択と決断の時 ~

                                      弁 護 士   大  国  和  江

 

女性の平均寿命は87歳、男性は80歳と言われる時代になりました。

この長いようで、過ぎてしまえば短い人生を、本当に自由に生きるとは、どういうことかを

考えさせられます。

1960年代、世間でいうところの結婚適齢期は、女性が23歳、男性が24、25歳でし

た。女性が25才を過ぎれば、25日に売れ残ったクリスマスケーキ、ダンピングがさけら

れないクリスマスケーキとまでいわれていました。25才を過ぎれば俄然結婚を意識し、急

ぐ風潮がありました。

今では、女性が30歳弱、男性は30歳強とりましたが、それでも女性は30歳の大台を超

えると「結婚」を現実的に意識し、それを超えると、いよいよ焦りがひどくなります。周り

の多くは、結婚して子どもを授かっています。自分一人取り残された、負け組と思えてくる

のでしょうか。いや、40代を超えては、結婚して出産することも負担が大きすぎるからで

しょうか。

その意味で、女性の結婚年齢も、動物としての出産年齢に拘束されているのでしょうが、し

かしそれも、社会的制度としての「結婚」、「子どもの誕生」があるからでしょう。子ども

は婚姻届をした「夫婦の子」という形をとりたいという社会的常識に縛られているからで

しょう。そんなことから「できちゃったら結婚」をすることに執着をされる人が多いです。

結婚することが、これからの一生を共にできる相手であるか、結婚生活はどうするのかを考

え、話し合うことは二の次になっているようです。

他方、結婚したら、子どもができたら、家庭に入る、家事・育児の主たる担い手は女性であ

ることが、当たり前と考え、仕事を辞める人も多くあります。退職し、家庭に入るも、人さ

まざまですが、その選択・決断は、本当に自由にされたものなのでしょうか。

 

仕事と家庭を両立させることが困難な社会的な環境があり、周りから、子どもが小さいうち

は母親がついてやるのが当然などと言われたりして、女性自身も家庭に入ることが最適と考

えての選択になっていることもあるでしょう。

子どもの世話をし、家事をやって家族のために家を快適にすることを使命と考えるからで

しょうか。でも、子どもが離れたり、家族から妻・母親を疎んじられたときは、そこから自

分本来の生活が始まるんだとは考えにくいのではないでしょうか。

結婚も生き方も、社会的常識、働き方の制度、身内の考え方などから、自分が自由な選択を

していると思われても、結構見えていないものに縛られていることが多いなと思うこのごろ

です。

2017/04/03 ☆2017(H29)年4月 事務所便り☆

 平成29年4月便り

「 まだまだこれから。日本の離婚法制 」       弁護士 秋 吉 理 絵 香

 

出先で梅の花が咲いているのを見つけました。遠くに住む従妹からも,春の写真を頂きました(この

度ホームページに掲載しているのでご覧くださいね)。

インフルエンザの大流行も何とかおさまりつつ,すっかり春めいてきた今日この頃……に先立つ本

年3月10日。広島弁護士会館にて,日本弁護士連合会主催の「国際交流セミナー」が開かれまし

た。

同セミナーでは,離婚の国際裁判管轄に関する池田綾子先生の基調報告の後,中国・台湾・韓国

からお招きした弁護士の先生方をパネリストとして,約3時間にわたり「親権・監護権」「養育費」「面

会交流」等についてディスカッションが行われました。

私はこのパネルディスカッションのコーディネーターを務めながら,日頃当たり前のように思っていた

日本の離婚調停・離婚裁判のシステムが、実は当たり前ではないのでは…? 他国の制度を参考

にして、もっと改革していく必要があるのでは…?と改めて気付かされました。

 

たとえば!

養育費の金額一つをとってみても。日本では当事者間で合意ができない場合,裁判所が金額を決

めてくれます。その金額は,当事者の収入や子の人数・年齢に応じて算定式・算定表に従って導き

出される一定の金額に縛られてしまいますので,養育費を受け取る側としては「こんな金額では到

底生活できない」「私立学校,大学の学費が支払えない」という問題に依頼者と共に頭を抱える毎

日です。

他方,韓国では……支払義務者の月々の収入が少なくても,その他に資産がある場合には,収入

の50%以上の養育費の支払いが命じられる場合があるとか。

中国でも,裁判所の判断によっては,収入の50%まで養育費が認められることがあるようです。台

湾では,地域ごとの平均的な支出や,子が留学するなどの具体的な支出事情も考慮されて金額が

決められるとお聞きしました。

あれあれ……,硬直的に金額が決められてしまうのは,東アジア4国の中でも日本だけではないで

すか。  

 

また,養育費の支払いがなかった場合について見てみると。日本でも,履行勧告や強制執行による

取り立てなどが考えられますが,「財産がどこにあるか分からないから差し押さえられない」「弁護士

会や裁判所を通じて調べるにしても,ある程度金融機関が特定できないと調べようがない」という問

題にしばしば直面します。

ところが中国・台湾・韓国では,裁判所での手続きを通せば,たいていの預金はどこにあるのか調

べられるのだとか。(台湾では預金利息を税務署に申告するため,税務署が国民の預金を把握して

おり,照会があれば回答してくれるそうです。)

また,中国では,養育費の支払いを怠っている人は信用失墜リスト(日本で言うブラックリストのよう

なもの)に掲載され,ローンを組めなくなり,飛行機にも乗れなくなり,高速鉄道の一等車にも乗れな

くなるということ。

さらに,中国・韓国では養育費を支払わないと勾引(身柄拘束)されて捕まってしまうことさえあるの

だとか……。勾引された後,何百万という養育費が一気に支払ってもらえた,ということもあるようで

す。

そこまでされるのであれば,払う人は多いでしょう。良し悪しは別としても,日本は本当に甘々です。

日本にも財産開示手続などはありますが,実質的にはあまり機能していないからです。関係各所に

照会をかけようにも,個人情報保護の壁により,回答が得られないことが多いのです。

 

上記はほんの一部分。親権・監護権者を決めるにあたっての調査にしても,日本の制度は硬直的

すぎるのでは…と思う場面がいくつもありました(韓国では,両親と子供が裁判所で,裁判所関係者

と共にキャンプをする制度もあるそうです! 平日日中しか調査官調査ができない日本とはかなり

のギャップがあります。)

我々弁護士が,既存の裁判所の制度にとらわれ過ぎていては,何も始まりません。ときには「それ

はおかしいでしょう」「もっと柔軟に考えてください」と依頼者の意見を代弁し,裁判所や法制度その

ものを改革していくべく,たたかっていくことも必要なのだなあ……と改めて感じたセミナーでした。

                                                         以 上 

 

 

2017/02/01 ☆2017(H29)年2月 事務所便り☆

 

平成29年2月便り

~ 感謝の気持ちをオーバーに表す ~

                    弁 護 士  寺 西 環 江

 

 1月23日の朝、夫が発熱しました(扁桃腺が腫れたのが原因で、流行りのインフルエン

ザではないです)。

 私の夫は、昨年夏頃から育児休暇を取得して、自宅で二女を育ててくれています。私はな

かなか休みにくい仕事でして、さて、どうしたものかしら(二女を誰が世話したものか)と

思っていたら、お姑さん(夫のお母さん)が泊まり込みで来てくれて、二女の世話やら夫の

看病やらを買って出てくれました。

 これなら安心と、さして仕事をやすむこともなくいつも通り働きました。本当に有り難

い。

 こんなとき、「ありがたい」と思うだけではなくて、何か形でお礼をすべきかどうか。こ

れはおそらく、家族関係、距離感によってさまざま異なります。「家族なんだから当たり

前」と考える人もいらっしゃるでしょうし、「親しき中にも礼儀あり」とお考えの人もいる

でしょう。正解は存在しないのですが、「私はとても感謝しています」ということを伝える

のは大切ですし、特にお姑さんとの関係だと、「私は息子さん(夫)を大切にしています」

と伝わるようにすることも、とても大切だと思います。

 仕事をしていると、夫婦のいざこざに親とのいざこざが入り混じって紛糾しているケース

に出会うことがあります。夫婦の構成者は「夫」と「妻」だけですが、夫も妻も誰かに育て

られて大きくなっているのですから、自分の家族のことを「ないがしろにされている」と感

じてしまうと、夫婦のトラブルにつながるのです。

 もちろん、個々の家族の在り方によって異なりますが、感謝の気持ちを口に出したり、形

にしたりすることは、トラブル防止の一助と思って、ややオーバーなくらいにやってみては

いかがでしょうか。

2016/12/01 ☆2016(H28)年12月 事務所便り☆

 

平成28年12月便り

親の介護が必要となった場合 ~ 在宅介護について考える ~

                    弁護士 大 国  和 江

 

親が年を取るにつれ、年相応に体力も、知能も衰えてきます。体は動いても、頭 

は働らかなくなるとか、頭はしっかりしていても、体は一人ではままならないと

か、いろいろですが、そんなときの「親の世話」、「親の財産」を巡って

考えさせられることが多くあります。

 

親の面倒は誰が看るのか、親の財産は誰が管理するのかなどです。特に、親と同

居している者が親の面倒を看、親の財産を管理している事が多くあると思います

が、親の面倒も、財産管理も実家の跡取りである自分がしているのだからと、事

前に身内に相談せず親を施設に入れたという場合に、相手から無用の不信感をも

たれ、争いとなり、円満な話会いができないことがよくあります。

 

母親と同居し、母親の面倒を看ていた弟家族が、離れて住んでいた姉に相談せ

ず、母親を施設に入れたと、怒って相談に見えました。姉が言うには、時々時間

を作って弟宅に行って母親と会っていたと言うのです。自分と話すときは、よく

わかっていて、同居していた弟家族の不満を言っていたけど、家で暮らしたい、

お前が頼りだからよろしくね、と言っていたと言うのです。

 

弟は姉に、母親を特別養護老人ホーム(特養)に預けたと(預ける対象は「中重

度の介護が必要な人、すなわち、立ち上がりや排せつが一人ではできない要介護

3以上の人に限られます」)、事後報告をしたのでした。確かに母親の認知症は

進んでおり、日常の世話をするのは大変であることはわるが、母親が家にいたい

と言っているのに、何も特養に預けなくてもよいではないか。母親には年金等が

あり、暮らしに困らないのだから、母親を自分が引き取り、財産も弟から全部引

き継ぎたい、と言われるのです。

 

しかし、在宅看護するには、自分たちの日常の生活に加えて、いつ終わるとも知

れない親の介護を、昼夜を問わず四六時中する生活がのしかかるのです。一時も

母親から目が離せない、休めない実状にあることを承知されているのでしょう

か。昼間、調子の良い時に、短時間あって判断できるものではないのでしょう。

最近、介護疲れの夫婦・親子の刃傷沙汰、自死・無理心中したとする痛ましい

ニュースを、よく目にしますが、在宅介護の厳しい実情を物語っていると思いま

す。

 

仮に姉が母親を引き取るとしても、弟が抱えたと同じ負担を抱えることになるの

ではないでしょうか。お金には替えられない問題があるように思えます。

どちらが母親を引き取るにしても、今の在宅介護の実状を話合って、理解しあっ

て、ご自分達でできることを、たとえば、介護をしている家族に、時々介護を代

わって休ませてあげるとか、介護家族に対する思いやりもって協力できることを

してあげるとかを話合って、お母さんの在宅介護が実現できればよいですね。
 

2016/11/01 ☆2016(H28)年11月 事務所便り☆

平成28年11月便り

「 思 考 を 深 め る 秋 」          弁護士 小 林   由 巳 子 

 

突然ですが、私が大学生のころの「刑法」の教科書(大学の授業で利用される大学教授の著

書)には、「意思決定論」と「自由意思論」についての論争が記載されていました。

批判を恐れずに要約すると、

  人間が犯罪行為をするのは、

  ①その人に決定づけられた運命(すなわち選択不可)か?

  ②その人の自由意思(すなわち選択可)に基づくものか?

という論争です。

 

もともとは大昔からある哲学的な問題から出発していますが、刑法の分野では、犯罪を行っ

た者への対処をどのように考えるかという点から提起されたものです。

つまり、①なら再犯をしないようその人の人生にとって新たな契機となる「教育」を施すべ

き、②なら犯罪行為はその人の選択であり責任だから応報的な「罰」を与えるべき、となり

ます。

 

宇宙誕生は少なくとも136億年以上前、地球の誕生は46億年前。気が遠くなるほど長い

歴史の中でホモサピエンスが誕生したのは、ごく最近のことです。

意思決定論者は、あらゆる生物の行動は宇宙が始まった時から因果の流れの中で決定づけら

れたものであり、人間もまた然り、と考えています。人類だけが因果の流れから解放され、

完全に自由な意思を持つことなどとても考えられないわけです。

 

しかしながら、宇宙は因果の流れに支配されているとしても、感覚的に、私たち人間は自分

の行動を自分で選択している気持ちになっていますよね。今日の昼ごはんを定食にするか、

カレーライスにするか、悩んで決めている感覚です。あらかじめ決まっていると考える人は

あまりいません。多くの人の感覚としては、自由意思論に軍配が上がるのかもしれません

ね。

 

そこで犯罪行為についても同じように、因果の流れを否定せずに、他人から押し付けられて

いる訳ではないのだから犯罪をしない選択ができたはずだという論理によって、「罰」を許

容する折衷説(両立説)もあります。

ただこの折衷説については、因果の流れに支配されながら犯罪をしないという選択が果たし

てできるのか?という疑問が残ります。

 

数十年後には地球温暖化によって人類が滅亡するという仮説もありますが、あなたは毎日を

どのように生きていきますか。

宇宙誕生から続く因果の流れのなかで、自分は何をする存在なのか?

自分は何を「選択」しうるのか?

   ・・・いろいろと思考を巡らしてみてはいかがでしょうか。

2016/10/03 ☆2016(H28)年10月 事務所便り☆

平成28年10月便り

「 終活 --大切な人に、何を残せるか 」        弁護士 秋 吉 理 絵 香

 

 三浦綾子さんの代表作「氷点」の中で,ジェラール・シャンドリの次の言葉が引用されています。

  一生を終えて後に残るのは,われわれが集めたものではなく,与えたものである

 

 頭の隅にずっと引っかかっていた一文です。

 子供の頃は言葉の表面しか分かりませんでしたが,今は,先に逝った大切な人に与えてもらった

時間,愛情,かけがえのないものこそが,たしかに私自身や,故人を愛する人の中に残っていると

感じます。

 

 けれど残念ながら,仕事上お聞きするご相談の中では,故人亡き後,親族間での紛争が勃発し

た,というケースが少なくありません。

 遺産がある場合,その大小にかかわらず,残された相続人間にしこりを生み,ときには決定的な

対立に至ってしまうこともあるのです。

 

 遺産については残された人たちが話し合って決めてくれたらいい――,そういう考えの方もおられ

るでしょう。実際,そのとおり,お話合いにより円満解決に至っている方も多いように見受けられま

す。

 

 けれど,お話合いの苦手な方が,一人でもいたら? 言いにくい話題であるだけに,誤解が生じ,

傷つけあうことになりかねません。

「金銭が絡まなければ,ほどほどに仲の良い関係を続けられたのに,遺産があったばっかり

に……」

 苦労して残した遺産によって,最後に家族,親族の対立を残してしまうとしたら,それほど無念なこ

とはないでしょう。

 

 そのような事態をできる限り避けるためには,遺産の分け方について,「曖昧(あいまい)」な部分

をなくしておくことが大切です。

 後に効力が問題になることのない,きちんとした遺言書を作成しましょう。

 遺言書の内容をきちんと実行してくれる,遺言執行者を指定しておけば,さらに安心,という場合

もあるでしょう。

 自分でよく分からないままに作成した遺言書では,後々,その効力が問題になり,逆効果……と

いうことになりかねません。

 分からない場合には,まずは,ご相談くださいね。

 

 なお,最近,私自身も自分の「最期」を考える機会が増え,時勢の波にのり早くも(?)エンディング

ノートを作成しようかと考えているところです。

 一生を終えた後,自分が何を残せるか――。私は,私を頼りにしてくれている依頼者,相談者の

中に,幸せの芽を残していきたいと願いながら,一日一日を生きています。

2016/09/01 ☆2016(H28)年9月 事務所便り☆

平成28年9月便り

『 離婚「裁判」の前に「調停」をする意味』 

                     弁 護 士  儀 保  唯

 

1 離婚を考えたとき、多くの夫婦は、二人で話合い、その合意ができたら、離婚届を提出 

 します。

  しかし、話合いがつかないときには、まず、離婚「調停」をすることが必要です。「離

 婚調停」は、家庭裁判所で、夫婦で離婚に関する「話合い」をすることをいいます。調停

 でも話合いがつかなかったら、最終的には離婚裁判をすることになります。 

  では、なぜ離婚についてはいきなり裁判をするのではなく、先に「話合い」をしなけれ

 ばならないのでしょうか。

 

2 離婚するということは、夫婦や子どもを含めた家族にとって、これまでの日常生活や今

 後の将来設計を大きく変えるもの、すなわち、人生そのものを左右する出来事になりま 

 す。

  人生において重大な決断をすることになるので、「離婚をする・しない」、「するとし

 たらどのような条件でするのか」というのは、本人同士が話し合って決めるべき事柄であ

 り、裁判所が決めるものではありません。それ故、法律上、裁判より先に「調停」をする

 必要があるとされているのです。

 

3 調停では、裁判官を含む調停委員会が話合いを進めていきます。その際、実際に本人か

 ら話を聞くのは、調停委員(男性女性1人ずつのペア)で、調停に一般市民の良識を反映

 させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれた人達

 です。

  もちろん、最終的な決断は、自分がしなければなりませんが、第三者の立場からの意見

 や助言を受けることができますし、自分の気持ちを聞いてくれる相手がいるだけでもずい

 ぶん楽になって、考えを整理しながら話合いを行うことができます。

 

4 調停事件を弁護士に依頼した場合には、弁護士は代理人として本人と一緒に調停室に入

 り、調停に参加することができますので、相手方の言い分や調停委員から言われたことに

 対して、その場で対応することができます。

  ときおり、依頼者の方から、離婚やその条件の決断をする場面で、「先生だったらどう

 しますか」と聞かれることがあります。しかし、弁護士は、法律的な視点や、多くの離婚

 事件に携わってきた経験をもとに、解決方法の提案や道筋を示すことはできますが、選択

 をするのは、ご本人です。

  調停委員や弁護士の手助けを得ても、あくまで離婚の話合いをするのは本人同士であ

 り、自分の人生を決めるのは自分という意識が大切です。 

  たくさんの離婚事件を扱っていますが、ご本人にとっては初めての経験で、また一生に

 一度あるかないかの決断をする重要な場面なのだということを忘れずに、取り組んでいき

 たいと思います。

2016/08/05 ☆2016(H28)年8月 事務所便り☆

 

平成28年8月便り

「 和法律総合事務所の日常 」

     広島弁護士会 和法律総合事務所 弁護士  寺西環江(62期)

 

1 和法律総合事務所のご紹介

 当事務所は、2001年に、大国和江弁護士(20期)を中心に、弁護士事務所へのアクセスをやさしくする、利用しやすい事務所にする、を理念とし、複数弁護士で協力して設立されたと聞いております。設立後10年間は弁護士の出入りがあり、私が入所した2009年12月には大国弁護士1人となっていました。私は、事務所の理念と大国弁護士の心情、キャラクターに惹かれ入所を決めました。その1年後、2人の女性弁護士が入所したのをきっかけとして、女性弁護士だけの事務所を看板に掲げました。現在では、女性弁護士が5人、女性事務員4人の、計9人で活動しています。 

 

2 事務所の得意分野

 当事務所の最も多く取り扱っている分野は、家庭裁判所に係属する事件です。離婚、婚姻費用、養育費、認知、遺産分割、人訴、後見、子どもの引き渡し、監護者指定(同保全)など、家族のことならなんでもござれです。事務所事件全体の6割程度が、家庭裁判所にかかる事件です。もちろん、上記に付随して地裁への保護命令や仮差押えも取り扱っています。

 家庭裁判所の事件の中で、最も取り扱いが多い案件は、やはり離婚事件です。一言に離婚と言っても、夫婦の居住地、婚姻費用の支払いの有無や、子どもとの面会交流がスムーズか否か、夫婦の感情的な対立がどの程度かによって、どのような調停を申し立てるか、調停を申し立てる順序、裁判所にどのような進行を求めるかなどが違ってきます。

家事調停では、時間がかかってもご本人の意見をしっかりと聞いてあげることが、ご本人の気持ちやいろいろなものの整理のために必要だと思います。それにもかかわらず調停委員が「傾聴」とは思えない、調停委員の経験や人生観に基づく発言をされたときには、ご本人に成り代わって(むしろそれ以上に)怒ることもあります。

 特に困るのは、調停委員会の方で「この事件はこういうものだ」との考えを色濃く打ち出される時です。どの事件をとっても同じ事件は一つとしてありませんし、「こうでなければならない」という筋道もありません。とらわれず、こだわらない気持ちを持つことが、柔軟な解決につながると思います。

 

3 仕事をしていくうえで心掛けていること~寄り添う心~

 家庭にかかわる事件、特にDVや、精神的虐待がある事件には、依頼者本人が少しでも不安を取り除けるように、穏やかに過ごせるように気を付けなければいけません。激烈なDVから何とか逃れたにも関わらず、自分が勝手に家を出てよかったのだろうか、彼は自分なしでは生きていけないのではと不安になる人。居場所を隠していても、いつここがばれて追いかけられるのではないかと、静かに息を殺して過ごす人。きちんと離婚が成立し、「大丈夫だ」と思えるまで、慎重に生活環境を整えたうえで、何度も何度も依頼者に対し、「大丈夫よ」と繰り返し説明をします。そうやって夫婦の縁を切って、精神的にも自分らしく立ち直っていく過程で、女性が自分自身の生活を取り戻し、だんだんと綺麗になっていく過程を見るのが、私は大好きです。 

 全体的に、感情の対立が激しい事件も多いため、ご本人の感情の整理に時間を要することも少なくありません。裁判所の相場と依頼者の気持ちは、一致しません。私の持っている弁護士としての意見も、依頼者を抑えてしまうだけのこともあります。何がご本人のためなのか、弁護士が考える合理的解決だけがすべてではない。そう心に戒めながら、行きつ戻りつ考えています。

 気持ちの問題は目に見えないので、当然一筋縄ではいきませんが、依頼者の心に寄り添うことも、私たちのとても大切な仕事です。

 

4 仕事をしていて痛感する社会の問題

 上記のように、家庭に関わる仕事を続ける中で日々痛感するのは、日本の社会における女性の働きにくさです。女性依頼者の事件は、依頼者の収入が十分でなく、法テラスを利用しなければいけない事件が大半です。結婚、出産を機に離職し、これと言った資格を持たない女性が、離婚を前提に子どもを抱えた状態で社会復帰すること、母子で生活していくことがいかに大変か。女性の生活状況を目の当たりにするたび、女性の50パーセント以上が非正規労働者という日本社会の問題、壁にぶち当たります。

他方で、養育費の支払い率の悪いことが、母子の生活をより一層苦しいものにします。ここには、養育費をきちんと支払ってもらうために、調停や審判を申し立てて債務名義をとり、強制執行をかける手間を親権者側が取らないといけないという、法制度の壁があります。日々、女性の貧困、子どもの貧困の実情を、まざまざと知るのです。

 由々しき事態ではありますが、社会の変革は、一朝一夕にはできません。それでも、問題意識を持ち続けること、問題意識を社会に発信し続けることで、将来、何かが動くかもしれない。社会を変える原動力の一助になりたい。そんな風に思いながら、一つ一つの事件に向き合っています。

 

5 それぞれの人間活動

 さて、話題は変わりますが、私は、平成28年3月末に、第二子に当たる女児を出産しました。妹が出来たことで第一子(長女)が赤ちゃん返りしたため、産休中は、育児に悩んで広島市の育児相談に電話したり、カウンセリングを受けたりもしました。4か月が経過してやっと落ち着き、子育てに、仕事にと、充実した毎日を送ることが出来ています。

 

6 当事務所で仕事をしてきて~私の思いとこれからの展望~

 私が弁護士登録をしてもうすぐ7年です。7年間、たくさんの人の家庭、家族の問題に携わり、毎日のように、怒ったり、怒られたり、笑ったり、ちょっとだけ泣いたりしてきました。仕事が好きだと感じながら、本当に充実した弁護士生活を送ることが出来ていると思います。

 当事務所で仕事をしていてとてもうれしいことは、前述のように、きれいになっていく依頼者の姿を見ることができたときです。

他にも、夫婦関係の悪化に伴い、一方の親から引き離されたり、夫婦の軋轢に巻き込まれて様々な気を使っている子どもたちが、面会交流の場で一方の親と笑顔で楽しい時間を過ごすことが出来ている場面に出会うと、心が温かくなり、この仕事をして本当に良かったと思います。

 冒頭にご紹介した通り、当事務所には、現在60期代の女性弁護士が私を含め4人います。これからも、当事務所での弁護士業務を通じて、また、大国弁護士の背中を見て大声を聞きながら、マンネリ化することなくいろいろなことを吸収し、日々生まれ変わり、成長、成熟していきたいです。

                                                以 上

2016/07/01 ☆2016(H28)年7月 事務所便り☆

平成28年7月便り

「不貞の損害賠償~何が損害?慰謝料はどうなる?~」

                    弁 護 士  寺 西 環 江

 

 春に第2子を出産し、お休みをいただいていました。産休中に目にした報道

で、「不倫した人の謝罪会見」というのをたくさんしていました。不倫は、夫

婦、家族の問題なのに、さてはて、この人たちは誰に対して謝っているのか、改

めて気になりました。この場合の「不倫」とは、法律用語でいう「不貞」にあた

ります。そこで、今回は、「不貞」があったことによって何を傷つけたのか、不

貞の損害は何かについてお話ししたいと思います。

 

1 不貞の損害

 民法770条が定める離婚原因の一つに、不貞行為というのが挙げられていま

す。このことから、民法上、夫婦は互いに「貞操義務」を負っていると解釈され

ています。それゆえ、不貞=貞操義務違反が原因で、夫婦関係、家族関係が傷つ

けられた場合や、最悪の場合破壊されて元に戻らなくなった場合に、損害賠償を

請求できることになります。具体的な損害は、「夫婦関係の破壊」「家庭の破

壊」という心の傷、精神的損害であり、支払われる賠償金は慰謝料です。

 先日、落語家の方の不倫謝罪会見というのを拝見しましたが、この師匠の奥さ

まは、(会見で伝えられた奥さまの言葉が奥さまの真意に沿ったものであれば)

夫の不貞に傷ついて嘆き悲しんでいるのではなく、「芸の肥やしになる」という

受け止め方でした。このような受け止め方の場合だと、夫婦関係が破たんに至る

可能性は高くないでしょう。この場合、貞操義務違反はあるものの、損害はほと

んど発生していないことになります。

 他方、不貞により夫婦が離婚に至った場合には、婚姻期間、子どもの数、未成

熟子の有無、不貞の態様などを考慮したうえで、より高い慰謝料が認められるこ

とになります。

 ただ、実際の裁判では、芸能人の離婚報道にあるような高額な慰謝料が認めら

れることはほとんどありません。裁判所で決められる慰謝料は、家庭の破壊とい

う損害を補うには、十分ではないのです。具体的な金額は、事案によって異なり

ますので、また相談に来てください。

 

2 損害の実態

 不貞によって家庭生活にさざ波が立ち、夫婦関係が悪化し、ついには破たんに

至るというケースを見ることは少なくありません。家庭の破壊は、夫婦で築いて

きた生活の破壊を意味し、夫、妻それぞれの生活に、転居、転職、持ち家の売

却、経済的困窮、子どもとの離別など、大きな変化をもたらします。

 また、子どもたちの生活も激変を余儀なくされます。片方の親と一緒に生活で

きなくなること、引っ越し、転校、生活レベルの変化、進学の断念などです。

仮に夫婦関係が破たんに至らないまでも、子どもは、お父さんとお母さんがどっ

ちも好きなのに自分の両親が相手の悪口を憎々しげに話している、その様子を目

の当たりにすることによって傷ついてしまうことも忘れてはいけません。

私も、うっかり子どもの前で夫婦喧嘩を繰り広げたことがありますが、夫婦関係

が危機になり、苦しい状況でも、そばで夫婦の様子を固唾をのんで見守っている

子どもへの配慮を忘れないようにしたいものです。

 

3 終わりに

 このように、「不貞」をきっかけに、家族の生活がひっちゃかめっちゃかに破

壊されうるのです。中には、子どもの将来のため、経済的な困窮を避けるためな

どの理由で、耐えることを選択する人もいます。どちらにせよ、先述した師匠の

奥さまのように振る舞える方ばかりではないでしょう。

 不貞の存在を知った後の深い傷、苦しみは、夫婦の関係に亀裂を入れ、子ども

を傷つけ、皆さんの生活を大きく一変させる可能性があります。

 不貞により思い悩み、苦しい時には一度相談に来てみませんか。本当に婚姻関

係を終了させるべきなのか、離婚をするとどのようなことが起こるのか、具体的

に整理して、しっかりと考えるためのお手伝いができると思います。

2016/06/02 ☆2016(H28)年6月 事務所便り☆

平成28年6月便り

結婚における氏(姓)について考える

~夫婦同姓の強制と夫婦別姓選択制導入について~         

                    弁護士 大 国  和 江

 

結婚するときに、氏(姓)をどうするかについて、考えられましたか。

法律は、婚姻するときに、夫婦が1つの姓を名乗らなければならないとしていますので、夫

の姓にするか、それとも妻の姓にするかを決めなければなりません。

 

憲法が「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」としたこ

とを受けて、民法では「夫婦は、婚姻の際に、夫、または妻の氏を称する」とし、戸籍法で

は「『夫婦が称する氏』を記載して届け出ること」としております。したがって、婚姻する

夫婦は、夫、または妻のどちらかの氏(姓)を一つ選んで届け出ることになりますので、夫婦

で選んだ姓が夫婦の姓となり、夫婦の間に生まれた子も夫婦と同一の姓となります。このよ

うに、夫婦・子供が「家族」となって同一の姓を名乗ることになります。

 

戦前の姓は「家族の姓」、すなわち「家」の姓でしたから、婚姻も「家」に入り、当然に家

の姓を名乗ることになっていました。

今は、婚姻も夫婦の姓も、夫婦二人だけで決められるのですが、今でも、社会的な意識で

は、「妻になる」、「嫁に行く」、「姓は夫の姓」にするのが当然と、考えられる人が多く

あります。また、どちらの姓を選択するかを考える場合でも、妻が改姓する方が、会社への

届出、免許証・パスポートへの書換え、交友関係者に「婚姻姓」になったことを知らせるな

どの不便さは、夫が改姓するよりも少ないとして、やむを得ず夫の姓を名乗ることに決めら

れる人も多くあります。

 

厚生白書(2004年)によれば夫の姓を選んだ夫婦が96、2%であったとあります。こ

のような社会的実情の表れでしょうか。

 

法制審議会は1996年2月に、「夫婦の姓」について「婚姻したら、夫婦は夫または妻の

姓を名乗るか、またはそれぞれが婚姻前の姓を名乗るようにする」とする民法の改正を答申

しておりますが、「夫婦別姓が名乗れる民法改正」は今日まで行われていません。

 

国際的には、国連の「女性差別撤廃委員会」が「女性差別解消の実施状況」を条約批准国の

報告を受けて、検証しておりますが、委員会は2009年にも、我が国の夫婦別姓を認めな

い民法の規定について「夫婦の氏の選択に関する差別的法規定が撤廃されていないことにつ

いて懸念を有する」、また、「その撤廃が進んでいないことを説明するために世論調査を用

いていることにも懸念を持って留意する」とする最終見解を発表しております。

 

昨年12月16日、最高裁大法廷は「夫婦が同じ姓を名乗ると定める民法の規定には男女の

不平等はない、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」とし、「夫婦別姓を認

めなくても、旧姓の通称使用が広まれば一定程度不利益は緩和できる」として合憲の判断を

初めて示しました。そして、「制度の在り方は国会が論じるべきである」とする立場を示し

ました。

 

しかし、不利益の緩和だけでは、夫婦別姓を望む人たちへの抜本的な解決にはならないので

はないでしょうか。

夫婦の姓は「同一」がよいとする世論が多数であることによって「夫婦別姓を入れた民法改

正」をしなくてもよいのでしょうか。

法制審議会の答申を棚上げにしている政府(国会)に、夫婦別姓を入れた民法改正を、今こ

そ求めるべきではないでしょうか。

多くの人が関心をもち、声があがることを願っています。 

 

2016/05/09 ☆2016(H28)年5月 事務所便り☆

平成28年5月便り

「心穏やかに事実を見つめる訓練を ~パート2~」  弁護士 小 林   由 巳 子 

私は、大学生のころに、栃木県さくら市にある瞑想(めいそう)森内(もりない)(かん)研修所(けんしゅうじょ)という場所で

「集中内観」を3回ほど体験しました。

当時いろいろと悩みがあり、大学の先生に話をしたところ、その先生自身も若い頃に何度も

 体験した内観を、私に勧めてくれたのです。

 

 集中内観では、和室に自分1人だけのスペースを与えられ、周囲に気兼ねすることなく、

たすら自分史を振り返り、面接してくださる方に報告するという作業を約1週間繰り返し

す。内観では自分史の振り返り方法に決まりがあり、まずは母・父など身近な人から自分

 が「してもらったこと」「して差し上げたこと」「迷惑をかえたこと」の3点のみを調べ

るのです。

 

快・不快などの感情ではなく、してもらった事実を調べます。「母に食事を作ってもらっ

た」「お皿によそってもらった」「自分が床に落とした箸を母に拾ってもらい、洗っても

らった」とか、そういう一つ一つの事実です。

「父に肩車をしてもらった」「早起きした休みの日の朝、父に散歩に連れて行ってもらっ

た」とか、そういう日常の一場面をできるだけ客観的に思い出します。

 

このような作業を1週間続けますと、事実を見る訓練ができるとともに、そのときの相手の

心情に対する想像力が養われる気がします。相手はどのような気持ちであったのか。「母

親」あるいは「父親」という肩書を離れ、1人の女性あるいは男性として自分に何をしてく

れたのか、という観点で見ることができます。

 

これができるようになると、幸福を感じる感度が高まる、と言えばいいでしょうか。自分の

心を穏やかにする舵取りができる、という感じでもあります。その結果、自分の言動に変化

が表れ、自分と関わる人々の対応も変わっていく気がします。

 

私はこの集中内観がとても気に入り、そのあと2回も行くことになったのですが、最後の内

観からもう10年以上の月日が経ってしまいました。

何度しても同じということは無く、いつも新たな発見がありました。今も、どうにか時間の

やりくりをして、また集中内観に行きたいと思っています。

 

もし、内観に関心のある方がおられましたら、法律相談のついででもよろしいので、私にお

尋ねください。よろこんでお話しいたします。

2016/04/04 ☆2016(H28)年4月 事務所便り☆

平成28年4月便り

「心穏やかに事実を見つめる訓練を ~パート1~」  弁護士 小 林   由 巳 子

 

「私は親から愛されていない」、「親からひどいことをされた」との相談をこれまで何度か

お聞きしたことがあります。心の奥では親をうらんでいる人や、子どもからうらまれている

人の悩みをお聞きすることもあります。

 

親子間に限らず「他人をうらむ」という心の状態は、人間にとって、エネルギーを沸かせる

ものであると同時に、非常に疲弊させるものです。

あくまで私の意見ですが、「うらみ」とは、相手が自分の期待通りにならないことに不満を

抱く感情のことであり、その感情を作り出しているのは、相手ではなく、自分の心です。

 

もし、自分の喜びや悲しみなどの「感情」や、こうなってほしいという「期待」とは切り離

して、「事実(=現実に起こった出来事)」を見つめることができれば、心を感情によって

振り回されずに済むのではないでしょうか。

 

例えば、200ml入るコップに水が半分入っている状態を、「半分しか入っていない」と

見るのか、「100ml入っている」と見るのかによって、心の状態は変わってきます。つ

まり、「半分しか入っていない」という見方には、「満杯にしてほしい」という自分の期待

が込められているのです。

 

期待通りにならないことに心を引きずられるのではなく、まず、水が100ml入っている

という事実を認める。その次に、200mlまで必要なのか、なぜ必要なのか、あと100

ml必要ならどうすればいいか、を考えていくことが重要だと思います。

 

「愛されていない」というのは、もしかしたら自分の期待する愛され方に沿っていないとい

うことかもしれません。また、「ひどいことをされた」、例えば殴られたという事実がある

とすれば、それは過去の出来事ですから変えることはできません。

 

自分の期待に沿わない相手、そして、変えることのできない過去と、どう向き合えば良いの

か、具体的な方法については次回にお話ししようと思います。

2016/03/03 ☆2016(H28)年3月 事務所便り☆

 平成28年3月便り

『 コミュニケーションを上手に 

        ~気持ちを伝える話し方~ 』  弁 護 士  儀 保  唯

 

 私達弁護士が離婚の相談を受けるときには、既に夫婦関係は破綻していることが多く、離

婚条件の内容や事件の進め方が話の中心になります。

 ただ、夫婦間の仲がうまくいかなくなった経緯を聞いていると、破綻に至る前に、もう少

し互いの気持ちをうまく伝えあっていれば変わっていたのではないか、と思うことがありま

す。

 

 今回は、気持ちを伝える話し方の方法として

『なかなおりのはじめ方 I messageの贈りもの―島本薫著』という本が参考になったの

で、ご紹介します。

 

 人と話していると、「どうして私の気持ちをわかってくれないの」と思うことがありま

す。 

 そんなとき、あなたが気持ちのまま、相手に「どうしてわかってくれないの」と言ったと

しても、あなたが本当に相手に伝えたい気持ちは伝わりません。この言葉には、相手を非難

し、決めつける気持ちが隠れているからです。

 

 自分の気持ちをうまく相手に伝える話し方としては、「私」を主語にして、話すと気持ち

が伝えやすいです。 これを“I(アイ) メッセージ”と言います。

 

 例えば、浮気をされたとき、

「あなたが浮気をするなんて!!」と言うと、相手は自分が責められていると感じ、保身や

言い訳に走ると思われます。 

 しかし、「私は、あなたの浮気を知ってとてもショックだったし、悲しかったよ」と言う

と、あなたの気持ちを否定することは相手にも出来ないので、あなたの言葉を伝えやすいと

思います。

 

 他に、気持ちを伝えるときに心がけることは、

「できるだけ具体的に、ありのままの出来事を述べ、素直な気持ちを伝えること」です。

 ただ、自分の「素直な気持ち」というのがわからなかったり、相手に対してネガティブな

気持ちを持つこと自体否定してしまうこともあります。

 しかし、「感じてはいけない気持ち」などないのです。自分の中で思うことと相手にそれ

を伝えることとは全く別なのです。

 まず、自分の素直な気持ちを確かめて、“I メッセージ”にして伝えれば、よりあなた

の気持ちが伝わると思います。

 

 もちろん、“Iメッセージ”は、嬉しい気持ちや感謝の気持ちを伝えるときにも使えま

す。

「昨日、『大丈夫?』って電話をくれたこと、実はとっても嬉しかったの」

「今日のお弁当のおかず、大好きなの。美味しかったよ」

などなど・・・

 どんな時に、その気持ちを感じたのか、特定してその気持ちを伝えると、相手も具体的に

イメージできるので、わかりやすくあなたの気持ちが伝わると思います。

 

 「相手には何を言ってもわかってくれない」とあきらめる前に、少し話し方を工夫して、

自分の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

 

 

2016/02/01 ☆2016(H28)年2月 事務所便り☆

平成28年2月便り

「DV被害その2」

~被害者自身が「DV被害」であると認識していくために     弁護士 秋 吉 理 絵 香

 

 この冬は暖冬と聞いていましたが、冷え症の身としては、寒いものは寒い。凍える足先を

いかにして温めるか悩める毎日です。

 

 さて、昨年12月の事務所だよりでは、DV被害者がなかなか周囲の理解を得られない現

状についてお話しました。

 周囲の理解が追い付いていないことは、DV被害者を孤立させ、被害から抜け出せなくさ

せている要因の一つと言えるのではないでしょうか。

 他方、DV被害から抜けだせない要因のもう一つに、被害者自身の意識があると思います

ので、今回はこの点についてお話いたします。

 

 人の考えや性格は千差万別であるはずですが、DVに悩まされているご相談者のお話を

日々お聞きしていると、その状況、お気持ちがあまりに似通っていることに驚かされます。

その状況、お気持ちのいくつかを取り上げてみます。

 

㋐ DV被害にあっても、環境を変えたくないという気持ち

 「経済的不安により、夫と別れて生活していくことはできない」「子供の環境を変えたく

ない」という声は、よくお聞きします。

 環境を変えることについては、DVの場合に限らず、誰しも本能的な不安を抱くもので

す。ですが、命の危険すらあるような傷を負わされ、精神的に不安定になっても、なお逃げ

られないというDV被害者の方の目には、環境を変えるというハードルが、実際よりもずっ

と高く見えているのだと思います。

 あるいは、DV加害者の支配する家庭内で生活していくうちに、少しずつ感覚が麻痺し、

世界・視野が狭くなり、思考が停止するように追い込まれているのかもしれません。

 このような方は、思い切って環境を変え、加害者と別居して暫くすると、目が覚めた、あ

のときは何も考えられなかった、今はとても気が楽です、と見違えるように元気になったり

します。

 経済的な不安については、婚姻費用や、公的扶助を得る方法もある。子供の環境を変える

ことになっても、暴力のない新しい環境が子供にとってより良い環境になるかもしれませ

ん。案ずるより産むが易し、ということもある。不安を解消する方法を一緒に考えていけた

ら良いですね。

 

㋑ 加害者との共依存関係

 「夫には私が必要、私が支えになっている。」「優しいときもあり、愛情がある。他人に

は分からない絆がある」「夫が謝ってくれた。今度こそ変わってくれたみたい。他の人には

わからなくても自分だけには分かる。」という声も、よくお聞きします。

 加害者への愛情、未練が残っている場合には、被害状況から抜け出すことがかなり難しく

なります。どれほどの暴力を受けても、この人には自分しかいない、という共依存状態で加

害者のもとへ舞い戻ってしまうのです。

 このような方は、加害者の価値観に支配された「わが家」の基準・ルールに捉われている

ため、そのルールに反して別居・離婚をすることに大きな罪悪感を抱いてしまいがちです。

 加害者である夫と別れるときにさえ、自分がルール違反したわけではないことを「夫に分

かってほしい」「筋を通したい」と思ってしまう。夫から優しい言葉をかけられると、気持

ちが揺らぎ、逃げるように勧める親族・友人らの方が悪者に見えてしまう。

 このような心情から脱却するのには、時間がかかります。まず距離を置き、別居すること

から始めるしかありません。徐々に、周りが見えるようになってきますが、気持ちの揺り戻

しがあることも多い。周りの方にも、根気よく見守っていただけたらと思います。

 

㋒ DV加害者から逃れられないとの思い込み、いつまでも追いかけられる恐怖

 「別居・離婚するなんて言ったら夫の逆鱗に触れ、夫が何をするか分からない」「夫は悪

い筋の人とも繋がりがある」という声も頻繁にお聞きします。

 暴力を受け続けてきた経験から、加害者に対する恐怖が膨れ上がっている状態になるの

は、無理もありません。

 このような場合、住所を隠したり、警察に見回り等を協力してもらいながら、手続を行う

ことは可能です。加害者からの接触を禁止する「保護命令」を裁判所に発令してもらうとい

う方法もあります。

 

 DV被害者が、上記述べたような事情・気持ちから、「現状を変えることはできない」と

思い込んでしまうことは、自然なことです。

 医学的文献によれば、被害から抜け出せない状況にいる被害者には、「この状況が異常で

はない」と思い込むことによって心の安定を図ろうとする心理的メカニズムが働くという話

もききます。

 このような被害者自身が、自らの置かれている状況が「普通ではない」「これはDV被害

なんだ」と認識することこそが、解決への第一歩であると思います。

 弁護士としても、DV被害者の思いや状況を理解して、各方面からの支援や協力を得なが

ら、多様な解決方法を考え、被害者の再出発のために支援していきたいと思います。ときに

は心情的な揺り戻しがある場合もありますが、周囲の方には根気よく、見守って頂きたいと

願います。

2015/12/01 ☆2015(H27)年12月 事務所便り☆

平成27年12月便り

「DV被害その1」~周囲からの視点について       弁護士 秋 吉 理 絵 香

 

師走となりました。この1年の色々な出来事や思いを抱えながら、また年が移ろうとしてい

ます。

 

当事務所は女性だけの法律事務所ということもあって、毎日、夫のDV(家庭内暴力)に

苦しむ多くの女性たちが、相談にお越しになります。

 

その方の状況の深刻度に応じ、避難場所を探したり、警察対応を行ったりしながら、離婚や

今後の生活について一緒に考えていくことになるのですが、その中でいつも実感することが

あります。

 

家の外で暴力をふるえば、たった1回の暴力であっても、大騒ぎです。刑事事件にもなりか

ねません。

それなのに、家の中でふるわれた暴力については、どれほど頻繁な暴力であっても、激しい

暴力であっても、「妻にも原因があるのでは?」と言われ、重要視してもらえないことが如

何に多いか、ということです。

 

一般的に、暴力は、「非社会的な人間が、嫌いな相手に対してふるうもの」というイメージ

があるように思います。

ところが、DVを行う夫は、立派に社会生活を送っている場合が多く、そして、妻や子ども

に対して強い愛情を持っているにもかかわらず、暴力をふるうというケースが多いのです。

ごく穏やかな面と、暴力的な面との二面性を有しているものの、家の外では穏やかな面の方

を出しています。

 

そのため、第三者からは、夫が穏やかなときの姿だけを見て、「あんなに穏やかで立派な人

で、愛妻家なのだから、理不尽な暴力をふるうはずがない」「本当に暴力をふるうのであれ

ば、妻に原因があるのでは?」「妻が大げさに言ってるのでは?」という見方をされがちで

す。

 

妻は、夫から受ける暴力、暴言によって、傷つき、自信をなくしていき、夫を怒らせないよ

うに日々神経をすり減らしながら生活しているにもかかわらず、その被害について第三者か

ら理解してもらえないことで、さらなるダメージを受けるのです。

 

妻が夫の支配下から脱出しようとすると、夫の方は、必死に妻を引き留めようとします。そ

の憔悴しきっている夫の様子を見るにつけ、周囲が夫の味方となり、「あんなに謝っている

のに許してあげないなんて……」とさらに妻が責められるということもあります。

 

現状では、裁判手続きに関与する者でさえ、DVの実情に対する理解が十分でないと思いま

す。

夫ばかりが悪いわけではないかもしれません。そのことは否定しません。

ですが、現に、暴行を受け続けてきた被害者に、これからも加害者と一緒に暮らせというこ

とが、どうして言えるでしょう。

 

「あなたにも原因があるのでは?」「謝っているのだから、これから改善される。今まで通

りの生活で、もう少し様子をみては?」という投げかけは、ときに安易に過ぎます。

ただでさえ、DVを受けている妻は、夫からもっともらしい理由をつけられて殴られ、罵ら

れていますから、自分が悪いかのように思いこまされています。愛情がないわけでもないで

すから、「今度こそ夫が変わってくれるかも……」という期待があり、それがDV被害から

抜け出せない状況を作り出してしまうのです。

 

「暴力をふるう人には見えない」「理由のない暴力はない」、そのような一般的な感覚を

もって、DVの問題を捉えるのは止めて頂きたいです。通常では考えられないようなことが

起こっているのが、DVです。

 

「子どものために、我慢しなければ……」と言われる方も多いですが、暴力、暴言によって

母や子ども自身がおとしめられ続ける毎日を過ごすことが、本当に子どものためになるの

か、よくよく考えて頂きたいのです。

 

もちろん、ご家庭によって事情は違いますし、すべてを一律に判断することはできません。

妻のDVに苦しむ夫、という男女逆の場合もあります。

 

ただ、間違いなく言えるのは、DVの被害を受け続けてきた方が、自力でその環境から抜け

出すのには、相当なエネルギーが必要だということです。「逃げることは悪くない」という

意識改革も必要ですし、そのためには、周囲の理解がとても重要です。

私自身、日々DVの問題とかかわり合う者として、より理解を深めていきつつ、少しでも被

害者への力添えができれば、と願っています。

2015/11/05 ☆2015(H27)年11月 事務所便り☆

平成27年11月便り

「離婚するとき、自宅をどうしたらよい?」  弁護士 小 林   由 巳 子

 

わが事務所は、11月初旬、内装をリニューアルしました!

待合スペースには新しいソファを置き、本棚の本も手に取りやすく整理して、

ゆったり過ごしていただけるようになっています。

2つある相談室も、以前より広く明るく感じるようになりました。 

ぜひ、足を運んでみてください。

 

今月は、離婚するときに自宅をどうしたらよい?というテーマ。 

結婚中にご夫婦で購入した自宅は、原則として、夫婦の共有財産です。 

離婚するときには、夫婦の共有財産である自宅をどのように清算するのかを

考えておく必要があります。

いくつかの例に分けて説明しましょう。

 

例1)所有者:夫1人、住宅ローン:夫1人 

離婚後に夫が自宅を取得するという清算方法を選ぶのであれば、

夫から妻に自宅の資産相当額(自宅の査定額もしくは

価額-住宅ローン残額=資産相当額となります。)の2分の1を

支払ってもらえばよいので、比較的シンプルです。

離婚後に妻が自宅取得を希望する場合でも、夫や住宅ローン会社の

協力がなければ所有者名義を変更できないこともあります。

また、住宅ローンの支払方法について十分に検討しておく必要があります。

 

例2)所有者:夫1人、住宅ローン:夫(債務者)、妻(連帯債務者) 

この場合、夫婦のどちらが自宅を取得したとしても、取得しない他方に

債務の責任だけが残ってしまいます。 

おすすめは売却です。売却ができれば、資産相当額を2人で分け合うことが

できますが、場合によっては所有者である夫が勝手に売却して代金を独り占めに

しないよう事前に手を打っておく必要があります(例1も同じです)。

 

例3)所有者:夫と妻2人の持分、住宅ローン:夫と妻2人が債務者 

これも売却ができれば一番なのですが、離婚状態にある夫婦が協力して

自宅を売却することが難しいケースもあります。

そのようなとき、弁護士が代理人になって売却を進めれば、当事者の

煩わしさはとても軽減されます。 

売却できない場合には、原則として、それぞれの持分を所有したまま、

それぞれが住宅ローンを支払っていくことになるでしょう。

場合によっては、不動産をどちらが使用していくのかの問題もありますし、

最終的に住宅ローンを完済した場合にどちらか一方の名義に変更する

約束ができることもあります。

 

せっかく手に入れたマイホーム、「老後まで住みたい」「子どもに残して

やりたい」と希望され、売却に抵抗感をお持ちの方も多いのが実情です。

でも、大人になった子が、どこで誰とどのような生活を送るかは、

なかなか予想どおりにはいきません。老後の生活にしても、夫婦2人で一緒に

過ごす計画を変更したのですから、離婚後も同じ家で生活を維持する必要が

あるのか、見直してもよいと思います。

 

住宅ローンの返済予定表に書かれている利息(高いですね!)を見ながら、

新しい生活設計をご一緒に考えていきましょう。

1人で悩むより、良い解決案が見つかると思いますよ。

2015/10/02 ☆2015(H27)年10月 事務所便り☆

平成27年10月便り

「みなさん、『JK産業』ってご存知ですか?」

                    弁 護 士  寺 西 環 江

 

 

先日、私が関わっている団体の行った講演会で、仁藤夢乃さんという方のお話を聞く機会がありました。仁藤さんは、「JK産業」に取り込まれていく子どもたちを救い出し、サポートする活動を行っています。

 JK産業とは、「女子高生」を売りにして、女性に顧客の耳かきをさせたり、顧客とお散歩や観光案内をさせたりする業態の総称です。最近では、女子高生による占いや、カウンセリングをするなどの業態も出てきています。

風営法では、18歳未満の女性を風俗業で働かせることを禁止しているため、法の網をかいくぐるために(お散歩や耳かきなどは風俗業じゃないという言い訳をするために)このような業態が生まれました。

お散歩程度なら、と聞こえはいいかもしれませんが、見知らぬ男性とお散歩に行って密室に連れ込まれ性被害に遭ったりすることもあり、非常に危険です。また、管理者側がうまく女子高生に取り入って彼女たちをコントロールするので、「今月の売り上げ一番になりたい」とか、「仕事のノルマをこなしたい」、「褒められたい」という考えの元、女子高生たちが自ら、ハグや胸を触らせるなどの過激なサービス(オプション)を行い、追加料金を得ることも少なくありません。次第に自己肯定感が低くなり、自ら売春などをおこなうことも珍しいことではないそうです。詳しくは、仁藤さんの著書、「女子高生の裏社会」(光文社新書)をご覧ください。

 このような女性の多くは、学校や家庭に居場所がなく、街をさまよっているところを、「スカウト」されるのだそうです。東京には、それぞれの町に毎晩100人ほどのスカウトが、目を光らせているとか・・・。

 私も、ピピオ子どもセンター(広島にある、貧困や虐待で居場所がない子どもたちを一時的に避難させるためのシェルター)の活動で、居場所のない子どもたちにかかわっているので、とても他人事とは思えませんでした。

 広島では、まだJK産業が浸透している様子はありませんが、東京の波が広島に波及してくるのは時間の問題かもしれません。

 仁藤さんの言葉を借りれば、児童相談所や警察などの、非行少年や居場所のない子どもたちの支援を行っている大人は子どもからのヘルプを待っていて、ヘルプがあったら助けに行きますが、JK産業は、居場所のない子どもたちに声をかけ、積極的にスカウトしていきます。スカウトの方が圧倒的に積極的なのです。

 仁藤さんのお話を聞いて、居場所のない子どもたちのサポートのためには、待っているだけでなく、積極的に声掛けしていく姿勢が必要だと感じました。広島でも、居場所のない子どもたちへの声掛けをはじめ、学校や関係機関の協力体制の構築、連携体制の確立に向けて、頑張っていこうと思います!

 

2015/09/01 ☆2015(H27)年9月 事務所便り☆

平成27年9月便り

「相続」についてーその4 ~遺骨・仏壇・祭祀について考えること~         

                    弁護士 大 国  和 江

 

亡くなった夫は、長男でした。先祖のお墓を継ぎ、仏壇も自宅においておりました。

夫の葬儀、法要は、私が喪主として済ませ、夫の「遺骨」はとりあえずお寺が管理している

先祖のお墓に「納骨」しました。

49日が過ぎ、落ち着いて見ますと、先祖のお墓は遠いので、夫の「遺骨」を自宅の仏壇に

もって帰りたいと思うようになりました。お墓に納骨している夫の遺骨を「分骨」して持っ

て帰ることができるのでしょうか。義母は反対します。夫の「遺骨」は、私のものだと思う

のですが、お墓から持ち出すことはできないのでしょうか。

 

お墓や仏壇は、相続財産ではありません。

民法は「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」と規定しております。

亡くなった夫が、先祖のお墓や、仏壇を承継されておられた事は間違いありませんが、で

は、今後あなたが夫と同様に先祖のお墓や仏壇を「承継」する事になるかといえば、そうば

かりとはいえません。「慣習」によると言うことですので、親族の皆さんが、これまでどの

ようにお墓を引き継いでこられたのか、また、今後、あなたが継いでいくのを快く考えてお

られるのかが、問題となります。また、最高裁判決は「遺骨は慣習に従って祭祀を主宰する

者の所有に属する」とあります。従って夫の遺骨についても、あなたが「祭祀を主宰する

者」であるか否かが問題となります。

 

「遺骨」の埋葬については、「墓地、埋葬等に関する法律」で、「墓地以外の区域にこれを

おこなってはならない」と規定されています。ところで、この頃「海への散骨」が話題とな

ることがあります。高倉健主演の映画「あなたへ」でも、主人公高倉健が亡き妻の遺骨を妻

の故郷の海に「散骨」する感動的な場面がありました。

このような「海への散骨」については、法律では、「墓地以外の区域におこなってはならな

い」とあるだけで、よいとも、いけないとも書かれていません。「埋葬等法」は国民の宗教

的感情や、公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的として規定

されていますので、今後このような見地から「海への散骨」についても規制されることにな

るかも知れません。

 

お寺の管理・所有する墓地に、納骨する場合も、取り出す場合も、いずれもお寺さんの承諾

がいります。この場合もいったん納骨しておりますので、「分骨」したいだけといっても、

遺骨を取り出すことに変わりありませんから、お寺さんの承諾がいります。また、お墓から

取り出した遺骨を、他の墳墓や、納骨堂に移す、いわゆる「改葬」の場合には、現にお墓が

存する地の市町村長の許可も必要となります。ただ、「遺骨」の一部を取り出して、自宅に

置くだけであれば「改葬」に当たりませんので、そのような許可はいりません。

 

「遺骨」についても、お墓についても、「祭祀承継者」の所有となりますが、納骨したり、

分骨したりして、どこに祀り、供養するかは祭祀承継者の権限に属します。

夫の遺骨は私のもの、どこで祀ろうが供養しようが自由だとの思いだけではなく、夫は先祖

があっての子孫であり、その先祖を大切に祀り、供養してこられたこれまでの「慣習」に配

慮し、先祖の供養についてのあなたの気持ち、夫の「遺骨」を自宅の仏壇におきたいと思う

あなたの今の気持ちを、夫の親族の方と率直に話し合われ、あなたが「祭祀承継者」となれ

ればそのようにできますし、あなた以外の人が「祭祀承継者」となられても、あなたの考え

が認めてもらえるよう話合いができるとよいのではないでしょうか。

 

2015/08/05 ☆2015(H27)年8月 事務所便り☆

平成27年8月便り

『8月6日を前に思ったこと』 弁 護 士  儀 保  唯

 

 先日、広島県呉市にある和庄公園を訪れ、呉空襲の犠牲者を供養するお地蔵さんを

お参りしてきました。

 碑文には、

       「昭和二十年七月一日の空襲の時 

        和庄防空壕で約五百人あまりのお方が災死せられました

        この地を記念し御冥福を祈念するため この地蔵尊を建立する」

 とあります。

 案内をしてくれた方のお話によると、空襲の際、防空壕に多くの人が避難してきたの

ですが、その壕内へ煙が流れ込み、約550人(800人という推定もあるそうです)が

窒息死したとのことでした。

 広島で、原爆以外の戦争被害についての話を聞いたのは初めてだったのですが、

聞くだけでも辛く、悲しい話でした。

 

 呉市は、日清・日露戦争を経て、東洋一の軍港として発展し、それゆえ、1945年3付から

7月下旬まで、5回にわたる米軍機の空襲を受け、死者1,949人、負傷者2,138人、

全焼全壊住宅22,954戸という甚大な被害を受けた地です。

現在も、自衛隊基地、在日米軍基地の関連施設があります。

 

 呉の話のように、ひとたび戦争が起きれば、武器を持たない市民も攻撃に巻き込まれる

というのは避けられません。広島の原爆は、巻き込まれるという言葉は適切ではなく、

むしろ市民が犠牲になっても仕方がないという考えのもと落とされたものです。しかし、

戦争中は、このような考えが実行に移されてしまうことが恐ろしいことだと思います。

戦争のルールであるハーグ陸戦条約等には、非戦闘員である一般の民間人を攻撃して

はならないという原則があるのですが、今もってなお戦争が起きている地域では民間人

が犠牲となっています。

 

 だからこそ、私は、戦争を起こさないために何ができるかを考えていきたいと思っています。

 広島に住んでいると、新聞で原爆に関する記事を見ない日はありません。

また、ひょんな拍子に、身近な人から体験談を聞く機会があったりするので、この地に原爆

が落ちたことは現実なのだと気づかされます。

 ただ、何気ない日常生活でふと空を見上げて、「まさにこういうときに、あの原爆が落とさ

れたのだ」、とイメージしてみるのですが、実感がわかないのも事実です。

 平和な世界をつくるための課題は多くありますが、市民の目から見た戦争の記憶こそ、

戦争を起こさないための行動に取り組む原動力になると思います。この問題は、これで

解決というような答えはありませんが、悩みつつ取り組んでいきたいと思っています。

2015/07/01 ☆2015(H27)年7月 事務所便り☆

平成27年7月便り

 「謝罪」にできること、できないこと     弁護士 秋 吉 理 絵 香

 

 一昨年に公開された阿部サダヲ主演の映画「謝罪の王様」を、先日、私は遅まきながら視

聴しました。架空の職業である「謝罪師」を生業とする主人公が、「謝罪」を通じて、依頼

人の様々な問題を解決していくというコメディ映画です。

 この映画の一幕には、誠心誠意の謝罪を行うことによって、裁判を回避する、というシー

ンがありました。「人は裁判より、ただ謝ってほしいだけ……」その言葉には、深く考えさ

せられました。

 

 当事務所にお越しになる皆さんの中にも、積極的に裁判がしたい、という方はほとんどい

らっしゃいません。裁判を行うことになれば、気力も、時間も、お金もかかりますし、裁判

外で円満解決ができるのであれば、それが一番良いことは間違いないからです。

 我々弁護士も、可能な限り、裁判外の「交渉」などで紛争を解決することを目指します。

それでも、裁判外で円満解決できない場合があるのは何故でしょうか。

 

 そもそも、上記映画は、「謝罪したい」人がいることが前提にあります。たしかに、「謝

罪したい」という思いがあり、誠意を尽くして話し合いで解決しようという姿勢があれば、

裁判外で紛争を解決する可能性は広がります。

 ただ、現実には、「自分には謝罪する理由はない。むしろ相手に謝って欲しいくらいだ」

という思いの方もおられるのです。謝罪し、誠意を尽くしたいという気持ちがないのであれ

ば、裁判外での解決は難しくなります。

 

 ところで、私のこれまでの経験上、「謝罪したい」側ではなく、「相手に事実を認めて

謝ってほしい」というご相談の方が多くありますが、これは最も難しい依頼の一つといえま

す。
 

 なぜなら、まず、謝る気持ちのない相手に謝らせること自体が困難です。仮に、弁護士が

間に入り、相手に形式的な「謝罪」をさせることができたとしても、「心がこもっていな

い」「口先だけ」という不満や空しさだけが残り、満足な解決には繋がらないことが多いの

です。

 「謝罪」が紛争解決の力をもつためには、「謝罪したいという思い」と「謝罪の気持ちを

受け入れ、許したい気持ち」が双方、伴わなければならないのですね。

 

 交渉中、はじめから対決姿勢で連絡することによって、かえって「謝罪」「解決」が遠ざ

かってしまう場合もあります。丁寧に話し合っていく方が良いのか、強硬姿勢でいく方が良

いのか……、相手方との対応については、ご相談者ご自身がどのような「解決」を希望され

ているのかというお気持ちを聞かせて頂きながら、一緒に考えていきましょう。

 もちろん、相談者ご自身が「謝罪したい」と考えておられる場合には、謝罪をし、裁判外

で紛争解決するための方法を最大限一緒に考えていきたいと思います。

 

 そうは言っても、裁判を避けられない場合もあります。裁判外で解決できるかどうかは、

相手次第という面もありますから、やむを得ないことです。裁判にするということは、正当

な権利を実現するため、公の場で正々堂々と紛争を解決するということですから、後ろめた

く思うのではなく、むしろ、胸を張って頂きたい。

 裁判が提起されると、そこからがまた、新たな始まりです。手続の途中では、和解の可能

性もありますし、判決まで進む場合もあります。お一人お一人にとってベストな解決方法

を、一緒に探していきましょう。

2015/06/01 ☆2015(H27)年6月 事務所便り☆

 

 

平成27年6月便り

離婚の「法律相談」ってどこまで相談できるの?  弁護士 小 林   由 巳 子

 

私が離婚の相談を受けるなかで、とても難しいテーマだと感じるのが

「離婚後の生活の糧をどうやって確保したらよいか」という問題と、「子どもの様子の著し

い変化(学校にいかなくなる、家で暴れるなど)にどう対応したら良いか」という問題で

す。

相談を聞くと、自分が子どもだった時のこともよく思い出します。

私が小学4年生のころ、母は往復3時間かかる職場へ働きに出るようになり帰宅が夜8時過

ぎになりました。当時、家ではすさまじい兄妹喧嘩が繰り広げられ、学校では友達に意地悪

をしたり素っ気なくしたりしていました。(いまとなっては兄妹仲良く、かつての思い出話

をしています。)

子どもから見れば、今まで主婦として家にいてくれた母親が、離婚や別居を機に、毎日朝か

ら晩まで働きに出るようになることは、やはり寂しく感じるものだと思います。また、親が

働きに出るだけでなく、子ども自身の引越や転校を伴うなど、生活状況がかなり変わる場合

は特に負担も大きくなるでしょう。

しかし他方で、親としては子どものことを考えて別居や離婚に踏み切っていることもありま

すし、生活のために働かざるを得ません。もともと両親の不仲を見続けてきた子どもは、す

でに精神的なダメージを受けていることが多いように感じますので、無理して同居継続を勧

めるつもりもありません。

生活状況が変わるとき、ある程度「長期的な見通しを立てる」ことが重要です。これから別

居や離婚に向けて準備を進める際は、住む場所、働きかた、子どもの生活(学校、放課後の

過ごし方、進学、もう一方の親との面会)など、自分と子どもがどうしたら安心できる生活

を送れるかを具体的に考えたいですね。親が安心できないと、子どもを安心させることは難

しいでしょうから。

1回の相談では時間的な制約もあり、全体的な見通しが立てにくいこともあります。

今後の生活に関する重要な問題ですから、継続的に根気よく相談していただければ、私も一

緒に悩みながらですが・・・きっと力になれると思います。

 

 

 

 

2015/05/01 ☆2015(H27)年5月 事務所便り☆

平成27年5月便り

「戸籍のない子」          弁 護 士  寺 西 環 江

 

先日報道で、毎年、出生児のうち500人が戸籍届けをされないで無戸籍者となっていると

耳にしました。

日本では、出生届を提出することによって子どもの戸籍が作成されます。

戸籍がないと、住民票はありませんし、健康保険証を作ることもできません。戸籍にのらな

い無戸籍者は、行政側がきちんと「子どもの存在」を把握できませんので、就学する機会を

得ることもままなりません。それ以外にも戸籍のない子どもが育っていくうえで受ける不利

益は、計り知れません。

 

無戸籍者が増えている背景には、民法772条で定める「嫡出推定」(戸籍上の夫の子)を

避けたいと思う母親が多くいるからだと言われています。民法772条が定める「嫡出推

定」とは、「妻が婚姻中に懐胎した子」を夫の子と推定すること、もしくは、「婚姻成立の

日から200日後または婚姻解消若しくは取消しの日(離婚等)から300日以内に生まれ

た子」は「婚姻中に懐胎」したものと推定することです。

別居中、または離婚して300日以内に生まれた子について出生届けを出せば「戸籍上の

夫」の子であると推定さればかりか、「戸籍上の夫」に子の出生が知られることにもなりか

ねません。

特に、DVなどで別居し、まだ離婚の手続きができていない人などは、「出生届」を出せば

戸籍上の夫に、居場所や子の出生を知られてしまうのではないかと、強い恐怖を覚えてしま

うでしょう。そのため、子どもが生まれても、出生届を出せないということになってしまい

ます。

 

もともと民法772条の「嫡出推定」は、子どもの父親をはっきりさせることで子どもの地

位を法的に安定させるために作られた制度です。それにもかかわらず、出生届が出されない

ために、却って子どもが不利益を被ることになってしまうことがあるのです。

 

私も、相談を受けて子どもを母親の戸籍に入れる作業を手伝ったことがありますが、裁判所

に調停を申し立てたり、DNA鑑定(数万円の費用がかかります)をしたりする必要がある

ので、決して簡単にできる手続きとはいえませんでした。

子どもが親の戸籍に入るためには、親子の証明が必要です。出生から時が経つと親子の証明

が難しくなりますので、子どもを母親の戸籍に入れるための手続きが煩雑となり、また、行

政等による援助体制が整っていないし、周知もされていないので、無戸籍の子どもが放置さ

れている現状があります。

 

親の都合で、子どもが重大な不利益を受けてしまう状態、「無戸籍者」が増加し放置されて

いる事態を避けなければなりません。子どもの戸籍を作るための手続きの周知と、行政的な

支援の体制が急がれます。私も、無戸籍の子どもとその母親が孤立しないよう、支える体制

の一つになっていきたいです。

2015/04/01 ☆2015(H27)年4月 事務所便り☆

平成27年4月便り

「相続」についてーその3 ~遺言について考えること~         

                    弁護士 大 国  和 江

夫は相続について何も言わずに亡くなりました。私と2人の女の子で「法定相続」のとお

り、私が遺産の2分の1相当を、子ども達はそれぞれ4分の1相当を分けることにして、皆

で話会って相続をすませました。

私は、長女にはこれ以上財産を分ける気持ちはなく、次女に私の財産の全部やりたいと思っ

ています。「遺言」を書けば、私の思いどおりに「相続」させることがきますか。遺言はど

のように書いたらよいのでしょうかと相談されました。

 

「遺言」は、自分の財産等についてどのように分けてほしいとか、その他、相続人らに伝え

たいことを書いて残すものですが、遺言の効力は遺言者が亡くなった後に発生します。その

ため、遺言には厳格な「方式」が決められています。

 

一つは、「自筆証書遺言」です。遺言者自らが「全文」、「日付」、「氏名」を自書し、こ

れに押印する方式です。代筆、ワープロは認められません。相続が開始して、遺言を発見し

た人とか、預かっている人は、家庭裁判所に提出して「検認」の手続きを取ることが必要で

す。

 

二つは、「公正証書遺言」です。公証人が法令に従って作成する遺言の方式です。公証人に

連絡をとって、公証人の指示に従い、必要な書類等を提出し、作成してもらうことになりま

す。

 

三つは、「秘密証書遺言」です。遺言者が、遺言の内容を生前に知られたくない場合に、こ

の方式で書かれることが多いです。まず、遺言者が「その証書」に署名・押印し、その証書

を「封」じ、証書に使った印で封印し、公証人及び証人にその旨述べてその封書を提出しま

す。公証人は、封書の提出日付、及び遺言者が述べた内容を封書に記載し、さらに遺言者、

証人、公証人が署名・押印することになります。

以上の三つが、「普通の方式による遺言」です。

 

遺言は、死後も自己の財産を自由に処分できるとする制度ですが、相談者が相続人の長女に

は相続させないで、次女に全部やりたいとする「遺言」も、以上の方式に従っておれば、遺

言自体の効力には影響はありません。

 

ところで、遺言には、一方で、遺言者の財産処分の自由を認めることでありますが、他方

で、相続人間の相続争いを避ける役割もあることに留意することが大事だと思います。

相続できると思っていた相続人が、遺言で相続させないとあれば、自分に何故相続させない

のだろう、遺言者が自分に冷たいのではないかと納得できず、理解に苦しむことになりま

しょう。遺言者に対し、ひいては遺言でもらえた相続人に対し、不満が募り、怒りがふくら

み、遺言が却って紛争を拡大することになりかねません。

その意味から「自由」であるといっても、相続人らが納得できる遺言の内容であるよう配慮

することがいるのではないかと思います。

 

なお、相続人には自分の相続できる権利が侵害されている場合には、相続財産の一定の割合

で取り戻すことができる「遺留分減殺請求権」が保障されています。「遺留分減殺請求権」

については次の機会に譲ります。

 

2015/03/02 ☆2015(H27)年3月 事務所便り☆

平成26年9月便り

『日常から憲法を考える~表現の自由編~』 弁 護 士  儀 保  唯

 

 今年の1月に、日本人が「イスラム国(IS)」に拘束され、殺害されるという衝撃的な事

件が起きました。その事件を背景にしてか、2月7日、外務省は、シリア渡航を予定してい

たフリーカメラマンに対し、緊急な処分を理由に、聴聞手続(本人からの聞き取り)を行わ

ずにパスポートの強制返納を命じるという決定を出しました。

ジャーナリストが危険な場所に取材に行くことについては、様々な意見があります。しか

し、彼らの行動は、「報道の自由・取材の自由」として、憲法で保障されている行為であ

り、制限する場合には、慎重な判断と手続きが要求されます。

 「報道の自由・取材の自由」については、憲法21条1項の「表現の自由」の保障に含ま

ると解されています。憲法21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現

の自由は、これを保障する」と定めていますが、なぜ表現の自由・報道の自由ないし取材の

自由は保障されなければならないのでしょうか。

 

それは、他人に何かを伝えたいという人間の当たり前の欲求を実現させるためと、民主政

 治を実現させるためです。

 民主政治とは、王様など一握りの人に政治を任せるのではなく、国民が自ら積極的に政治

に参加することをいいます。自分たちの国の政治を自分たちで決めることができてこそ、自

分たちの権利や自由が保障されるという考えが背景にあります。 

井上ひさしの言葉で、「国の根本とは、『ここにみんなで住む』『よりよく生活したい』と

いう意志」という言葉がありますが、「よりよく生活したい」という言葉を難しく言うと、

個人の権利や自由が保障されている状態をいうのだと思います。

 

国民が政治に参加するためには、政府の行動や考えを知る必要があり、これらの情報を伝え

るのが報道機関やジャーナリスト達です。

私たちはその情報を利用して、国がどうあるべきかを考えることができるのです。

 他方で、政府が思い通りの政治をしようとすると、批判を避けるべく、国民に情報を与え

ることには消極的になるので、政府自ら情報を開示することは期待できません。それは、政

治家個人が悪いという問題ではなく、個人がどんなに良識ある人でも、誰でもその立場にな

ればそういう風に思わざるを得なくなってくるのです。

だからこそ憲法は、政府に対し、国民の「表現の自由」を保障し、表現の自由を行使するた

めに必要な情報を得るための「報道の自由・取材の自由」も保障しているのです。

 

 表現の自由は、憲法で保障されているその他の自由に比べて侵害されていることに気づき

にくく、また、侵害を回復することが難しいものです。一旦表現の自由が制限されてしまう

と、国民は、情報が少ない中で判断せざるをえなくなり、ますます政府を非難することが

困難となって、政権を変えることも難しくなるからです。

 

日々の生活や仕事に追われていると、政治というのは遠い存在で、自分が関わらなくても誰

かが決めてくれると放置してしまいがちです。

しかし、私たちが政治に関与しないままだと、「よりよい生活をしたい」という意志を実現

できなくなる恐れがあります。

大切な日常生活を守るために、政策が国民のために決定されているのか、立ち止まって考え

てみませんか。

 

2015/02/02 ☆2015(H27)年2月 事務所便り☆

平成27年2月便り 

 

   「親権変更とは?」    弁護士 秋 吉  理 絵 香

          

この冬は、広島でも珍しくたくさんの雪が降ったように感じます。今回は、「親権変更」に

ついて、お話させて頂きます。

 

「親権」とは、未成年の子を監護するために父母に認められた権利義務のことをいいます。

親権者は、子の財産を管理したり、子の居場所を決めたりする権利を有する反面、子を保護

して身体的・精神的な成長を図っていく義務を負っています。

父母の婚姻中は、父母が共同して「親権」を行使しますが、父母が離婚するにあたっては、

父母のいずれか一人を「親権者」として定めなければなりません。

父母いずれを「親権者」にするかは、父母の協議(合意)により、自由に決めることができ

ます。父母の協議(合意)で話がつかない場合には、裁判所の「調停」手続の中で話し合っ

て決め、それでも決まらない場合には、裁判所の「裁判」手続の中で、裁判官が決めること

になります。

 

離婚時に、裁判官が「親権者」を決めるにあたっては、父母のいずれが親権者となることが

子の利益に適うか、あらゆる事情を比較検討した上で公平な立場から判断されます(少なく

とも建前上は。)

 

ところが、離婚時にいったん親権者が決まれば、その後、非親権者が裁判所に対して「親権

者変更」の申立てをしても、簡単には認められません。

「親権者変更」の手続においては、父母いずれが親権者として相応しいかを比較して、改め

て決め直すという発想はないのです。

既に決まっている「親権者」を変更しなければならない特別な事情(たとえば、「親権者」

が子供を虐待している、遺棄している、児童相談所に預けっぱなしである、子供が逃げ出し

てきたなどの事情)がなければ、親権者変更の申立てはなかなか認められません。

 

「離婚時には、とにかく早く離婚することだけを考えていたので、とりあえず相手(妻、又

は夫)を親権者とすることに同意した」「親権については後でゆっくり考え直したり、変更

すればいいと思っていた」という方のご相談をよく受けますが、離婚前に相談にお越し頂け

ていれば……と、とても残念な気持ちになります。

上記のとおり、一度決まった「親権者」を変更することは、容易ではないからです。(親権

者が同意している場合は別です。)

 

ただ、昨年末の12月4日、福岡家庭裁判所で、驚きの審判が出たというニュースを耳にし

ました。離婚後、母親の言動が原因で父子の面会交流が実現していないことを理由として、

親権者を母親から父親へと変更する申立てを、裁判所が認めたというのです。

 

上記のとおり、「親権者変更」は容易には認められないのが通常であり、親権者が面会交流

を拒否していることを理由とした「親権者変更」の申立てが認容されたのは、私の知る限り

初めてです。

このたびの審判では、離婚時に約束した面会交流をきちんと実施することが、親権者の重大

な責任であり、子の福祉に適うことであると考えられたのでしょう。

 

具体的な審判の内容、この審判が今後の「面会交流」「親権者変更」の手続にどのように影

響を及ぼしてくるのかという点については、またいずれ事務所だよりで取り上げたいと思い

ます。

                                

2014/12/01 ☆2014(H26)年12月 事務所便り☆

 

平成26年12月便り

「年の瀬を迎えながら、考えたこと」  弁護士 小 林   由 巳 子

 

今年も12月がやってまいりました。私は今年が「厄年」だったようで、思い返せば「アー

アー」と思う出来事がいろいろありました。そこで夏目漱石『草枕』から一節。

 

 ~人の世を作ったのは神でも鬼でもない。ただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて越す国はあるまい。越すことのならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、くつろげて、束の間の命を束の間でも住みよくせねばならぬ。~

 

最近、話題に上る「ハラスメント」。ハラスメントの内容によって、セクハラ、パワハラ、

アカハラ、マタハラ等々と言われています。

これらは一様に、力や立場の強い者から弱い者に対する深刻な嫌がらせを言いますが、職場

だけで問題とされるのではなく、学校や家庭でも問題となり得ます。

 

わが事務所では、セクハラやパワハラで深刻な嫌がらせをうけた方々からのご相談やご依頼

を多く受けてきました。なかでも、当事務所の弁護士が全員女性であることから、女性の相

談者も多くお見えになります。「男性弁護士に相談したけど理解してもらえなかった」と

言って来られる方も珍しくありません。

 

弁護士に相談し依頼する場合の解決には、裁判だけでなく、弁護士が相手方と行う話し合い

(交渉)、裁判所での話し合い(調停)、職場の問題であれば労働審判という裁判よりも簡

易迅速な方法もあります。解決方法の選択については、しっかり時間をかけてお話しをお聞

きしたうえで、ご一緒に考えて決めています。

 

また、「裁判で勝つためにどのような証拠が必要ですか?」との質問を受けることも多いで

す。ケースによって異なりますが、相手方とのメールやLINEは消去せず残しておきましょ

う。相手方だけでなく友人や家族に相談したときのメールや、ご自分で日付と出来事を記録

したメモも参考になります。職場で上司から受けた暴言を録音していた方もおられました。

ただ、このような証拠が残っていなくても、ご本人の頭の中にある「記憶」も重要な証拠で

す。証拠がないとあきらめず、まずはご相談ください。

 

住みにくい世から煩い(わずらい)を引き抜いて、少しでも住みよくする。それも「ただの

人」がなせる業だと思うのです。

                                   皆さま、よい新年をお迎えください。

 

 

2014/10/31 ☆2014(H26)年11月 事務所便り☆

平成26年11月便り

「第16回 犯罪被害者支援経験交流集会」に参加してきました!

                    弁 護 士 寺  西  環  江

 

犯罪被害者支援経験交流集会とは、日弁連が主催する集会で、犯罪の被害者支援に携わる弁

護士や、これから被害者支援に携わっていこうとする弁護士などが集まり、被害者支援活動

の実情について議論を交わし、被害者支援の在り方について考えるための集会です。弁護士

のほかにも、検察官、医師、被害者支援活動を行うNPO法人の職員なども参加していま

す。私も、被害者支援にかかわる弁護士として参加しました。

今回の経験交流集会は、犯罪の被害の中でも、特に性犯罪の被害を取り上げ、「被害者の声

はなぜ届かないのか?」というテーマで行われました。

 

性犯罪に関する統計的な資料によれば、性犯罪は、人目に付かない状況で行われることが多

い犯罪であり、親族、知人など、被害者と何らかの関係にある人が加害者となることが多く

みられます。それ故、加害者の処罰を求める刑事手続きにおいても、また、被害の金銭的な

賠償を求める民事手続きにおいても、被害者が加害者を訴追するのが困難であり、仮に訴追

できたとしても、客観的な証拠が乏しいのが特徴です。

 

講演では、東京で強姦救済センターにかかわってきた弁護士が、性犯罪に関する事実認定に

内包される問題点(客観的な証拠が乏しいこと、裁判で性犯罪の被害を受けたことを認めら

れるために被害者が多大な精神的負担を負っている実情)を切々と訴えました。被害者に

とって、被害の実情を口に出すこと自体、非常に過酷な体験ですが、裁判の進行によって

は、捜査機関に対してだけでなく、裁判所でも被害の実情を語らなければならなくなりま

す。被害者が、何度も被害の追体験をさせられてしまうことも少なくありません。

他方で、被害者に対する偏見も根強く残っており、被害に遭った時の服装や、被害者の職

業、被害に遭った時間帯などで、被害者の落ち度が責められるなどの事態が、まだまだみら

れるそうです。

パネルディスカッションでは、検察官、精神科医、弁護士が、それぞれの立場から、被害者

支援の在り方、裁判所の事実認定について、熱い議論を交わしました。性犯罪の被害を受け

た人の心の傷がいかに深いか、医学的な資料とともに検証しました。

 

アメリカなどには、性犯罪の被害にあった人を救済するため、警察にも専門教育を受けたス

タッフが常駐しており、被害直後の証拠収集や、被害者の精神的ケアの仕組みが確立されて

いるそうです。欧米と比べ、日本はまだまだ性犯罪の被害に遭った方を救済するシステムが

十分に構築されていません。

それどころか、刑法177条が定める強姦罪は、女性に参政権が無かった1907年に作ら

れた条文が、今もそのまま利用されています。強姦の被害者は女性に限定されており、「暴

行または」「脅迫」によって女性を反抗できない状態に追い込まない限り、強姦とは評価さ

れません。

 

今回の集会に参加して、性犯罪とは何かという概念自体を、改めて見直し、勉強していかな

ければならないと感じました。また、性被害者の救済システムを構築する必要性を強く感じ

ました。集会で学んだことを、少しでも弁護士としての活動に生かし、活動していきたいと

思います。

 

 

2014/10/01 ☆2014(H26)年10月 事務所便り☆

平成26年10月便り    

 「相続」についてーその2 

          ~遺産分割について考えること~

                          弁護士 大 国  和 江

 

 

5月便りで、相続は、故人(被相続人)の財産(プラスもマイナスも含みます)相続で          

あることを書きました。民法は、相続財産の範囲、誰が相続人となるか(法定相続

人)、相続人のそれぞれの取り分はどれだけか(相続分)について、規定しておりま

す。

 

法定相続人については、配偶者は常に相続人となり、その他の親族は①子(死亡

の場合は孫)、②父母(死亡の場合は祖父母)、③兄弟姉妹(死亡の場合はおい、

めい)の順番で相続人となると規定されておりますので、①がいないときは②が、

①・②ともいなければ③となります。

法定相続分については、配偶者と相続人の順番によって相続分の割合が決められ

ております。配偶者が①の相続人と相続する場合は、その相続分は2分の1に、②

の相続人と相続する場合は、その相続分は3分の2に、③の相続人と相続する場

合は、その相続分は4分の3になり、配偶者以外の同順番の相続人が複数人いる

場合のその相続分は「平等・均一」とされています。

 

最近、お父さんを亡くした女性(40歳代、家族4人暮らし)から相談を受けました。

父・母は、私達兄妹が育った実家で、兄家族と一緒にくらしていました。兄が父の法

事の席で、「この家は自分が相続したい。お前には預貯金の500万円渡すからそ

れでよいだろう」と言われました。相談者は、お兄さんからそう言われたときは、ま

あ、もらえるものがあればそれでいいかなと思ったのですが、兄に一方的に押し付

けられると、「自宅が兄の物になれば帰りにくくなるのでは?」、「兄はまだ財産を隠

しているのでは?」、「母親は今後どうするのか」など、疑問がわき、どうしたらよい

のかと迷っているとのことでした。

 

民法は「相続分」の割合は決めておりますが、実際の分け方については、相続人全

員で「遺産の物・権利の種類、性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活

の状況その他一切の事情を考慮して」協議し、行うとしております。相続人全員で話

し合って決めるということです。

 

相談者の場合も、仮に自宅の固定資産評価が1500万円、預貯金が500万円で

あれば、相続財産の合計は2,000万円となり、相談者の相続分は4分の1ですか

ら問題がないように思われます。しかし、相談者がお兄さんの提案に疑問をもち、悩

まれるのは、お兄さんが「相続財産の範囲」を明らかにせず、「分け方」についても

相談者と話し合わず、一方的に押し付けていると思えるからではないでしょうか。

 

遺産分けは、相続人間で隠し事をせず、財産関係を明らかにして、相互に「信頼」を

もって話し合って解決されてこそ、相続人全員の納得がえられるものと思います。ま

た、相続人当事者もそう願っておられることが多いです。

結果の「損・得」だけではなく、お互いの「現在の生活状況」、「これからの生活」につ

いても思いやりをもって、理解し合って、話し合いができればよいのではないでしょう

か。

 

 

2014/09/01 ☆2014(H26)年9月 事務所便り☆

平成26年9月便り

『昔とは違う!?奨学金制度』   弁護士 儀 保  唯 

 

今回は、教育の格差を是正する奨学金制度の問題について考えたいと思います。

 

私は、高校・大学・法科大学院に進学するにあたって、奨学金を借りました。

これは珍しいことではなく、大学生のうち奨学金を受給している学生は、

全学生の半分を超えており、奨学金を借りなければ進学できないのが今の日本の現状で

す。

原因は、日本の学費が、国立大学でいうと、1969年と比べて2013年の授業料は約

44.7倍となっており、急激に上昇していることが挙げられます。

それに加え、年功賃金制や終身雇用制などの日本型雇用から、不安定で低賃金の非正規雇 

用の拡大という変化があり、個人で子どもの学費を負担する余力のある家庭が減ってきて

いることがあります。

 

 奨学金制度は、親の貧困によって子どもが進学を断念することのないよう、学びたいと思

 う者に教育を受ける機会を与える重要な制度です。

しかし、日本の奨学金制度には、問題があります。

かつて、日本育英会(現在:日本学生支援機構)の奨学金には利子がつかなかったのです

が、1984年の日本育英会法の全面改正によって奨学金に有利子枠がつくられ、今は有

利子の奨学金の割合が7割を超えます。

また、奨学金の返済を滞納すると延滞金も発生する仕組みになっており、延滞金発生後の

返済では、返済金はまず延滞金の支払に充当され、次いで利息、最後に元本に充当されま

す。

 2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達し、これらは奨学金の 

 原資とは無関係の銀行や債権回収専門会社に支払われています。

他方で、非正規労働者が拡大していることから、奨学金を返済することができない者が増

えており、日本学生支援機構の奨学金について滞納者は33万人(2010年)、返還滞 

納者の個人情報機関への登録(いわゆるブラックリスト化)は1万人を超えています

(2012年)。

奨学金は、銀行や債権回収会社に利益をもたらす「金融事業」であると同時に、返還する

本人および家族を貧困から脱却させるのではなく、むしろ貧困を固定化させる制度になっ

てしまっているといえるでしょう。

日本では、教育を公金ではなく私費でさせるべきという意識が高いですが、個人的には、

教育費用は公的にまかない、教育を受けた者は働いてそれを社会に還元する、というヨー

ロッパなどでの考え方に共感を覚えます。

ただ、義務教育以上の高等教育を無料にするということはなかなか難しいと思いますの

で、せめて、高等教育を受けたい人が進学できる道を確保できるよう、現在の奨学金制度

を変えていかなければならないと思います。

奨学金を無利子化すること、返済金は先に元本に充当されるようにすること、さらに、給

付型奨学金の導入・拡大がなされるべきだと思います。

 

 仕事上、様々な家庭の事情をお聞きしてきましたが、親が子どもの学費を苦労して工面し

 ている場面によく出会います。そのたびに、どんな境遇にあっても教育を受けられる社会

 にしたい、と強く思うのです。

 

【参考図書】

『日本の奨学金はこれでいいのか!-奨学金という名の貧困ビジネス』

 奨学金問題対策全国会議[編]

 

 

 

 

 

 

2014/08/01 2014(H26)年8月 事務所便り

平成26年8月便り

 

DNA鑑定では「法律上の父親」を変更できない?

弁護士 秋 吉  理 絵 香

 

平成26年7月17日、「父子関係」についての注目の最高裁判決が出たことを、ニュース

等で耳にされた方もいらっしゃると思います。

この事案は、原告女性が、元夫との婚姻期間中に産まれた「子ども」と「元夫」の父子関係

を否定するために、訴訟を提起したものです。

元夫は、子の出生から約2年の間、子どもが自分の子であると信じて養育していました。

 

民法上、妻が婚姻期間中に懐胎した子は夫の子と推定されています。推定された父子関係を

否定する手続きは、夫が子の出生を知ったときから「1年」以内にしなければならないとさ

れています。

1年が経過した後は、子の懐胎時期に「事実上の離婚状態」にあった等の例外的事情がない

限り、それ以上、父子関係を争うことはできません。

本判決の事案では、夫が子の出生を知ったときから1年が経過していましたが、DNA鑑定

によって元夫と子が親子関係にないことが、生物学上明らかになっていました。

しかし、最高裁は、早期に子の身分関係を安定させるために、父子関係を否定することので

きる期間を「1年」に限定した民法の趣旨を重視し、本件訴訟手続において、父子関係を否

定することは認めませんでした。

 

最高裁は、このように現行民法の形式的適用を貫いたわけですが、そもそも、現行民法が制

定された当時は、現在のような精度の高いDNA鑑定などは想定されていませんでした。D

NA鑑定で親子関係を確定できる現在においてまで、民法の規定を形式的に適用するという

ことで良いのでしょうか。

元夫と子の父子関係を否定できない場合、生物学上の父を子の「父」として戸籍に載せるこ

とができない、という問題があります。

生物学上の父との合意があれば、養子縁組を行うことは可能ですが、血縁上の関係を正しく

戸籍に反映したい、という要望はかなえられません。

また、生物学上の父が養子縁組に応じない場合、通常は、認知をしてもらうことも難しくな

るでしょう。そうなると、子は、生物学上の父に扶養や養育費を求めたり、相続権を主張し

たりすることもできなくなります。

 

時代の変化に伴い、父子関係に関する民法の規定の見直しをしなければならない時期にきて

いるのかもしれません。

 

なお、本判決では、「法律上の父子関係(懐胎時の法律関係によって社会的に形成された父

子関係)」と「生物学上の父子関係」の関係のみが問題となっており、「実際に養育をして

いる父」が誰か、という点には注目されていませんでした。

司法に携わるものとして、父子関係を考えるにあたっては、様々な「父」の狭間で子どもが

振り回されることのないよう、できる限り子どもの利益を害することのないよう、慎重に議

論を重ねていきたいと思います。

                          

 

2014/07/01 2014(H26)年7月事務j所便り

 

平成26年7月便り

「アメリカの共同親権と比較して」  弁護士 小 林   由 巳 子

 

わが事務所の弁護士は、専用の個室を持たず、大部屋で、7つのデスクをくっつけてできた

島のような大きなデスクで5人が顔を合わせながら仕事をしています。

先日、1人の弁護士から「クレイマー、クレイマー」という映画の話を聞きました。私はそ

の映画に興味がわきましたので、早速、DVDを買って観ることにしました。

「クレイマー、クレイマー」は、1979年にアメリカで公開され、アカデミー賞(作品賞等ほ

か4賞)を受賞した名作映画として知られています。

専業主婦の妻が、仕事一筋の夫との結婚生活に限界を感じ、夫と7歳の息子を自宅に残して

1人で家を出る場面から始まります。残された父親と息子は助け合って生きていく中で絆を

深めていくのですが、約1年が経ったころ、妻が息子を取り戻そうとして夫婦間の法廷争い

に発展し、裁判所は子どもを妻に引き渡すよう命じます・・・。

 

映画の中の裁判所が下した判断は、①子どもと父親の面会交流の方法と、②子どもを置いて

出た母親が子どもを引き取ることになった結論が、日本の家庭裁判所とは違った視点で考え

られていたので気になりました。

 

映画の裁判所は、子どもを引き渡した後、非同居親となる父親に対して「隔週末および毎週

1日」の子どもとの面会交流を認めていました。

アメリカでは、日本と異なり離婚後は「共同親権」(2人の親が共同で子どもに関するとり

決めを行う)を定めているため、子どもと一緒に住まない親との面会交流についても、同居

親とかなり平等に近い時間を子どもと過ごせるように配慮されています。

 

他方で、現在の日本の家庭裁判所は、離婚後は「単独親権」(1人の親が子どもに関すると

り決めを行う)であり、子どもと一緒に住まない親との関わり方についても、概ね月に1

2回程度の日帰り面会しか認めない場合が多いように感じます(これと異なる面会を認め

るケースもあります)。

アメリカでは30年以上も前から、週末を折半し週1回は子どもと会える面会交流がごく一般

的に認められていたのですから、日本にはアメリカと比べて「子どもが、親に会う権利」と

いう発想が少ないのではないかと思うのです。

 

また、映画の中では7歳の息子を置いて出た母親に、子どもと同居する権利が認められてい

ました。

しかし実際には、配偶者からの暴力など緊急事態は別として、「自らの決断で子どもの監護

を相手に任せた親」とみなされるおそれがある場合、相手と同居している子どもを取り戻す

主張を家庭裁判所で認めてもらうことは容易ではありません。

もし、子どもを置いて自分から家を出て別居しよう、もしくは、相手の同意なく子どもを連

れて別居しようと考えている方は、別居に踏みきる前に、ぜひ弁護士にご相談ください。ご

一緒に最善の方法を探しましょう。

 

 

映画の終盤、父親が裁判所の結論(母親に引き渡す)を息子に伝える場面や、母親が子ども

を引き取りに来た際の場面は、この映画の見どころの一つと思います。2人がどれほど息子

を愛しているかがよく表れていて、切ないけど温かい、そんな気持ちになりました。お勧め

です。

2014/06/01 2014(H26)年6月事務j所便り

平成26年6月便り

「子どもの日記念イベント2014」に参加してきました。

                    弁 護 士 寺  西  環  江

 

平成26年4月27日、広島弁護士会が主催する子どもの日記念イベント2014に参加し

ました。子どもの日記念イベントは、広島弁護士会の子どもの権利委員会が主体となって平

成21年から毎年行っているイベントで、今回が5回目です。

第1回の子どもの日記念イベントは、家庭などに居場所が無い少年たちがたくさんいること

を世間に知ってもらい、子どものための避難シェルターを作る気運を高めるために行われま

した。以後も、毎年、子どもたちが直面している問題について大人が知って考えるべく、少

年非行いじめなどをテーマにして演劇と講演を行っています。演劇には、高校生も参加して

くれています。

 

今年のテーマは、「非行少年に寄り添う」。

 

演劇の内容は、家庭に居場所が無い少年が事件を起こしてしまうのですが、付添人の活動や

家族の支えにより立ち直っていく物語です。私は、弁護士事務所のボス弁(ボスの弁護士

役)だったので、普段の活動が劇になっているという感じで、演じること自体それほど難し

くありませんでした。ところが、高校生の皆さんは、大人の役を演じたり、バーでお酒を飲

む役を演じたり、父親役の弁護士と舞台上で格闘する場面があるなど、非日常を演じなけれ

ばなりません。

例年、家庭に居場所がない少年、いじめっこ、非行少年などを演じる高校生は、気持ちがわ

からないということで、練習の過程でとても苦労するのだそうです。時には、理解できない

苦しみで涙を流しながら、非行少年の気持ちを考えるのだとか(役者ですね)。

今年の主役たちも、例にもれず練習中にとても悩み、苦しんで、大変そうでした。

 

高校生と一緒に演劇をするというのは、普段なかなか接する機会のない方々と触れ合えると

いう意味でもいい経験になりますが、高校生に家庭に居場所が無い少年や非行少年を演じて

もらい、劇にかかわることで彼らの気持ちを考えてもらうことにも意味があると思いまし

た。

練習を繰り返すうちに、高校生の演技、そして、高校生に触発された弁護士たちの演技も、

鬼気迫るものになっていきました。苦労の甲斐あって、今年の劇も大成功だったと思いま

す。

 

シンポジウム終了後に回収したアンケートの中には、「子どもたちとのかかわりを考える

きっかけになった」「親の立場を考えさせられた」など、たくさんのご意見が寄せられてい

ました。これからも、このシンポジウムを通じて、皆さんに子どもたちが直面している問題

について、考えてもらえるきっかけになればと思います。

 

2014/05/01 2014(H26)年5月 事務所便り

 平成26年5月便り    

「相続」についてーその1 

 ~相続について考えること~

        弁護士 大 国  和 江

 

戦後民法は相続について、それまでの家を次ぐ「家督相続」から個人が所有する

「財産相続」に改めました。

「家督相続」では、戸主(家長)が隠居・死亡すれば、直系の長男が一人で相続する

「単独相続」となっていましたが、「財産相続」では、個人が亡くなったときに、同じ立

場の相続人が複数いる場合、その人の「財産」(プラスもマイナスも)を「平等・均一」

に相続することになりました。ただ民法900条ただし書きでは「嫡出でない子」の相

続分について、「嫡出である子」の相続分の二分の一とする差を設けていました。

「嫡出である子」とは法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子をいいます

が、「嫡出である子」は「嫡出でない子」の倍相続できるようにされていたのです。子

どもの個人の権利保障よりも「法律婚」を「正当な婚姻」として尊重する立場がとられ

ていたのでした。

 

ところが、「嫡出でない子」の法定相続分の差別規定について、最高裁大法廷は昨

年(平成25年)9月4日、憲法の「法の下の平等」に反し「違憲」であるとする決定を

出しました。子どもの権利を尊重し、平等とする決定でした。

平成25年12月5日、早速民法の一部改正が行われ、この規定は削除されました。

明治31年以来115年がたっての改正でした。

しかし最高裁の決定については「嫡出でない子」を保護することは、他方で「法律

婚」ひいては家制度を崩壊させることになると危惧する反対意見も多くあります。

 

子どもが生まれれば、14日以内に戸籍の届をしなければなりませんが、届には「子

の男女の別」のほか「嫡出子又は嫡出でない子の別」も記載することになっていま

す。このほかに、戸籍の記載には実父母の氏名及び実父母との続柄を記載するこ

とになっています。戸籍を見れば「嫡出である子」、か「嫡出子でない子」かがわかり

ます。

「嫡出である子」と「嫡出子でない子」の相続差別は今回の民法改正によって解消さ

れましたが、戸籍の改正は見送られました。戸籍上「嫡出でない子」とわかれば、世

間的には差別的な目で見られたり、差別的扱いを受ける場合がまだ多くあります。

なお、戸籍の記載として「嫡出子」の場合は「続柄」の記載が求められます。「嫡出

でない子」の場合には「子」とのみ記載されます。「相続」において、子は平等である

ならば、続柄を残す意味がないと思われますが、社会的には、長男が親の面倒を見

て当たり前、親の面倒を見る長男が親の財産を相続するのも当然とする考え方は、

まだ、根強くあるように思われます。

 

社会の意識・常識・慣習が変わるには時間がかかりますが、意識・常識・慣習が変

わることによって法が変わり、また、法が変われば社会の意識・常識・慣習を早く変

えるきっかけとなるのではないかと実感するところです。

2014/04/01 2014(H26)年4月 事務所便り

平成26年4月便り

 

「 里親制度を知っていますか? 」?   弁護士 儀 保  唯

 

私の両親が里親をしていることもあり、今回は、あまり知られていない里親制度について

お話したいと思います。

 

親の病気や死亡、虐待等、家庭で暮らすことが困難になった子どもの多くは、児童養護施

設で生活することになります。

児童養護施設は、一つの建物のなかで集団生活をするというのが主な形態ですが、最近で

は、環境をより家庭的な雰囲気に近づけようと少グループで生活する施設も増えていま 

す。

 

里親というのは、児童養護施設ではなく、一般家庭で子どもを養育する制度ですが、里親

に委託される子どもはとても少ないです。

児童養護施設に入所している児童の数が、2万9399人(平成24年10月時点)であ

るのに対し、里親に委託された子どもの数は、4295人(平成24年3月末時点)し 

かいません(参考:厚生労働省HP)。

 

里親は、よく養子縁組と間違われますが、養子縁組と異なるのは、里親と里子の間には、

法律上の親子関係がないというところです。

里親には、里子の養育費と里親手当てが国から支給され、里親のもとに居られるのは、児

童養護施設と同じ、原則18歳までです。

里親に委託される期間は、子どもの事情によって様々であり、児童養護施設で生活していて

も、週末だけとか、夏休みの1~2週間だけ里親の家で生活するというケースもあります。

 

里子の年齢が幼いほど、里親と実の親子のような関係を築きやすいのですが、里子の年齢が

高くなると里親との関係を築くことが難しくなることもあるようです。

また、そもそも家庭を失った子どもは、それだけで大きな喪失感を抱えていますし、親を亡

くしたり、虐待を受けた子どもは、心に傷を負っていて、不安定な状態にあります。

私も実際に里子と暮らしたことがありますが、里子が持っている不安な気持ちへの対応や、

他人だった人間同士が家族になる大変さを実感しました。

 

しかし、親が病気になったり事故に遭ったりすることは予測できませんし、子どもの養育が

困難になることは、誰にでも起こりうることです。

 

そういうとき、その子ども達をどのように養育していくのか、その環境を社会の仕組みとし

て整えていく必要があると思います。

 

里親をすることは簡単なことではないかもしれませんが、私は里子と暮らしてみて、里子の

成長を感じたときはとても嬉しかったですし、私達家族も里子と接することで教えられたこ

とがたくさんあります。

 

まだまだ数の少ない里親ですが、里親制度のことをもっと多くの人に知ってもらい、里親が

子育ての悩みを気軽に相談できる場所を増やす等、地域の人々で里親と里子を支援していく

体制が充実していけば、里親をしてみようと思う人が増えるのではないかと思います。

 

2014/02/27 2014(H26)年3月 事務所便り

平成26年3月便り

 

「家族」って誰をいうの?   弁護士 秋 吉  理 絵 香

 

  また梅の花の季節がやってきました。

 昨年の政府統計によると、3月は、「婚姻」「離婚」のいずれも、

一年で最も多い月のようです。

婚姻は6月が多いイメージですが、実際は違うのですね。

 

 当事務所は、女性弁護士のみの事務所ということもあってか、多くの「家族」に関する

ご相談をお受けしています。

 「家族」といっても、その形は様々ですし、法律上の定義があるわけでもありません。

 

 先日、私の親族の法要の席で、僧侶から「家族の方のみどうぞ」という呼びかけが

ありました。

厳粛な雰囲気の中で、「すみません。家族って誰が含まれるんですかー」「何親等までです

か」「核家族の意味ですかー?」などと聞ける雰囲気ではありません。

 結局、よく分からないままに、遠慮した多くの親族らは、後で僧侶から「あんたらは家族

じゃないのか」と怒られてしまったのでした。

 「家族」という言葉は、本当に曖昧ですね。

 

 周知のとおり、今は、昔のような「家」制度は廃止されています。

 長男が跡取りとして、両親の「家」を当然に相続するというのではなく、(遺言のない限

り)子は皆平等に遺産を相続するのです。

 また、婚姻においても、夫側の「家」が妻側の「家」から嫁を貰い受けるというのではな

く、夫と妻が共に実家から独立して、新たな世帯を作ることになっています――少なくとも

法制度上は。

 

 実際、両家実家から独立した子世帯のみで生活する「核家族」は増えていますし、さらに

夫婦の3割は離婚すると言われるこの時代、「母子家庭」「父子家庭」の数も多くなってい

ます。

 他方で、長男一家が、「跡取り」として親世帯と同居し、長年に渡って生活を共にし、介

護をして親の最期を看取る――そのような「家族」もまだ多く存在していることも事実で

す。

 

 このように、「家族」のかたちが多様化していく中で、法で定められている「相続」制度

が現実に適合しない、不相当である場面もしばしば見られます。

 たとえば、現行法上、お嫁さんは、どれほど夫の両親に尽くしても、(遺言のない限り)

夫の両親の相続人ではありません。

夫との間に子供がいなかった場合、夫が夫の両親より先に亡くなってしまったら、お嫁さん

は夫の両親から何も相続できなくなってしまうのです。

 また、逆に、血縁上の相続人であれば、事実上絶縁しているような状態であったとして

も、原則として「相続」は発生します。

 

 このような、画一的な「(法定)相続」を貫くことが相当でないと思われる場合には、遺

言を残されることをお勧めします。

 なるべく自分の思いに近い形で、遺産を残すことができるように。

 遺言の書き方については、決まりがありますので、詳しくはご相談にお越しください。

 

 遺言を残す、残さないにかかわらず、「家族」というものが曖昧になっている今だからこ

そ、自分が「家族」と思う人たちとの縁を大切にしていきたいですね。

  

2014/02/01 2014(H26)年2月 事務所便り

 

平成26年2月便り

「法律が保護する『夫婦の秘密』?」  弁護士 小林由巳子

 

昨年12月10日、最高裁判所小法廷は、性同一性障害者の性別の取扱の特例に関する法律によって、男性への性別変更の審判を受けた夫の氏名が、その妻の出産した子の「父」として戸籍に記載されることを認めました。
 
この判断は、5人の最高裁判事のうち2人の反対意見があるなかで決定されたものでした。各裁判官の意見を読み、私なりに分析してみたところ、血縁重視か?子の利益か?という点が鋭く対立しているように思えました。
 
民法の定める嫡出推定の規定は、婚姻と婚姻の前後期間をキッチリ区切ることによって、出生した子の「父」を推定するものです。この規定の趣旨は、「夫婦の間の家庭内の事情、第三者からはうかがうことができない事情を取り上げて父子関係が否定されることがないようにした」ことにあるそうです。
 
過去の最高裁は、「第三者からはうかがうことができない事情」の例外として、①長く別居・離婚状態で交際を絶っていたケース、②懐胎当時夫が出征していたケースについて、「推定が及ばない」との判断をしています。
 
多数意見の木内裁判官は、夫が特例法を受けた事情は第三者に明らかな事情ではないから推定を排除する理由にならないとしたうえで、子の利益の観点から、「推定は父を確保するものであり、子の利益にかなうもの」と書いています。さらに、子が偶然に父と血縁関係がないことを知る事態によって子に不本意な葛藤を与えることについて触れ、「この点についての子の利益は,子の成育状態との関係で適切な時期,適切な方法を選んで親がその子の出自について教示することにより解決されることという他ない」との意見を表明していました。 
 
この点は近時芸能人の騒動でも話題になりましたが、私自身も法律相談の際に時折、「未婚の母になったが子供に父親のことを何と説明したら良いのか」という質問を受けることがあります。私自身の人生観・親子観を問われる非常に難しい問題ですが、子どもと真剣に向き合って、お母さんが出産を決意した気持ち、子育てで得た喜び、そしてお父さんの良いところを素直に伝えてあげてほしいとお話ししています。
 
子どもの立場で考える視点。裁判所にも弁護士にも、社会全体にも、そして一人一人の大人にも、忘れられてはならないものと思います。
2013/12/01 2013(H25)年12月 事務所便り
 「離婚」についてー6 ~結婚する、しない?家族のゆめ~
 弁護士 大 国 和 江
 
 
「離婚」の相談を受けるとき、「結婚」について考えさせられることが多くあります。
 
30才に近くなり、交際していた人との子供を妊たこともあって、会社をやめ結婚することにしました。夫と話し合って、子供が小さいうちは私が家事・育児をすることにしました。しかし子供が生まれて見ると、私は慣れない子育てで、夜も昼も子供だけで精一杯となり、夫も家にいるとき、私が頼めばしぶしぶと手伝いますが、いい顔はしません。言えば喧嘩になるので話す気もなくなりました。こんな結婚生活ではなかったはず、一人で子育てする方がよほど楽と思うこの頃で、「離婚」が頭をよぎります。
 
確かに、法律は届出をした結婚を「法律婚」として、届出をしていない「事実婚」(内縁)と違って、夫婦に同居、協力、扶助の義務を課し、また、資力に応じて生活費を分担しなければならないとしております。また、「法律婚」で生まれた子供は「嫡出子」として、「事実婚」、「配偶者以外の異性間」で生まれた子供は「非嫡出子」として、相続において「非嫡出子」は「嫡出子」の半分としています。そして「法律婚」や、「法律婚家族」を尊重しようとする立場なのです。
ところが、「嫡出子」と「非嫡出子」の相続差別規定については、本年9月に最高裁で「違憲」(子供は平等であるとする立場からこの規定を無効とする)判決が出て、現在国会で「平等」とする「立法化」の取り組みが行われています。
 
最近は、未婚、晩婚化、少子化、高齢化が進んでおり、「結婚する人、しない人」、「夫婦・子供家族」のあり方など女性の生き方、家族のあり方が多様化しており、法律が尊重しようとしてきた「結婚」では、実効の確保も難しく、保護も完全ではありません。また「家族」は、現在の多様化する家族に対し不十分で不適切な「対応」とならざるをえない状況が目立ちます。
 
作家の大庭みな子さんは、幸せな結婚とは「離婚できる状態でありながら、離婚したくない状態である」、「独りで生きなければならない場合を予期しながら、現在の慰め合える状態を尊いものに思うのが結婚を幸せにする方法である」と書かれています。
 
私は日ごろ、結婚とは、「結婚ありき」ではなく、自分の生き方を充実させるための一つの選択であり、家族とは、一緒に暮らしている人にそれぞれが幸せな人生を分かちあえることではないかなと思っています。
2013/11/01 2013(H25)年11月 事務所便り

 

平成25年11月便り
「第56回人権大会に参加しました」  弁護士 寺 西 環 江

10月3日、4日の2日間、広島で、日弁連主催の第56回人権擁護大会が開かれました。人権擁護大会というのは、1958年以降、半世紀以上にわたって弁護士会が開催してきた大会で、様々な人権課題を取り上げ、宣言・決議として多くの具体的な提案をするものです。広島での開催は、実に44年ぶりです。

今回のシンポジウムは、被爆地ヒロシマでの開催ということもあり、「放射能による人権侵害の根絶を目指して」をテーマにした第1シンポを中心に、「今なぜ『国防軍』なのか?」というテーマの第2シンポ、「『不平等』社会日本の克服」をテーマにした第3シンポの3つが開催されました。
 
私は、第2シンポの総合司会だったので、シンポジウムの一部始終を最前列で見ることができました。
シンポの中では、まず、自民党の憲法改正草案に取り上げられている「国防軍」設立に向けた動きについての問題提起がなされ、憲法9条との関係で国防軍がどのように位置づけられようとしているのか、日本の防衛の観点から、本当に「国防軍」が必要なのかについて、白熱した議論が交わされました。

シンポジウムは、5時間半もの長丁場でしたが、憲法とは何かについてビデオ説明がなされたり、合間に戦闘機の離着陸の騒音が流されたり、ビデオレターが上映されたりと、盛りだくさんの内容でした。
ジャーナリストの高遠菜穂子さんからのビデオレターには、イラクで生まれた、たくさんの障害のある赤ちゃんの写真が映っていました。小頭症の赤ちゃんや、肛門のない赤ちゃん、心臓がからだの外に飛び出している赤ちゃんです。劣化ウラン弾が残した放射能の影響と言われていますが、こんなにたくさんの、イラク戦争後に生まれた何の罪もない赤ちゃんが傷つけられていることを目の当たりにし、涙が止まりませんでした。

パネラーの皆さんの共通の意見でしたが、国を守るということは、攻撃を受けた際の防御力・反撃のための攻撃力を高めることではなく、攻撃されないための政策、リスクを減らす方法を考え出すことなのではないでしょうか。
改めて、平和の大切さをかみしめ、国内に米軍基地のある日本で、どうやって平和を守っていくべきなのかを考えさせられました。
 
翌日の大会では、各シンポジウムの内容に沿った形で、憲法96条の改正に反対する決議を始め、福島第一原子力発電所事故についての被害救済と脱原発政策についての決議など、4つの決議が採択されました。
次に広島で人権擁護大会が開かれるのが、いつになるのかわかりませんが、その日まで、今回のシンポジウムで学んだことを、伝え、共有し、また、弁護士として、決議実現のために尽力することで、平和のための活動の一端を担っていきたいです。
2013/10/01 2013(H25)年10月 事務所便り
平成25年10月便り

お墓と葬儀をめぐるトラブル」   弁護士 秋 吉  理 絵 香

 

真夏の暑さも終わり、朝出かけるときに上着を羽織るかどうか、

悩ましい季節になりました。

一年を一日にたとえるなら、10月はちょうど夕方6時くらい。そろそろ終盤(年末)に向けて、やり残したことはないか、振り返ってみる頃合いですね。

同じように、人の一生を、一日にたとえてみたらどうでしょう。男女で違いはありますが、自分の年齢に、大体0.27を掛けてみたら、大体の時間が分かります。
たとえば今、40歳の方でしたら、「40(歳)×0.27=10.8(時)」正午にもなっていないのですね。まだまだこれからです。あなたは、今、何時くらいの時を生きていますか?

 

私は、この夏、日本弁護士連合会の主催による、消費者セミナー「多様化した墓・葬儀のサービスをめぐる消費者トラブル ~老いと死の準備を考える~」に参加しました。お墓や葬儀をめぐる問題について、考えさせられたことを、少しご紹介したいと思います。

 

近年、お墓や、葬儀の種類がとても増えてきていて、「樹木葬」「散骨」「ロッカー式納骨堂」「マンション式納骨堂」など、知っているようでよく知らない、色々な言葉を耳にします。

既に、あちこちの情報を集めて、検討しておられる人もいるのでしょうけれど、多くの人にとって、身近な人の「死」は、ある日突然にやってきます。そして、いざそのときになると、大きな悲しみと衝撃で、誰でも冷静ではいられないものです。

そんな中で、バタバタと葬儀やお墓の準備をするということになれば、落ち着いて何社もの見積もりをとって、比較検討することなどできません。普段、数千円、数万円の電化製品などを何日も悩んで買われる方も、このときばかりは何十万、何百万円という単位の葬儀費用を、ほとんど即断で決められたりするようです。

 

しかし、葬儀費用には、一般的な「相場」というものがありませんし、葬儀業界には、そもそも法的規制というものがありません。明日、私が葬儀業者を名乗って葬儀会社を立ち上げようと思えば、それができてしまうのです。

ですから、葬儀会社の中には、内容やサービスが不適切な業者も存在します。そして、少なくない人が、後から考えれば不本意な契約をしてしまった、不必要に高額な物を購入してしまった、思いがけない追加料金を請求された、などのトラブルに巻き込まれてしまいます。

 

このようなトラブルを防止するためには、まだ元気なうちであっても、自身や家族の「葬儀」「お墓」について、よく考えておくことが重要です。

そして、「親が互助会に入っていたのに、それを知らなかったため、互助会でないところで葬儀をあげてしまった」――などの意思疎通不十分によるトラブルを防ぐためにも、普段からご家族でよくコミュニケーションをとり、「葬儀」「お墓」についてそれぞれどのように考えているのか、知っておくことが望ましいですね。

 

人生の最期を、どのように締めくくるのか、何を残すのか――「終活」ブームの今だからこそ、流行や耳触りの良い言葉に惑わされず、よく考えたいと思います。     

 

2013/09/01 2013(H25)年9月 事務所便り

平成25年9月便り

「離婚したら旧姓に戻る?戻らない?」  弁護士 小林由巳子

 

今年の7月、8月は本当に暑かったですが、近頃は、涼やかな風が吹き虫の声が聴こえ、秋が近づいていることを実感できるようになりましたね。

 

さて、離婚する際に「氏」をどうするか、悩まれる方がいらっしゃいます。専ら女性からの質問ですが、婚姻前の氏(いわゆる旧姓)に戻るのが良いか、それとも婚姻中の氏を使い続けるほうが良いか、どうしたら良いでしょうと相談を受けることもあります。
職場で再度名前が変わるのは抵抗がある、子どもから名前を変えたら両親の離婚を周囲に知られるから嫌だと言われた、しかし夫や夫の親族と同じ氏は使いたくない・・・。
そんなとき、そもそも結婚するときに改氏の必要がなければいいのに、と感じます。

 

わが国では、現在「夫婦同氏制度」が民法で規定されているため、結婚する際には夫か妻のどちらか一方が氏を変更しなければなりません。

 

これまで法務省では、民法の改正法案として「夫もしくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するもの」とする、「選択的夫婦別氏(別姓)制度」の導入が提言されていましたが、国会提出には至っていません(詳しくは法務省のHPを参照ください。)。
その理由として、平成24年に実施した世論調査の結果(全体のうち、選択的別氏制度を導入しても構わない35.5%、現行の制度を改める必要はない36.4%)が挙げられています。

 

しかし、現行制度を改める必要を感じない人々のために、必要とする人が「選択する」道まで閉ざされてしまってよいのでしょうか。
結婚に際して、女性が氏を改める例が圧倒的多数というのが現実ですから、男性の多くは「現行制度を改める必要」は感じないかもしれません。
また、夫婦同氏にしたいと希望する人々も多く存在することと思います(私も個人的には同氏を希望します)が、同氏を希望する人は同氏を「選択」すればよいのです。

 

なお、別氏を選択した夫婦の子どもの氏については、「婚姻の際にあらかじめ子どもが名乗る氏を決めておく」という考え方が、上記法律案で採用されているようです。
そうすれば、もともと一方の親とは氏が異なるわけですから、子どもは両親の離婚とは関係なく従前の氏を使い続けることができますね。

 

私が関わってきた離婚事件では、どちらかというと旧姓に戻る女性が多数です。
旧姓に戻り、離婚ができたことを実感する依頼者の、輝きに満ちた笑顔を見る機会が減る寂しさはあるかもしれませんが、私は「選択的夫婦別氏制度」の導入を望みます。

2013/08/01 2013(H25)年8月 事務所便り
平成25年8月便り
 
「離婚」について その5 「子育ては親育ち」           
 
 弁護士 大 国  和 江
 
 
 最近、親による子どもの「虐待」で子どもを死なせたとの新聞報道を多く目にします。平成22年度の全国児童相談所における虐待相談件数は56,384件(東日本大震災の影響により福島県を除く)と10年前の倍となっています(厚生労働省平成22年度資料)。虐待死の子どもの年齢は0歳児が4分の1を占めており、出産直後の遺棄、子どもを道連れにする無理心中、などとなっています。また、実の母親や母親と同居する男性の、子育てを知らない「虐待」が目立ちます。「揺さぶり脳損傷」、なつかない、言うことを聞かないとして「しつけ」という名の度を超す「暴行」、育児ネグレクトとして子どもだけを何日も家に残し、食事を与えない、医療を受けさせないなど、子どもの命をも奪いかねないほどの虐待報道は後をたちません。
中学3年の子が門限(午後6時30分)を過ぎて帰宅したとして父親が激高し、着ていたTシャツにオイルをかけ、ライターで火をつけ大やけどをさせたとの報道には、「親」の犠牲になった子どもが痛ましくてなりません。
 
親子の関係について民法では、未成年の子がある両親が「離婚」する時には、子どもの親権者(養育監護者)をどちらか1人に決めることにしております。両親が「別居」するときに、相手親と話し合いをしないで、事実上子どもを自分の手元に引き取っている親もいます。
 
 このような場合、両親のどちらが子どもを育てるのが「子どもにとって幸せ」かが問われる訳ですが、どちらも自分が育てる方が子どものためになると主張し、譲らないことがよくあります。
「子どものために」といっても、その理由を聞くと、相手のしつけがなってない、相手は子どもの個性をのばしてやろうとは考えていない。子どもの食事について、健康・成長を配慮していない。子どもの進学・将来についても考えが違う。といろいろですが、要は相手親には子どもを任せられないというものです。
 
確かに、子どもが生まれれば「親」にはなりますが、それは親子関係のはじまりに過ぎません。「親」になるとは、親子でその後の親子関係を作り上げていくことだと思います。物言わぬ生まれたばかりの子どもであっても、親の思い通りに育てることはできません。子どもの訴え、変化、成長をしっかり看取り、親も日々初めて経験する親業を習得していくのです。子どもの成長にあわせた「よき親」(親業・養育監護者)となるためには、子どもを育てる中で教えられ、親として育っていくのではないでしょうか。
 
「よい親子関係」とは、自分が描く「親像」を、自分が願う「子ども像」に押しつけることではなく、「親子」で作り上げていくことではないかと思うこの頃です。

 

2013/07/01 2013(H25)年7月 事務所便り
平成25年7月便り
「子どもの養育監護について」  弁護士 寺 西 環 江
 
近頃、私が担当した相談や、受任事件の中でも、子どもを父母のどちらが育てるのか争いになる離婚事件が増えている気がします。
そこで、離婚で夫婦が別々の生活になった際、子どもは父・母のどちらで生活するのがよいのか、
すなわち子どもの養育監護について、改めて、考えてみようと思います。

 

離婚は、夫婦の問題ですが、養育監護は、あくまで親子の問題です。
離婚するときに、両親のどちらが「子どもの養育監護者」になるかの争いは、とかく親の意見・気持ちが前面に出ることが多く、「子ども」の意見・気持ちが後回しにされたり、見過ごされてしまうこともあります。しかし、子どもも自身も、父母のどちらと暮らしたいのかは選べないのではないかと思います。

子どもは、「パパとママと一緒にこの家で暮らしたい」と思っていることが多いのです。ところが、離婚の話し合いをする際には、父母である夫婦間の感情的対立が激しく、子どものための話し合いをするのが、とても難しいようです。

家庭裁判所を利用して離婚等の手続きを取る場合には、家庭裁判所が、父母双方の養育監護状況を客観的に調査したり、子どもの気持ちの聞き取りを行ったり、それを報告書にまとめて手続きを進めることがあります。

 

以前、私が担当した養育監護が争いとなっている離婚事件では、相手方であったお父さんが、絶対子どもは母親に渡さないと言っていたのですが、家庭裁判所の報告書を読んで、「お母さんが育てた方がいい」と考え、任意に子どもを引き渡してくれたことがありました。

このように、家庭裁判所を利用して、子どもの養育監護の問題が解決につながったこともあります。

 

弁護士として、養育監護をめぐる争いのある離婚事件を担当するに当たっては、争っているご両親の気持ちも汲み取りつつ、何が子どもの利益になるのか考え、子どもの利益に沿った解決を目指していきたいと考えております。

2013/06/01 2013(H25)年6月 事務所便り

 

平成25年6月便り

「交通事故について思うこと2」   弁護士 秋 吉  理 絵 香

 

 

交通事故に気をつけましょう、と呼びかける事務所だより「交通事故について思うこと」を

HPにアップロードした本年2月1日当日――奇しくも、私自身が交通事故に遭ってしまいました。

弁護士の立場から交通事故の事件を担当することはあっても、自分が怪我を負うほどの事故に

遭うことは初めてだったので、今回はその体験を踏まえてお話しさせて頂きます。

 

2月の事故は、自転車で通勤中の出来事でした。交差点で、道路を横断し終える直前に、交差道路

を走ってきた四輪車に横から追突された状況です。
通りすがりの目撃者の方は、当初、救急車を呼んだ方が良いなどと言われていましたが、

私が何とか起き上がり「大丈夫です」などと口走ったのを確認して、去って行かれました。
――足が痛いけど、耐えられないほどでもない。

さて、あなたなら、この状況で、次に何をしますか?

適切な対応は、「警察を呼ぶ」「四輪車の方の氏名や連絡先を聞く」などだと思います。

私も、最終的にはそのように対応しました――が、警察を呼ぶかどうかはかなり迷いました。

自分が当事者でなければ、即座に適切なアドバイスができたでしょう。けれど、そのとき動転した私の

頭の中を占めるのは、「仕事に行かなければ」が80%、「痛い」が20%です。

まず職場(当事務所ですが……)に遅刻の連絡をして、当事務所の弁護士と話をしてから、ようやく

平常心を取り戻し、警察に連絡をしました。

このとき、警察に連絡をしていなければ、後の処理は大変です。

交通事故証明書を発行してもらうのも大変になりますし、

交通事故証明書がなければ任意保険・自賠責保険の保険金請求をする際にも支障が出ます。

事故に遭ったら、警察を呼ぶ――当たり前だと思っていましたが、当事者になると、当たり前のことも

難しくなるのですね。なお、事故に遭ったときに警察に連絡することは、

道路交通法上の義務でもあります。

絶対に警察を呼ぶよう、心がけましょう。

また、事故直後にはたいした痛みもなく、傷跡がみえないと思っても、その後、痛みがひどくなったり、

打ち身のあざが広がったり、思いがけない後遺症が残ることもあります。事故直後には、ちゃんと病院に行くようにしましょう。

 

事故の後、まだ怪我の痛みに悩まされている時期に、(相手方)保険会社から過失割合の話などを

されるのは、気持ちがもやもやすることも実感しました。

また、今回のように、自分が注意していたつもりでも、事故は起こりうるのですから、

あらかじめ、任意保険にも加入しておくようにしたいですね。

私は、今回の事故後、慌てて自転車保険に加入したのでした……。

 

※ なお、2月の事故の際の怪我は、既に治っております。

  ご心配頂いた皆様、ありがとうございました。

 

これからも、交通事故当事者の気持ちに寄り添って、弁護活動を続けたいと思います。

2013/05/01 2013(H25)年5月 事務所便り

平成25年5月便り

「揺れ動く気持ち」  弁護士 小林由巳子

 

当事務所の最寄り駅は広島電鉄白島線の「女学院前」です。ちょうど今頃、

城南通り沿いの女学院前の歩道に、薄紫色のフジを見ることができます。

私自身、子どもだったときは眼中に入りませんでしたが、いくつも連なって

風に揺れる姿を見ると、可愛いなと思うようになりました。

 

ところで、今年の3月、最高裁判所で子どもの面会交流に関する判断が相次いで出されました。

面会交流とは、一般に、子どもが、両親の「離婚」、「別居」などで片方の親と暮らしている場合、一緒に住んでいないほうの親と交流することをいいます。この面会交流の実施方法などは、当事者で話し合って決まらなければ家庭裁判所でも取り決めることができるのです。

最高裁は、裁判所が取り決めた面会交流について、「面会交流」の内容によっては、その取り決めに違反して子どもを会わせなかった親に対し、裁判所が一定の金銭支払いを命じて「面会交流」を実行させる処分を認める、との判断をしました。

 

「面会交流」は、子どもが同居していない親からも、変わらずに愛情を注いでもらうことのできる機会ですから、個々の子どもの事情や状況に応じた細やかな配慮が必要であることは当然の前提としながらも、原則として「子どもの利益」にそって実行される方向で考えられているのでしょう。

 

当事務所では、多くの面会交流の調停や交渉を取り扱ってきた経験があり、私も、様々な面会交流の事件に関わる機会を与えていただきました。

そのような中で、特に離婚後に子どもの養育を行う母親からは、父親が養育費を払わなくなるのではないか、という不安をお聞きすることがあります。

その心配はありつつも、親子が面会交流を「継続的に」行うことを目指して調整し、続けられていくことによって結果的に養育費の支払いも促されるのではないでしょうか。

 

子どもの「会いたくない」という今の気持ちは、大人になるまで同じ気持ちであるとは限りませんね。一人一人の状況に応じて、その一人の子どものために実施する「面会交流」を、少しでも、お手伝いができればうれしいです。

 

2013/04/04 2013(H25)年4月 事務所便り

 

平成25年4月便り
「離婚」について  その4 ~家事事件手続法が変わりました         弁護士 大国和江
 
突然夫が「離婚」したいと言います。数ヶ月前頃から、話をしないし、よそよそしいなとは思っていたのですが。どうしてと理由を聞いても、夫は「1人になりたい」、「帰っても家には安らぎがない」と言います。
私は、子どもも小さいし、今が家族にとって一番大事な時なのに、そんな勝手なことを言われても、と、切れて、そんなのダメ、勝手すぎるとついつい大声で怒鳴ってしまいました。それ以来、険悪な状態が続いています。夫は家庭裁判所に申立てるというのですが、どうなるのでしょうか。これからどうしたらよいのでしょうか、裁判になればどうなるのでしょうか。という相談が結構多くあります。
 
夫が家庭裁判所に申立てるとすれば、「夫婦関係調整(円満)、(離婚)」の調停申立事件ですが、申立をされれば、裁判所は1ヶ月後ごろを目安に調停期日を入れ、当事者双方を呼び出すことになります。
ところで、家庭裁判所への「調停」、「審判」の申立をする場合に、これまで67年間使われていた「家事審判法」、「家事審判規則」がありましたが、このたびこの法律が抜本的に見直され、新しく「家事事件手続法」が作られました。本年(平成25年)1月1日から発効しております。
新しい法律は、手続きが利用しやすくなりましたし、当事者が調停の内容や進め方を知ることができるようになりました。当事者が主体的に「調停」に参加して、何が問題となっており、何をどのように解決していけばよいのかを、十分に話合い、双方が納得できる解決をすることを目指しております。
 
一方が「離婚したい」、他方が「離婚したくない」という相談の場合、とかく「離婚したいという理由」を詮索し、相手の「非」を言い募り、また、家族や子供のことを挙げて、相手に「離婚」を撤回させようとしがちになります。
しかし、相手の「非」を言い募り、家族のことで相手を思いとどまらせようとしても、それで、相手が簡単に離婚を引っ込めることは、ほとんどないでしょう。
 
夫が、これまでの夫婦・家族の生活にあって、毎日の積み重ねで何を「不満」に思い、家族から離れて行ったのでしょうか。たとえ、その結果今は、「女性」のもとにあったとしても、考え、慮った事がありますか。また、自分が「家族」のためにしていることを「金科玉条」にして自分を正当化していませんか。家族に「自分」を押し付けていたことはないでしょうか。
 
調停では、お互いの今の結論に至った「事情」や、「気持」を出し合って、自分たち夫婦の問題を客観的に理解し合い、「離婚か」、「修復か」納得できる解決ができればいいのではないかと思います。
調停の雰囲気がつかめなくて、どう進んでいくのか、どう解決すべきかがわからない場合は、気軽に弁護士に相談ください。弁護士は相手方との交渉や、調停などの代理人になることもできますので、ご利用ください。

 

2013/03/01 2013(H25)年3月 事務所便り

 

平成25年3月便り
「子どもが健康に育つということ・・・体験してみて」  弁護士 寺 西 環 江
 
先週の日曜日の夕方に、突然、私の生後8か月の長女が発熱しました。生まれて初めての風邪かなと思い、39度6分を越えたところで小児救急の病院に連れて行きました。
 
病院は、小さいお子さんを抱えた方であふれていて、2時間待ちと言われました。看護師さんに聞くと、忙しい時は、3時間待ちになることもあったそうです。待ち時間が長いことがショックでしたが、仕方なく、待っている間に長女がインフルエンザに感染しないように少し離れた所に座って診察までの時間を過ごしました。
 
発熱から間もないということで、長女に関しては、インフルエンザの検査をすることができず、熱さましの座薬をもらって帰りました。座薬のおかげで、夜の高熱は避けることができました。
そして、翌日連れて行った小児科で、インフルエンザの診断を受けたのです。
 
子育て歴が短い私にとって、夜中に子どもの看病をするのがどんなに大変かは、やってみて初めてわかったことでした。長女自身も苦しい様子で、頻繁に目を覚まします。子どもがうんうんと唸ると、私も目が覚めるので、ちゃんと布団がかかっているか確認し、熱が上がっていないか体を触ってみて、また床に着く、の繰り返しでした。
長女が、夜中に音もなく目を覚まして、枕元にちょこんと座っていたときは、タミフルによる異常行動かとはらはらしました。
夜になると熱が上がるので、眠れない日が数日続きました。少しでも眠りたいと思っている私としては、横で寝ている夫のいびきにイライラする始末で・・・。
発熱から5日目に、長女の熱はやっと下がり、私もゆっくり眠ることができています。
 
子どもが健康に育つということは、養育監護にあたる子どもを愛している人たちが、考え、気を使い、大切にすることの繰り返しなんだということを、身をもって感じた1週間でした。また、高い熱を出している子どもが、診察まで何時間も待たなければいけないという実態を知り、小児医療が充実していない現状も目の当たりにしました。
 
長女は、もうすぐ保育園に入園する予定ですが、外に出て、人と接する機会が増えると、病気にかかる回数も格段に増えるそうです。
こうやって、親力も鍛えられていくのでしょうね。これからは、今まで以上に健康に気をつけて、親子で予防接種もちゃんと受けようと心に決め、今日も仕事に励みます。

 

2013/02/01 2013(H25)年2月 事務所便り
平成25年2月便り

「交通事故について思うこと」   弁護士 秋 吉  理 絵 香

 
雪溶け道を、さくさくと歩いて出勤した1月末――広島は、この冬一番の寒波の直撃を受けたということです。恐れを知らないのか、凍った道を自転車で爆走する学生さんを見ると、見ているこちらの肝が冷えます。
 
さて、最近のテレビ報道などでは、飛行機事故のニュースが頻繁に取り上げられています。甚大な被害を想像しやすい分、飛行機は怖いなあ、という印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。
けれど、「事故」は他人事ではありません。飛行機には乗らなくとも、私たちは、毎日、道路上での事故という大きな危険にさらされています。
 
総務省の発表によれば、広島の交通事故件数は、10万人あたり、約600件。判明しているだけでも、毎年、170人に1人が事故に遭っているということです。当事務所にも、交通事故に遭い、たくさんの苦しみを抱えた方が来られます。
 
死亡事故に至らない場合であっても、後遺症で仕事を替えざるを得ない状況に追い込まれたり、毎日消えることのない神経痛に日夜悩まされている方もおられます。けれど、加害者や保険会社からの賠償は、「金銭」による賠償という限界があり、日々の痛み、悲しみなどは、どのような請求をしても癒しきれるものではありません。
 
また、加害者の立場になれば、刑事責任を追及される可能性がありますし、場合によっては、民事で莫大な賠償責任を負わなければならないこともあります。
 
近年、自転車での走行中、歩行者を死亡させたり重傷を負わせたりした場合に、高額の賠償責任を認める判決が相次いで出されています。なかには、5000万円を超える賠償金の支払いが命じられた裁判例もあり、自転車での事故には強制加入保険もないため、加害者の一生をも大きく狂わせることになりかねません。
 
私自身、近所の横断歩道を散歩しているときなどに、左右から車が来ていなかったら、赤信号でも渡ってしまおう、という誘惑に駆られます。けれど、そういうときは、友人に言われた言葉を思い出します。
 『こんなところで死ぬくらいなら、死ぬまで待て』
いつかは、信号は青になるのです。どこかに遅刻しそうになっても、事故を起こすくらいならば、数分、数十分遅刻した方が良いのではないでしょうか。皆が交通マナーを守り、事故を減らせるといいですね。
 
蛇足ですが、自分が危険な運転をしたり、赤信号を渡っている最中に事故を起こしてしまったときは、過失割合が高くなります。……だから気をつけないと、などと職業病的なことも考えながら、交通マナーを守るべく、急ぎたい誘惑とたたかう今日この頃です。
2012/12/03 2012(H24)年12月 事務所便り

 

平成24年12月便り
『 「夜回り先生」のおはなし 』  弁護士 小林由巳子
 
去る10月4日、黄色に輝くイチョウ並木が美しい佐賀市文化会館において、日弁連の第55回人権擁護大会が行われ、私は、「自殺問題を考える」というテーマのシンポジウムに参加しました。実はこのシンポで予定されていた『夜回り先生』として高名な水谷修先生のお話を楽しみにしていたのです。
 
高校教員だった水谷先生は、21年間、日本全国の夜の街を見回り、これまで多くの子どもたちに寄り添ってこられた方です。涙あり笑いあり冷や汗ありで、一瞬も目が(耳が)離せなかった水谷先生の講演の最中、私は印象に残った言葉を忘れないように必死でメモしましたので、その中からご紹介します。
 
 
『子どもと人間関係を作るとき、その子どもの居場所に行く。
ただ、そばにいればいい。』
夜回り先生は、夜11時から明け方まで、夜の街にいる子どもたち一人一人へ家に帰るよう声をかけています。始めはウザがられるそうですが、何回も何回もその子に会いに行くと、「先生、もう帰るから勘弁して~」と子どものほうから音を上げ、そこから心の交流が始まっていくのだそうです。
 
『あたたかい言葉で子どもを包む。』
幼いころから周囲の大人に温かい言葉をかけてもらえる子は、自分に自信がつき、自己肯定感が芽生える。褒められ認められて自信がつけば、他者をいじめる必要もない、薬物に頼ることもしないで済む。子どもを叱ったら、それよりも多くの褒める言葉、温かい言葉をかけてあげてほしい。問題を抱える子どもたちを見てきた水谷先生の、確信に基づく語りかけでした。
先生は会場で、これを旦那さんや奥さんに実践すれば1カ月で見違えるほど魅力的になると冗談まじりに力説しておられました。「今日も笑顔がすてきだね」「今日もお疲れ様、ありがとう」相手を輝かせる魔法の言葉だと思います。
 
『朝、美しいものを探す。』
水谷先生が会場に向けて「今日、ここに来るまでの間に花や自然をきれいだなと感じた人は、手を挙げてください。」と言うと、会場の弁護士からチラホラとしか手が挙がらず、先生が神妙な顔をして「日本の弁護士の9割は心が病んでいる、と。」とつぶやいたので、会場は笑いに包まれました。
私自身も、疲れているときほど周りの景色を素通りしていました。ときどき先生の言葉を思い出し、子どもと一緒に青い空を見上げたりして、心の穏やかさをもらうようにしています。皆さんもぜひ。
 
講演後、水谷先生が著書にサインしてくださるというので列に並びました。当事務所の本棚に『子育てのツボ』(日本評論社)を置きましたので、興味がある方は手にとって読んでみてください。短い文章に区切られていますのであっという間に読めます。もちろん、本屋さんでご購入されても結構ですよ。
2012/11/01 2012(H24)年11月 事務所便り
平成24年11月便り
「離婚」について  その3           弁護士 大国和江
 
相談者Aさんは、夫が「離婚」したいといって1人で家を出て行きました。子ども達もお父さんに帰って来てと、いいますが、夫は、子どもにはお前達を捨てたのではないといいながら、私には生活費を渡さない、家は大家と解約したから出るようにと、離婚を迫ります。夫の言いなりにならなければならないのでしょうか。
 
相談者Bさんは、夫と「離婚」したいのですが、夫はできないといいます。どうしてもお前が離婚したいというのなら子どもは置いて自分だけで出て行けといいます。自分が先に出て、後で子どもを引き取ることができますか。
 
「結婚」、「離婚」は、法律的には、「契約」、「契約の解消」に当たります。「契約」も「契約の解消」も、両当事者で合意できれば成立します。「結婚」の場合、結婚・結婚後の条件について当事者で十分に話合われていないと思われることが多くあります。結婚の条件について、話合えば話し合うにつれて、違いが明確になり却って結婚が成就しにくくなるからでしょうか。相手のことよりも、自分の結婚観で生活しようと考えておられる方が多いようです。
しかし、「離婚」となれば、生活費は、住まいはどうしたらよいのか、子どもは誰が、どのように責任をもって育てるのか、など、「離婚後の家族の生活」が現実的になりますので、「離婚の条件」の話し合いは深刻にならざるを得ませんし、自分の思い通りにはなりにくいものです。
 
相談者Aさんの場合、夫がいう「離婚」に、言いなりに回答する必要はありません。しかし、これを機会に、自分達の結婚生活を振り返り、「離婚」について、自分なりに考えてみましょう。その場合、自分たち夫婦は「結婚のやり直し」ができるのかという面からも考えてみてください。そして「離婚」を選択されるのであれば、夫が言ったから仕方なく「離婚」するというのではなく、自分の方こそ「離婚」するのだという視点で離婚の条件を検討しては、いかがでしょうか。
生活費の問題、住まいの確保など、夫と話合う前に、弁護士に相談してください。
相談者Bさんの場合、話し合いをせず、子どもを置いてきておりながら、後で子どもを引き取りたいと言っても、子どもさんの年齢、家を出てからの期間にもよりましょうが、相手はそう簡単に受け入れないでしょう。子どもに会わせないことも多くあります。
「別居」、「離婚」では、特に3歳~小学校高学年の子どもさんがいる場合は、子どもさんも「家族」の一員であることを考えて見てください。夫婦の諍いで「別居」、「離婚」は、自分たちで解決すればよいでしょうが、その結果、「家族の生活」が変わり、子どもの生活も変わらざるをえません。そこで、親の思い、考えから一歩引いて、子どもの意見も聞きながら検討してみてください。言うまでもなく、子どもは、親の愛玩物ではないのですから。
 

 

2012/10/02 2012(H24)年10月 事務所便り

平成24年10月便り

「子どもを褒めよう!」  弁護士 寺 西 環 江

 

少年事件で担当する少年の中に、バイクを盗んで走り回って捕まった子がいました。学校での成績は良くないし、親や先生の言うことは聞かない子でした。

 

その子は、友達とつるんでバイクを盗ったのですが、何でそんなことをしたのかというと、誰かが盗ろうと言いだしたから、みんなで盗ろうという話になった、とのことでした。よくよく話を聞いていると、「悪いことを一緒にしないと友達に認められない」「バイクをとったらかっこいいと思われる」というような気持が働いたようでした。

 

私は、悪いことをしたら友達から認められるから、認められるためにバイクを盗ったのではないか、と感じました。もちろん、悪いことをして認められても仕方ないのですが、彼がそれほどまでに認められたかったのは、認められたり、褒められたりした経験が少なかったからなのではないでしょうか。

 

就学前だと、あんまり人と比べられることは少ないかもしれないですが、学校に入ると、教室でみんな一緒に勉強するので、勉強ができなかったり、足が遅かったりすると、他の人と比べられたり、怒られたりする機会が増える気がします。1年生の勉強ができないまま放置されると、褒められないまま次の学年になってしまって、どんどん褒められなくなるのです。

 

認められたい、褒められたい心は、幼いころから少しずつ積み重ねられるものなので、怒られてばっかりだった子どもが、大人になってからその分を取り戻すのは、大変なことだろうと思います。

 

私が子どもたちに出会うのは、ある程度大きくなってからのことが多いので、残念ながら、彼らの役に立つことはほとんどできません。しっかり話を聞くこと、ときどき手紙を書くことくらいです。

 

その子は、今成人して、仕事を続けているようです。たくさんの人に出会って、うまくいく体験を続けてくれればと、心から願っています。

 

私も、この間母親になりましたが、わが子の特徴をできるだけしっかりつかんで、いっぱい褒めてあげることができるお母さんになれればいいなと思います。

 

2012/09/01 2012(H24)年9月 事務所便り
平成24年9月便り
「茶のしずく石鹸被害について」   弁護士 秋吉理絵香

 

最近、テレビや新聞報道などで、「茶のしずく石鹸」被害のニュースが取り上げられることが多くあります。皆さんも、一度は耳にされているのではないでしょうか。
 
株式会社悠香が、平成22年12月7日以前に販売していた「(旧)茶のしずく石鹸」を使用した人達の一部に、小麦アレルギーを発症し、深刻な被害を受けられている方がおられることで、大きな問題となっています。
 
このような被害を救済するため、広島でも、昨年、茶のしずく被害対策弁護団が結成され、本年4月20日、株式会社悠香ほか2社に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。この訴訟は、全国的な希望で一斉提訴されておりますので、広島でも、全国の弁護団と連携を取りながら、対応にあたっております。 
 
私も当初より、弁護団の一員として活動しているのですが、現在、気になっていることが一つあります。
 
株式会社悠香は、平成22年12月7日以前に販売していた(旧)茶のしずく石鹸について、既に自主回収を行っています。けれど、石鹸の購入者から間接的に分けてもらった(ため、顧客名簿に名前が載っていない)等の理由により、回収対象の石鹸を持っているのに、返品・交換の案内を目にしていない人もおられるようです。
 
(旧)茶のしずく石鹸が手元にある場合には、使用を中止されるようにと、国民生活センターや各地の弁護団からも呼びかけられてはいますが、同石鹸の販売個数が膨大であったため、全ての人に注意喚起が行き届いているのか、不安な気がします。
 
被害者の方々のお話をお聞きした限りでは、小麦アレルギーの症状は、ある日突然に発症するようです。昨日まで問題なく石鹸を使えていたからといって、明日からも大丈夫とは限りません。
 
(旧)茶のしずく石鹸をお持ちの方がおられましたら、まずは、使用を中止されますように、注意を呼びかけたいと思います。

 

 
2012/08/01 2012(H24)年8月 事務所便り

 

平成24年8月便り
「イクメンの作り方?」  弁護士 小林由巳子
 
ロンドンでは熱い闘いが繰り広げられておりますが、今年の日本の暑さは自分の体力、我慢力との闘いになりそうです。
 
さて先日、広島県のイクメン湯崎知事につづき、20127月、三重県の鈴木知事が育児休暇を約3日分、取得したとの新聞記事がありました(なお鈴木知事夫人はシンクロメダリストの武田美保さんです。)。
 
知事の育休取得者は、まだこのお二方だけのようですが、“2010年の湯崎知事のときに比べると、鈴木知事のときには批判の声が減少し周囲の理解が進んだ”との記事内容だったので、「そうかそうか」と頷きながら読みました。
 
ところで、この事務所便りをご覧になっている独身・新婚の方々(いらっしゃいますかね?)は、結婚生活にどのようなイメージを持っておられるでしょうか。
 
離婚の相談などをお聞きすると、
共働き、専業主婦(主夫)、家事育児の平等負担、両親との同居について等々。
夫婦間で「結婚イメージのズレ」が生じたまま修正できずに離婚に至ることが多いようです。
 
仕事や両親の問題などは夫婦間の話し合いだけでは解決できない点もあるのでしょうが、育児にどう関わっていくかについてだけは、夫婦で向き合って決めるべき事柄だと思います。
イクメンになる可能性も、この夫婦間のやり取り次第ではないでしょうか(頼みかたにコツが要るかもしれませんが。)。
 
そして、それはもし夫婦が離婚するときでも、同じです。
夫婦関係が無くなっても、お父さん、お母さんとして、これから子どもにどう関わっていくのが良いのかは、改めて両親が知恵を出しあって考えないといけないからです。
 
 
子どもの様子を見つめながら、子育ての大変さ、面白さが実感できたら素晴らしいですね。
2012/07/01 2012(H24)年7月 事務所便り

 

平成24年7月便り
「離婚」について  その2           弁護士 大国和江
 
前回、厚生労働省が公表している「人口動態統計」によれば、結婚が年間約70万件であるのに対し離婚は約25万件であり、その約9割が「協議離婚」であると書きました。
 
ところが、協議離婚の約22万5千件の夫婦が、どのような「協議」をして離婚届ができたのか、また、未成年者の子どもがいる場合、親権者を決めるときどう考えて決めたのかなどは、届出からでは分かりません。
 
「離婚」を考えている相談者からはじめによく聞かれることは、離婚する方法についてですが、どうすればよいのでしょうか、前に夫には「離婚届用紙」に署名してもらっているのですが、これを出してよいのでしょうか。また、これまで夫から何回も暴力を受けているのですが「診断書」が必要でしょうか、夫の女性関係は調査をして証拠を取っておくほうがよいのでしょうか、などです。
 
「協議離婚」は、夫婦の離婚意思があって、「届出用紙」に署名・押印されていれば、戸籍係は「離婚」が成立しているものとして受け付けます。本当に離婚意思があったかどうかまでは確認しません。ですから前に離婚すると言って署名押印していて、その後気が変わって離婚しないといっている届出も、受け付けられ、戸籍上は離婚が成立します。この場合、後に離婚の意思がなかったとして届出の「無効」が争われることもあることを承知しておきましょう。要は届出時点での「意思」が問題となります。また、無理に離婚届に署名させられた場合も、離婚する意思がないとして無効がいえますが、後で争うよりも、離婚届が出される前に「不受理届」を出せば、受付されません。
 
協議も調停でも離婚ができなければ、裁判で離婚するしかありません。離婚裁判では、①不貞、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④回復の見込みのない精神病、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるか否かを、裁判官が双方の言分と証拠をもとにして判断しますので、それら証拠は必要となります。しかし、裁判ではなく、話合いで離婚しようと考えるのであれば、それら証拠をあげて、相手を説得しようとしても、うまくいかないことが多くあります。というのは、相手はその事実を認めれば、自分が不利になるのではないかと警戒し、たとえ事実であっても徹底的に否定するからです。自分の非を認めるかどうか、認めれば、自分にとって「不利」になるのかという、目の前のことが気にならざるを得ないからです。
 
話合いは、夫婦が自分達の今の生活のあり方について、「結婚生活」を維持できるのか、「別居」「離婚」するのかということについて、真摯に考え、話し合うことの機会にすることこそが大事なのではないでしょうか。
 
そして、もし、話合いによる離婚を望むのであれば、相手を非難し、相手の嫌なこと、不利な事実をあげつらうのではなく、相手の言分に誠意をもって耳を傾けること。そして、相手の言分ももっとものところは同意を表し、自分の至らなさも認めつつ、思いやり、配慮をもった話しあいができればよいかと思います。
2012/06/01 2012(H24)年6月 事務所便り

 

平成24年6月便り
「 《養育費》 に振り回されないために」   弁護士 秋吉理絵香
 
長袖のジャケットが暑く、紫外線が気になる時期になってきました。裁判所でも、既にクールビズ期間が始まっています。
 
今日は、未成年の子をもつ親御さんが離婚されるときに、
気になる問題――「養育費」について、さわりの部分だけ、お話したいと思います。
 
そもそも、養育費とは、どういったものなのでしょう?
 
両親の離婚によって片親に引き取られた子供が、もう片方の親――非監護親と同じくらいの生活水準で生活し、育っていくことができるように、非監護親から監護親側へ支払われる費用、それが養育費です。
 
ご両親双方で話し合いができるのであれば、養育費の金額は自由に決めて構いません。
 
双方で協議ができず、家庭裁判所の調停でも合意できない場合には、裁判所の審判に委ねることも可能です。その場合に決められる金額は、親の収入や子供の年齢によって違いますし、その他にも、個別の事情を考慮されることがあります。
 
このようにして決める養育費の金額がいくらになるかが、相談者の皆さんの、重大な関心事なのは間違いないと思います。
けれど、「離婚しようかどうか迷っている。養育費はいくらもらえるのか?」というご相談を受けると、少し心配になります。
養育費の金額によって、離婚するかどうかという決断自体が左右されるというのであれば、「ちょっと待った!」と言わざるを得ません。
 
それというのも、離婚時に定めた養育費の金額が、その後も滞りなく支払われ続けるとは限らないからです。
日々の実感としても、離婚後、1、2年のうちに養育費を支払わなくなる人の、何と多いことか、と思います。
 
調停で定めたり、公正証書にしておけば、絶対大丈夫――と思われている方もいらっしゃいます。
たしかに、調停で定めたもの、公正証書になっているものであれば、差押え等の強制執行によって、養育費を取り立てることは可能です。
けれど、差押えの対象となるような財産がなければどうでしょう?
仮に財産があったとしても、それを探し当てることができなければ、どうでしょう?現実問題として、取り立てることは非常に難しくなります。
 
そうであるから、離婚するかどうかを決断するにあたって、養育費の金額を判断材料とすることはお勧めできません。
 
多数の女性の場合、離婚後、子供を引き取って育てることになれば、生活は従前よりも苦しくなります。
その事実を受け止めた上で、自分の収入、家族の援助、公的な扶助がどれだけ得られるか、という点から離婚後の生活を計画して欲しいのです。
 
もちろん、これに加えて、養育費をもらい続けることができれば言うことありませんが……。
離婚により、人生の新しいステージが始まったというのに、養育費を貰えるかどうか、という元配偶者の気まぐれによって、親子の生活が振り回され、心配や恨み、ストレスばかりが続くのでは残念です。
 
離婚後の安定した生活のために、まずは、「養育費を期待し過ぎない」ことから始めてみませんか。
2012/05/01 2012(H24)年5月 事務所便り

 

平成24年5月便り
「少年からの手紙」  弁護士 寺西環江
 
 

先日、以前事件を担当していた少年が、施設を出たという手紙をくれました。今日は、こんな少年たちから来る手紙についてお話ししたいと思います。 

 

少年事件が終わった後、子どもたちは、家に帰れる子もいれば、少年院や自立支援施設など、様々な施設に行くことになったり、親戚の家などに引き取られる子などもいます。

 

子どもたちの行き先は様々ですが、私としては、担当した事件の子どもたちが、これからどんなふうに反省し、教育を受け、成長していくのか気になるので、時々ですが、手紙を書くことがあります。

 

「最近どう?」とか、「元気ですか?」「私はこんな生活をしているよ」という手紙を書くのです。 子どもたちからの返事も様々で、何通送っても返事が返ってこないこともあれば、「また手紙下さい」と文末に書いてあることもあります。

 

少年院に入っている子どもと手紙のやり取りをしたときは、最初はひらがなが多い文章だったのが、次第に漢字が増えて来て、文章がしっかりしてくるのがわかることもありました。こんな手紙をもらったときは、なんだか胸が熱くなって、この子が頑張っているんだから、私も頑張らないとな、と思うのです。

 

自立支援施設の子どもからも手紙が来ました。手紙には、施設での生活の様子や、今頑張っていること、マラソンが速く走れるようになったことなんかが書いてあります。この間は、手紙と一緒に写真を送ってくれた子もいて、「ちょっと見ない間に大人っぽくなったな」と感じ、とてもうれしかったです。

 

子どもたちは、1年か、もう少しの間を施設で過ごせば、必ず社会に戻ってきます。

自分が1年以上離れていた家や、学校や、友達は、どんなふうに映るでしょうか。

周囲の環境は、彼らを受け入れてくれるでしょうか。

施設を出た後の彼らを取り囲むものは、決して、温かくて優しいものばかりではないでしょう。

むしろ、施設を出た後の人生の方が、子どもたちにとって、長い長い道のりなのです。私は、子どもたちが社会に戻って来た後、何年か先に、人生に躓いたとき、躓きそうになったとき、道に迷ったときに、ふっと思い出して、手紙を書いてみようかと、思えるような「つながり」になっていきたいと思っています。

 

そのとき役に立てるかはわかりませんが、少しでも、話を聞いて、一緒に考えてみたいのです。子どもたちが、もう失敗を繰り返さないように、大人になって自分で生活できるように、遠くで見守って行けたら、きっと、私にとっても、うれしいことがたくさんあるのではないかと思うのです。

 

 

2012/04/01 2012(H24)年4月 事務所便り
平成24年4月便り
「無罪判決について思うこと」  弁護士 小林由巳子
 
近頃いくつかの刑事事件で無罪判決が出た記事を目にしました。被告人のことや被害者、ご遺族のこと等、いろいろと考えることがあります。
なかでも、私がこれまで何度か「なぜ悪いことをした犯人に弁護が必要なのか」という質問を受けたことや、同じような疑問を持っている方々が少なからずおられることに思い至りました。
 
この疑問に対して回答することは大変難しいのですが・・・
 
今回、私がお話ししたいのは「犯人じゃないのに犯人だと疑われて刑事裁判を受けなければならない人が誤って処罰されることのない制度を守るため」には、たとえ人違いの心配がない事件の犯人であっても、弁護人による弁護が必要だということです。
えっ?どういう意味?と思われるでしょうか。
 
裁判所の判断は、当事者である検察官と弁護人(被告人)が提出した証拠によって、事実を認定する方法が採られています。
 
もし、被告人が人違いの心配がない事件の犯人であったとしても、「どうせ悪いことをした犯人だから」という理由で、証拠を十分に検討しないまま有罪になってしまうことが繰り返されたとしたら・・・。
 
いつか犯人じゃないのに犯人だと疑われて裁判を受けることになった人が裁判を受けることになったとき、裁判所は「どうせ犯人だから」と思い込んで証拠を十分に検討しないまま、謝った判断をしてしまう可能性があるのではないでしょうか。
証拠に矛盾点があることに気付かず、無実であることを見抜けないまま、判決を出してしまう危険は無いのでしょうか。
 
人違いの心配があるか否かにかかわらず、弁護人は「常に」証拠が十分に検討されているかについて、被告人の立場からチェックしておかなければ、いざ犯人じゃない人が裁判を受けることになったとき、「犯人じゃない人が処罰されることのない制度」を守りきれないのではないかと思うのです。
そして、裁判所に提出された証拠を、被告人の立場から厳しくチェックできるのは、弁護人だけなのです。
 

私は、無罪判決の記事を読んで、刑事弁護の責任の重さと、被告人だけではない多くの方々の人生に関わる仕事への緊張感を胸に、また新しい春を迎えたいと思います。

2012/03/01 2012(H24)年3月 事務所便り

 

平成24年3月便り
「離婚」について  その1           弁護士 大国和江
 
厚生労働省が毎年公表している「人口動態統計」で「結婚・離婚」の件数をみれば、ここ数年は、結婚が年間約70万件台、離婚は約25万件台です。約3.5割の夫婦が離婚しており、時間にすれば、驚いたことには、2分に1組の夫婦が離婚している計算となります。
 
「離婚」は戸籍上届出によって成立します。一つには夫婦の合意だけで成立する「協議離婚」。二つには夫婦の合意ができないときに裁判所への手続をとって調停で成立する「調停離婚」。三つには裁判で認められる「裁判離婚」ないしは「和解離婚」があります。約9割が「協議離婚」で、約1割が「調停離婚」、さらにその約1割が「裁判離婚」ないしは「和解離婚」です。
 
離婚の紛争の多くは、未成年の子に対する「親権・養育監護」、「養育費」、また「面会交流」ですが、「協議離婚」では、夫婦の署名と押印があって、未成年者の子について親権者記載があれば届出は有効となりますので、養育費の分担、親子の面会や交流等の取り決めの有無・内容は、「離婚届」だけではその実情がわかりません。
 
これら多くの紛争を未然に防止する必要から、昨年5月民法の一部が改正され、未成年の子どもを持つ夫婦が離婚する際は「親子の面会や交流、養育費の分担等について協議で定める」となり、今年4月から施行されます。そのため、法務省はこのたび「離婚届の書式」を一部改め、「面会交流」、「養育費の分担」についての取り決めをチェックする欄を新設し、届出時にチェックすることとしました。そして各市区町村に周知するよう全国の法務局に通達を出しました。届けられた事項は人口動態調査にも用いられます。
 
前回の便りで、破綻した夫婦関係は、賢く清算して、新しい人生に挑戦する勇気をもっては如何でしょうか。と書きました。それにつけても、未成年の子どもがいる夫婦では、夫婦間の修復が困難で「離婚」はやむをえないとしても、子どもの養育責任をどう分担するか、また、同居親以外の親子の触れ合いをどうしたらよいのかについて、「子どもの最善の利益」、「子どもの福祉」を頭におきながら、子どもには親の「離婚」の影響をできるだけ少なくした、親としての責任が果たせるよう、夫婦で協議を尽くし、解決すべきであることを、忘れないでほしいと思います。 
2012/02/01 2012(H24)年2月 事務所便り

 

 

 

平成24年2月便り
「面会交流の大切さ、難しさ」   弁護士 秋吉理絵香
 
光陰矢の如し――今年もあっという間に、最初の1月が過ぎてゆきました。
 
当事務所は女性ばかりの事務所ということもあり、毎日何人もの方が「離婚」に関するご相談に来られます。
 
小さいお子さんのいるご夫婦の場合、ほぼ必ず話題になるのは「面会交流」のことです。
 
別居中、あるいは離婚後、
      「子供に会わせてもらえない」
      「子供に会わせるよう、迫られている」
――どちらの立場の方も、鬱々とした、思い詰めた表情をしておられます。
 
面会交流とは、どのようなものなのでしょう。
原則的には、ご両親双方の話し合いによって、自由に面会の方法、場所、頻度等を決めることになります。
 
ご両親で直接話をすることが難しい場合には、家庭裁判所の「調停」の場で、調停委員さんを通じて話をすることになり、それでも合意ができなければ、「審判」の手続きにより裁判官が決めることになります。
 
裁判所の調停では、基本的には「面会交流を実現させよう」という方向で手続が進行します。子供を育てている側の親(「監護親」と言います)の方で、面会交流に不安があるのであれば、その不安を解消するにはどうすれば良いかを検討することになります。
 
調停において、会わせることを断固拒否し続けたとしても、審判においては、面会交流を認める、という決定が下される場合が多いです。
 
それは、「両方の親との関わりを持ち続けることが、子供の健全な成長と人格形成のために極めて重要である」という考えが、根底にあるからです。
 
両親の離婚によっても、親子の繋がりは切れません。子供にとっては、非監護親であっても自分の親、自分の半身ともいえる存在であるので、会えないことによって否定的なイメージが育っていくことは、望ましくありません。
 
逆に、継続的な面会交流により、非監護親と子の繋がりを深めていくことができれば、「養育費をきちんと支払ってもらえる可能性が高くなる」、「子供が将来大学進学などを希望したときに、子供自身から援助をお願いすることもできるかもしれない」等のメリットもあります。
 
しかし、いかに面会交流が重要であるとしても、面会交流の場で子供の取り合いになったり、監護親への過度のストレスになれば、子供が傷つくことになりかねません。
 
面会交流は、1回きりの問題ではなく、子供が大きくなるまでずっと続く問題ですから、実行できないことを無理に決めても、意味がないと思います。
 
親の双方が「子供のため」に面会交流を行うという認識をもって、実現可能な面会交流の方法を話し合うのが望ましいのですが……、言うは易し、実際にはとても難しいですね。
 
子供の笑顔が見られるよう、一緒に頭を捻っていきましょう。
2011/12/01 平成23年12月 事務所便り
平成23年12月便り

「悩ましい生活保護」  弁護士 寺西環江

 

先日、新聞で、生活保護の受給者数が、戦後の混乱期を超えたという記事を読みました。そこで、肌で感じる生活保護事情について、思うところを。

 

生活保護とは、人が生きて行く権利、生存権(憲法13条)によって保障された権利を実現するため、様々な事情で生活が困窮する人々に対し、最低限の生活保障費を保障するという制度です。

 

私たちが時々している仕事の1つとして(他の業種の方もやっていらっしゃいますが)、生活保護の同行申請というのがあります。

これは、いろんな理由で、一人で生活保護の申請を行うのが困難な方に、弁護士が窓口に同行し、申請をお手伝いするというものです。しかし、「なぜこのような支援が必要か」というところに、根深い問題があります。

 

生活保護を受ける方には、皆さんいろんな事情がありますが、生活保護とは、上記のように最低限の生活費を「保障」してくれる制度ですから、受け取り方によっては、仕事をしなくてもお金がもらえる制度とも評価できてしまいます(無論、大金持ちにはなれませんが)。生活保護を受給している人の生活を確認し、様々なアドバイスをする「ケースワーカー」という人がいますが、この方たちは、生活保護受給者の生活を支えつつ、仕事をする能力がある人に対しては、「頑張って働いてください」とアドバイスしたり、応援したりしてくれます。

 

ですが、お金をもらえることに慣れて、甘んじてしまうと、中には、「仕事をしなくても生活できるからいいじゃないか」と考えてしまう人も出てきてしまいます。生活保護は、税金が資源になっている最低限の保障ですから、本当は、働ける人、働いてお金を稼いでほしい人たちに支払われるべきお金ではないのです。ケースワーカーの方々は、一方で生活が苦しい人の支援をしつつ、他方で、働ける人には何とか働いてもらわなければならないという難しい仕事を、こなしているのです。

 

 
このような背景事情がありますから、場合によっては、生活保護の窓口で、「えっ、この人働けるんじゃないかな」とか「他の方法があるんじゃないかな」などと思われると、申請がうまくできないことがあります。そんなときに、最初にお話しした、同行申請が役に立つのです。

 

事務所に来られる人は、離婚や、DVから避難するために生活が苦しくなった母子とか、自分の病気、家族の看病が必要で働けなくなってしまった人など、事情は様々ですが、本当に生活が苦しい、手持ちの現金が数千円と言う人もいたりします。そういう方々に、生きて行くすべができて、安心して生活できるようになることは、非常に重要です。

 

難しい制度を支え、苦労を重ねている窓口の方との連携をとりつつ、今日も窓口に向かうのです。

2011/11/01 平成23年11月 事務所便り
平成23年11月便り
「子どもの立場で」  弁護士 小林由巳子

 

あっという間に日が短くなり、気が付けば今年も残り2か月。暗くなった空、落ちている葉っぱを見ては、こうして歳をとっていくのだな~と感じます。

 

今月は子どもの話。私も一児の母なのですが、これまで「ママ、ママ」だった我が子が、近頃は、すっかりパパっ子で、なんとなく寂しい秋となりました。

 

さて、いろいろとご相談を受ける中で、「相手とは別れたいけど子どもを片親にしたくない」、「別居している相手(もしくは離婚した相手)に子どもを会わせたくない」など、子どもに関する悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。

 

 

私は本当に、子どものために離婚を思いとどまろうとする親御さんの考え方も立派だと感じていますし、事情があって別れた相手に子どもを会わせたくないと思われるのももっともだと思います。

 

ただ、自分や相手が、子どもにはどう映っているのか想像してみてほしいのです。子どもが気持よく安心して過ごせるおうちになっているだろうか、子どもは相手のことを本当はどう思っているのだろうか、子どもはどちらの親にも愛してもらいたいのではないか、などなど。

 

親同士が仲たがいをしても、それぞれの親から変わらずに愛情を注いでもらえれば、子どもには自然と「両親の問題は自分の問題ではない」と理解し、自分らしく生きていく力があると信じています。自分の人生と子どもの人生、どちらも大切です。悩んで悩んで・・・答えが見つからないときは、相談してください。

 

まだまだ未熟者の私ですが、多くの子どもたち、そして大人たちに幸せになってもらいたいと願い、真剣に、かつ謙虚に向き合います。

 

“子どもの笑顔が見たい”親の一人として。

2011/10/01 平成23年10月 事務所便り
平成23年10月便り
「離婚」をめぐる相談で考えること  弁護士 大国和江
  
「離婚」の相談です。
 
1つには、20数年連れ添っている夫婦ですが、これまで、喧嘩をしては家出をすること数回。お互いを無視し、無視され、家庭内別居を続けている夫婦です。話をすることもない間柄でありながら、夫の「女性関係」を発見した途端、白をきる夫を懲らしめてやりたい、「離婚」するとしても、ただではすませない。尽くした分、それなりの慰謝料をとりたい。しかし、先ずは女性に請求したい。というものです。
 
2つには、できちゃったので、慌てて「結婚届」をだしました。ところが、思いやりがあり、優しくて、面白い話をする人だったと思っていた夫が、今では、家に帰ってきても、話しかけてもまともに聞かず、自分から話すこともありません。何が気にいらないのか、物にあたったり、暴力を振るったりで、人が変わってしまったのです。一緒に暮らしている意味がないと思い、「離婚」しようと言いました。子どもはおいて、お前だけ出て行けと夫は言います。子どもは夫にとられるのでしょうか。「慰謝料」はもらえないのでしょうか。というものです。
 
「離婚」の相談を受けるにつけ、いつも夫婦の「結婚観」「結婚生活」について考えさせられます。
長年夫婦を続けていても、お互い会話がなく、結婚生活に不満をもちながらも、結婚とはこんなものと続けておられる方が多いようです。ところが、相手が異性と交際し、仲良くしているのを見ると、許せない気持ちになって、相手と別れろ、別れない、と大騒ぎとなっているようです。
 
また、交際中に子どもを妊娠してしまったら、生まれる前に「結婚届」を出したい。届け出前の夫とは違っていても、子どもの父親としての責任をとってもらいたい。認知だけでもしてもらえれば養育費を請求できる。と考えておられるようです。
 
しかし、「結婚届」をしたからといって、2人の生活の将来が保障されるというものではありません。確かに結婚届をすれば、三行半の「離婚」はできにくくなります。しかし、嫌々ながら、結婚を続ける意味は何なのでしょうか。
 
生まれも、育ちも、考えかたも違う男女2人が、一緒に暮らすのは、楽しいから、豊かになれるから、充実して生きていると感じられるからではないでしょうか。それは届出によってえられるものではなくて、2人が努力するからです。たまに会っている時だけでの相手ではなく、普段着の相手をしっかり見極めてから結婚すべきではないでしょうか。結婚という形にとらわれず、こだわらず、相手の嫌なところしか見えなくなり、2人(家族)で暮らすことが、悲しく、暗く、傷つけ合うようであれば、夫婦関係は、賢く清算して、新しい人生に挑戦する勇気をもっては如何でしょうか。子どものために「離婚」できないというのではなく、子どもには親の「離婚」の影響をできるだけ少なくする配慮をし、親としての責任を果たすべきとは思います。
 
人生をやりなおすには、遅そすぎるということはありません。後ろ向きではなく、前向きに「女の生き方」を一緒に考えましょう。
2011/09/01 平成23年9月 事務所便り
平成23年9月便り
「家」買うべきか、借りるべきか   弁護士 秋吉理絵香
 
一生に一度の買い物といわれる「家」。
 
結婚を機に、子供が産まれるから、退職金を頭金にして二世帯で…
様々なきっかけで、自宅購入を検討される人がいると思います。高い賃料を支払い続けるよりは、資産になる自宅を購入したいと考える人もいるかもしれません。たしかに、自分の家が手に入るとなれば、先々の生活も安心に思えますし、ローンを払う気持ちにも張り合いが出るというものです。私もいつかはマイホームで、のんびりライフを夢見ています(何十年先になるか分かりませんが)。
 
 
ただ、購入前には、少しだけ考えて欲しいのです。10年後、20年後、30年後…
検討中の家は、そのときの家族の生活にも寄り添ってくれるでしょうか。
 
ご夫婦で少し無理をした金額の家を購入したものの、ステップアップ方式で上がっていくローンが支払えず、余暇もなく働き詰めで、すれ違いばかりの生活になる可能性もあります。
 
転勤のため、家のローンを支払いながらの二重生活となることもあるでしょうし、突然の減給もしくは失業によって支払ができなくなる人もいます。
 
明日何が起こるか分からないご時世に、そんなことを考え出せばきりがないですが、ただ、生活の主人公はどんなときも「人」であるべきであり、家に振り回されて家族の生活が崩壊してしまっては意味がありません。
 
私は仕事上、ローンに苦しめられる人に数多くお会いしてきました。離婚に際して多額の負債を夫婦で分けなければならず、離婚後の新しい生活に踏み出す足枷となることもあります。
 
ローンを完済した場合であっても、購入したマンションが必ずしも価値ある資産になるとは限らず、年月を経れば、高額な共益費や修繕・建替費用の負担ばかりが大きいマイナスの資産となる場合もあります。
 
もちろん、家族で長年過ごした家は、財産的な価値以上の、何にも変え難い価値があるものだと思います。
 
だからこそ、自宅購入を悩まれている人には、家族の将来を見据えた上で、日々笑顔で生活できるような「家」を選んでほしいと願っている今日この頃です。
2011/08/01 平成23年8月 事務所便り
平成23年8月便り
「8月6日を前に」  弁護士 寺西環江
 
もうすぐ、66回目の原爆の日を迎えます。
 
私の祖父母が被爆しているので、私は、被爆3世になります。
 
当時は、放射能の恐ろしさどころか、原爆投下後の爆心地近くに行くと、放射能の影響を受けることすら誰も知らない状態でしたから、私の祖母は、市内にいた兄妹を探すため、歩き回って被爆しました。
 
私が小学生の頃、身近な人から原爆の話を聞くという夏休みの宿題が出たとき、初めて祖母から原爆投下直後の話を聞きました。
 
私の祖母は、あまり話し上手ではなく、普段から、かなりのんびりしたタイプの女性ですが、その時初めて、泣きながら、広島市内で兄妹を探した話をしてくれました。祖母の兄妹は、結局、遺体すら見つかりませんでした。家を出たまま帰らなくなり、それきり会えなくなってしまったのです。
 
その時聞いた被爆直後の話も衝撃的なものでしたが、その時見た祖母の涙顔は、今でも私の脳裏に焼き付いています。
 
私が小学生だったのは、かれこれ20年くらい前のことになってしまいましたが(いつの間にかだいぶ時間が経っていますね)、最近でも、広島の教育現場では、きっと平和教育をしているんですよね(そう信じたい)。
 
私が小学生の頃は、原爆の資料映像を見たり、映画を見たり、語りべの方の話を直に聞いたり、いろんな形の平和教育を受けました。特に語りべの方の話は、小学生の私にはとても怖くて、悲しくて、ただただ、戦争はいけないと、強く思いました。
 
私の祖母が80代半ばを迎えようとしているので、最近では、語りべの方の話を聞く機会は、かなり少なくなっているのではないでしょうか。
 
私自身、高校を卒業してから、語りべの方の話を聞く機会は、最近までなかったように思います。この夏、久方ぶりに語りべの方のお話を聞く機会があるので、貴重な体験として、しっかりと目と耳にとどめておきたいと思います。
 
3月11日以後、福島や、日本全体のニュースとして、放射線の基準値についての話を頻繁に耳にします。
 
直接被災された方々、慣れ親しんだ自宅への居住が制限された方や、農作物の出荷ができなくなってしまった方々に、心よりお見舞い申し上げます。
 
66年前の広島と、状況は異なりますが、目に見えない放射線の恐怖は、どれほど恐ろしいことでしょう。知らないこと、わからないことに対する不安、今後の生活、子どもたちの将来、不安を数えればきりがありません。福島でのニュースを耳にするたび、ヒロシマのことを思い、祖母の涙を思い出します(私の祖母はまだまだ元気ですが)。
 
一日も早く、原発の冷温停止が完了し、放射線のニュースが無くなることを、テレビの前から祈る毎日です。
2011/07/01 平成23年7月 事務所便り
平成23年7月便り
「エアコンで離婚?」  弁護士 小林由巳子
  
蒸し暑い毎日ですが、今年は節電を意識しつつ、エアコンをつけるか否か悩むこともありますよね。
 
離婚が多いアメリカでは、夫婦間でのエアコン設定温度をめぐる対立が離婚原因の一つであることは有名な話です。
 
学生だった頃の私は、エアコンが原因で離婚する夫婦がいることに大変驚きましたが、現在では理解できるようになりました。というのも、離婚を希望する直接の原因・理由というのが人それぞれ多種多様であることを実感したからです。
 
 「離婚したい」という相談で、ご本人が離婚を望む気持ちになるまでの夫婦間の出来事や感情の移り変わりについて時間をかけてお聞きすると、やはりどこかの時期から、相手に対して気遣うことができなくなったり相手の意見を尊重できなくなったりすることがあったのだと感じます。
 
そうなってしまうと、「ああ、外から帰ってきたばかりで暑いんだな」とか「エアコンの風が直接当たる位置にいるから寒いのかもしれない」などと、相手の状況に対する想像力が働かなくなるのでしょう。だからエアコンの設定温度が離婚理由になることも十分に理解できるのです。
 
夫婦関係も人間関係ですから、相手に対する信頼が持てなくなれば、どんなことでも離婚を望む原因になり得ると思います。
 
これからも様々なご夫婦の歴史に触れ、共感し、自分が少しでもお役にたてればと願いつつ、「暑いねー」と言いながらリモコンで設定温度を上げる今日この頃です。
2011/06/01 平成23年6月 事務所便り
平成23年6月便り

 「福島原発事故-広島からの思い」 弁護士 大国和江 

 

地震直後の速報でマグニュチュード8強(その後9と訂正)と聞いて、その大きさに驚いているうちに大津波です。被害の惨状が刻々と報道されました。首都圏の交通機関の全面ストップで東京周辺では帰宅難民が続出しました。夜中中歩いている人で街中があふれていました。

 

そして福島原発事故です。
 

65年前、広島に原爆が投下され、人間も、生きとし生けるもの全てを瞬時に焼きつくした熱と爆風の恐ろしさ。焼け爛れた皮膚、助けを求めて歩く市民。草木は70年も生えないなど、その被害の大きさを今思い起こしています。被爆直後は、適正な判断も見通しのないまま、人々は右往左往でした。治療の薬も方法も分からなかったのです。そして多くの人々が亡くなられましたが、被爆者は今もその後遺症で苦しんでいます。

 

25年前、チェルノブイリ原子炉の爆発、火災が発生しました。

 

周辺住民は突然の「避難勧告」です。財産や働く場を捨て、街から出て行かなければならなくなりました。しかし、人々は望郷の念を抱きながら、ふる里に帰れないまま「生命」と「健康」の危険にさらされながら、今も苦しい生活が続いています。

 

福島原発の放射線被曝について、小学校でのいじめ。ガソリン給油がストップする等生活に困っている人。野菜や魚の出荷を停止・拒否など「風評被害」、「被曝の感染等の誤解から来る差別」等、今、深刻な人権侵害事態が発生しています。

 

被爆地広島と原発被害チェルノブイリの「負」の反省と経験を、福島原発の被災者の人権救済と被爆対応に早急に生かされることを切に願う次第です。

 

人権擁護委員は全国で約14000人の委員がおります。委員は各都道府県の協議会に属し、各地で人権相談活動、人権救済活動、さらには人権思想の普及高揚に日常的に取り組んでいます。

 

本年度は、全国人権擁護委員連合会総会を7月21日、22日の両日にわたって広島のANAクラウンプラザホテル広島、オーキッドで開催されます。ところで、21日午後3時40分―5時30分に予定している研修会は、「東日本大震災被災者支援」へのメッセージをこめて「平和にについて語り 奏で継ぐ」と題して、被爆者語りべの話と被爆ピアノの演奏を企画しております。

 

参加費は無料ですので、皆様お是非多数お誘い合わせのうえ、ご参加いただいて、東日本大震災被災者の皆様に、広島からエールを送りたいと思います。

 

2011/05/01 平成23年5月 事務所便り
平成23年5月便り
善意を踏みにじる詐欺にご注意!」  弁護士 秋吉理絵香

 

未曽有の大地震から2か月、全国の警察機関や消費生活センターでは、「震災詐欺」の相談が多く寄せられているという情報を耳にしました。
 
震災詐欺とは、震災に乗じて金銭等をだまし取る行為を広く総称します。代表的なものとしては、公的機関や日本赤十字社の名を騙って義捐金名目のお金を振り込ませる「義捐金詐欺」、当面の生活費を貸し出すと偽って返済保証金を振り込ませる「保証金詐欺」、地震後の点検もしくは修繕と称して法外な請求をする「便乗商法」などがあります。
 
普段は冷静に物事を判断する人も、震災のような危急時にあっては常と同じにはいきません、その隙を狙ってこのような詐欺が増えるのでしょう。「詐欺」に良いも悪いもありませんが、義捐金を届けて欲しいという善意、そして家族の生活を守ろうとする思いを踏みにじる震災詐欺の存在は、とても腹立たしく、悲しいことだと思います。
 
ところで、家の点検、修繕と称して法外な請求をする詐欺は、主に高齢者を対象として、平時でも増えている問題です。
 
私が携わった事件でも、「子供や孫のために良い家を残したい」という温かな思いを利用されて、不必要な契約を締結させられ、法外な修繕代金を支払わされていたものが何件もあります。人生をかけて貯めてきたお金を一度に奪われ、後で騙されていたと分かった時の衝撃はどれほどのものでしょうか。
 
このような被害にあった場合には、いち早く、消費生活センターや、最寄りの公的機関、もしくは弁護士に相談するようにして下さい。
 
そして、肝心なのは、そもそも被害にあわないようにすることです。誰かのために何かをしようと思うのなら、少しだけ余裕をもって、その内容を確認し、よく分からなかったら、周りの人に相談してみて下さい。
 
あなたの善意が、ちゃんと誰かに届きますように。
2011/04/01 平成23年4月 事務所便り
平成23年4月便り
「少年事件は、遣り甲斐がある!!」  弁護士 寺西環江
 
私は、少年事件を通じて、少年たちと話をするのが好き(?)なので、今回は、少年事件の遣り甲斐についてお話しさせていただきます。
 
一般に「少年事件」とは、20歳未満の少年が犯した事件を指します。事件を犯して逮捕・勾留された後の少年は、重大事件などで、通常の刑事裁判手続きに移行しない限り(逆送といいます)、家庭裁判所の管轄下に置かれ、家庭裁判所での審判手続きを見据えて、「鑑別所送致」(鑑別所で、少年の資質を調査する手続き)の措置が取られるのが一般的です。
 
警察署などで、初めて会った少年は、初対面の私に対し、非常に警戒しています。悪いことをして捕まっているから、落ち着かない、緊張しているのもあるのでしょうが、目の前に現れたこの「弁護士」という大人は、何ものなのか、話をしていいのか、信頼できるのか、じっと見ています。
 
私は、事件のことも聞かなければならないし、他にも、家族の連絡先とか、いろいろ聞かなければいけないことを済ませると、何とかこの緊張感を解けないものかなと、自分のことや関係ない話をしたりします。無論、少年だって、そう簡単に打ち解けてはくれません。何を言ってもちっとも笑わない子もいるし、結構あっさりと嘘をつかれたりもします。先日は、本人がアルバイトをしているというお店に電話をし、店長さんと今後の就労について話をしようとしたところ、「そんな子は雇ったことがない」と言われ、びっくりしてしまいました。
 
そんなやりとりを繰り返し、少年と少しずつ話をしていく中で、だんだん、少年が自分から話をしてくれるようになったりする過程が、とっても楽しく、遣り甲斐があるのです。
 
もちろん、私たちが少年とかかわれるのは、長くても約1ヶ月くらいしかありません。その間、毎日会いに行くこともできませんし、一日中鑑別所にいるわけにもいかないので、少年たちとマブダチになれるわけではありません。
 
それに、事件のこと、被害者のこと、今後のこと、将来のこと、考えてほしいこともたくさんあるので、楽しい話ばかりできるはずもありません。
 
でも、少年と話をし、繰り返し伝え、ときどき怒ったり、一緒に考えたりしていると、少年たちは、短期間の間にみるみる変わっていきます。仕事中に泣いちゃあいけませんが、少年たちと接していると、涙があふれてきたり、胸を打たれたり、私の心も揺さぶられます。
 
しかも、事件が終わったあと、担当した少年から手紙をもらったり、メールが来たりすることがあるので、その時の喜びもひとしおです。
 
非行に走る少年には、さまざまな事情がありますが、これからも、少しでも多くの少年に出会い、付き添っていけたらと思いながら、日々精進する次第です。
2011/03/25 東日本大震災のお見舞い
東日本大震災のお見舞い
              
東日本大震災で被災された方々には、心よりお見舞いを申し上げます。
また、震災や津波で犠牲になられた多くの方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
                                   

 

                                     和 法律総合事務所  所員一同

                                                                                                                                    
  
「東日本大震災に寄せて」  弁護士 寺西環江
 
福島県では、余震の恐怖が続く中、福島第一原発の影響で、避難を余儀なくされている方もたくさんいらっしゃいます。
 
私は、広島で生まれ、小さいころから放射能の恐怖を、祖父母の生きた体験として、また、小中学校の平和教育を通じて聞かされてきました。目に見えない放射線の影響にさらされる恐怖はいかばかりか。
 
原子力発電は、火力発電のように石油エネルギーを使わない点、発電量が多い点で、電力不足の解消に有効であるとされてきました。福島県以外の地にも、たくさんの原発があります。
 
しかし、原子爆弾によって、放射能の脅威にさらされた日本、未だに放射線の影響で苦しんでいる方々が治療を続けている中、再び、国民の生命身体を、放射線の恐怖にさらさなければいけない事態が起こっていることは、とても悲しいことだと思います。
 
自然と共存して生きていく私達が、大自然の災害に見舞われたとき、コントロールできなくなってしまうような力を、持ってしまったこと。福島第一原発のすぐそばで、必死に放水を続ける自衛隊の方々、消防署の方々、東京電力の方々、地域の方々の安全を祈りながら、考えずには居られません。

 
2011/03/01 平成23年3月 事務所便り

平成23年3月便り

「来るべき別れにそなえて」  弁護士 小林由巳子

 
先月22日、最高裁は、母親が「長男に全財産を相続させる」との遺言を残したものの母親より先に長男が亡くなってしまった場合の遺言の効力について、初めての判断を下しました。新聞にも載っていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか?
 
裁判所の判断の過程では、遺言者である母親の意思について触れられていますが、私は、母親がどんな気持ちで長男に相続させる内容の遺言を作成したのかが気になり、長男がかわいかったのか、はたまた長女と折り合いが悪かったのか…等々、いろいろと想像を膨らませていました。
 
遺言といえば、私は過去に拝見したある高齢の女性が書いた遺言が印象に残っています。その女性は、生涯独身で、老後は姪夫婦が同居して介護してくれたのですが、姪御さんに、「親の面倒をみるのと変わらず家族として接してくれたおかげで、毎日を明るく過ごせた、しあわせな人生だったと感じさせてくれた」と自筆で綴っておられました。文章は正確にこのとおりではなかった気がしますが、人生の最後に親しい人に囲まれて幸福な時間を過ごした情景が目に浮かび、感謝の気持ちで旅立った心境が伝わってきて、思わず涙腺が緩みました。
 
ところで、離婚の相談を受けた際に、若い奥様から「いま私が死んだら、私の財産は夫の物になるのですよね?」と質問されることが多くあります。御心配なら遺言をと説明することもありますが、まだそんな心配しなくても…というのが正直なところではないでしょうか?
 
でも私は、「いま私が死んだら」と考えることをお勧めしたいです。夫には「私が死んだら○×生命保険会社に請求してね」とか「△□銀行に預金が(ほんのちょっと)あるから」とか伝えていますし、前の晩に夫婦喧嘩をしていても翌朝には顔を見て「いってらっしゃい」と言わなきゃ気が済まないし…。
 
私のことはさておき、残される家族のためだけでなく、自分の周りにいる大切な人との関係を良好にして、人生を意識的に明るい方向にもっていけるのではないかな、と思うからです。
 
3月は別れの季節。いつか訪れるその時にそなえて、笑顔の準備をしたいと改めて感じます。 

 

平成230222日 最高裁判所第三小法廷 判決

「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,遺言者が代襲者等に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生じない (最高裁判所ホームページより) 

2011/02/01 平成23年2月 事務所便り
平成23年2月便り  弁護士 大国和江
 
 

1月6日、事務所の仕事始めでした。

早速、弁護士4人が顔をそろえ、今年の抱負を語り合いました。

 

 

 

     寺西弁護士                 大国弁護士

 

 

2人から、 

 

  

新しいメンバー2人

   

       小林弁護士            秋吉弁護士

 

 

 

4人になりました。

 

   

  

はい一句

   (とら) 去って(いって)   まる目 なが耳   (うさぎ) くる

   晴れやかに   顔をそろえて    はつ仕事

 

 

身近で、開かれた、信頼される事務所として、

フレッシュで、熱い思いをもつ、若い3人が、加わり、楽しくなりました。

 

 

2010/12/01 2010(H22)年12月 事務所便り
平成22年12月便り  弁護士 大国和江
 
11月4日~7日の4日間、韓国(大邱市、ソウル市)を訪問しました。
 
広島弁護士会と大邱弁護士会が交流するようになって、今年で12年目、両弁護士会のサッカーチーム(大邱はジャスティス、広島はガッツ)が交流戦をするようになって10周年という記念すべき年であったので、日程の都合をつけ、訪問に参加しました。
広島弁護士会からの参加者は会長をはじめ30名弱という大集団であり、賑やかな訪問となりました。
 
交流セミナーのテーマは「家族法」であり、大邱弁護士会の金癸希(キンケイヒー)(弁護士が「韓国の婚姻及び離婚制度―2005年、2007年2回にわたる民法(家族法)改正を中心にー」の報告がありました。
 
改正された韓国の協議離婚では、「熟慮期間制度の導入」(協議離婚をしようとする当事者は、養育する子どもがある場合は3ヶ月、ない場合は1ヶ月を経過すること)、養育の親権者決定に関する協議書を家庭法院(家庭裁判所)へ提出することが義務付けられたということです。
 
わが国は、90%が協議離婚ですが、それは当事者の署名捺印し、未成年者子の親権者を決めさえすれば、家庭裁判所は一切関与しません。そのため、協議離婚に伴う「親権者決定」(単独)、「養育費等」、「面接交渉」は、女性にとって不本意な決め方となったり、決めなかったりで、女性にとっては極めて不利な制度として今もあることを実感しました。
 
ソウルの街路樹イチョウの黄葉、故宮の庭のかえでの紅葉、がとても素敵でした。